過去は変えられる?人は変わる?
「株式会社⚪︎⚪︎ 採用担当の⚪︎⚪︎と申します。御社で過去に勤務されていた方が弊社の採用試験を受けてらっしゃるのですが、何点か確認をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
ここ数週間で、職歴調査の問い合わせが立て続けにありました。
本人同意のもとで正式に依頼されたり、専門サービスを利用したリファレンスチェックやバックグラウンドチェックではなく、いきなり電話してきての問い合わせなのですので、こちらは聞かれたことについて「はい」か「いいえ」で答えました。
そんなに人数の多い会社ではないので、私は過去の在籍者についてほぼ頭の中に入っています。
しかし、在籍期間などを正確に答える必要があるでしょうから、すぐに検索できるようにシステムを立ち上げました。
聞かれたことは「入社日と退職年月日」「部署・従事していた業務」「退職時の役職」の3点です。
経歴詐称?
先方が電話口で話した内容について、「はい、間違いありません」と答えれば良いだけなのですが、退職時の役職についてのみ、相手は事実とは違うことを述べました。うちの会社には存在しない横文字の役職名です。実際の最終役職よりも高度な印象を受けるネーミングの役職名でした。
ちなみに新卒入社で働いていたその人のことはよく知っていますが、わざわざ嘘の役職を書くような人とは思えなかったし、別の会社の役職と間違うことも考えにくい。
「それって⚪︎⚪︎さんが自分で履歴書に記入したり、プリフィールに入力した内容なんですよね?それとも選択肢から選んだものですか?」
「ご自身で記入された役職です」
「そういった役職名は弊社にはありませんね。」
と私は答えて、それ以上はこちらからは何も言わず電話は終了しました。
同情をもとめられた
それとは別の人について別の会社からやはり在籍期間や職種や役職を聞かれ、「はい。間違いありません」と答えたあと、こう言われました。
「実は前回採用した時に、問題を起こしてすぐ解雇した社員がいたんです。職歴をあらためて調べてみたところ偽ってることがわかりまして、そういったことがあったもんですから、お忙しいところ恐縮ですが今回お聞きいたしました。お答えいただきありがとうございます。」
そして電話は終わったのですが、しばらくしてもう一度かかってきました。
「ちなみに、その方の働きっぷりはどのような感じだったのでしょうか。その方について(てつてつさん)は直接ご存知ですか?」
一緒に仕事はしていませんが、その人については直接知っていました。特に問題を起こしたわけではないので、
「普通に働いてらっしゃいまして、自己都合で弊社を退職しました」と私は答えました。
もしかしたらその採用担当者の方は、「あの時になんであんなやつを採用したんだ!今度は変な奴をいれないようにちゃんと調べろ!」とか言われてるのかもしれません。
採用担当者の気持ちはわかりますが、それでもこちらは必要以上のことを答える義務はないので、当時の上司につないだりもしませんでした。
過去に別のケースで、本当に問題を起こして解雇された人の退職理由についても聞かれたことがあるのですが、その時は「申し訳ありませんが、そのようなことはお答えしておりません」と言いました。「(察してください)」と心の中で叫びながら。
スパイかもしれない
何人もの履歴書や職務経歴書を読み、たくさんの人と面接をしている採用担当者は過去に失敗もしているでしょうから、話のおかしいところに気づくでしょうし、言葉通りには受け取らないと思います。
一般的なテクニックやノウハウだけでないところもあるので、あなたの会社はどんな人を採用するのか、逆に採用してはいけないのか採用担当者同士で真剣に話し合いましょう。
人を疑うことはあまり気分の良いものではないのですが、良い人を採用するという以上に、「変な人を入れない」ということが大事だと、私は思うのです。