人生哲学とか自己啓発とかいったもの
親による虐待で死ぬ二歳の子供。
紛争地域で何の選択肢もないまま死ぬ十四歳の少年。
知能障害で生まれて施設を離れることのできない三十四歳。
強制収容所で死ぬ七十八歳の老婆。
世の中に人生哲学の書や自己啓発本の類は多いが、こうした人々の人生をも救えるものはほとんど見ない。著者たちは皆、無意識にこうした人々を除外しているのだろう。
だが、これら人生は除外されて当然の例外ではない。
地球の死亡記録書の大半は、こうした無辜の人々の死で埋められている。
それが無視されるのは、これらの人々がビジネス書を買うことがないという理由に尽きる。
人生はこうあるべき、だとか、こう生きれば幸せになれるだとか、成功者になれるだとか、軽々に語るべきではない。
そこに自己の無力さへの反省がないなら、どんな言葉もむなしい。