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鮮烈に残る狂気と友情と愛情と『漂流教室』
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テツヲ
東北を爆進する営業マン。読書と筋トレと仮面ライダーをこよなく愛する男。読書は紙派。
tera
人と違う事をしていたらインドネシアへ転職しちゃったカフェ屋。読書は電子書籍派。体型はエヴァンゲリオン似。
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テラ:
唐突だけど、トラウマになるような読書体験ってある?
テツヲ:
これは唆る導入だね笑
う〜ん、トラウマかぁ
『はだしのゲン』とかは割と子供の頃トラウマだったかもしれんけど、言うほどでもないな
テラ:
『はだしのゲン』も確かにトラウマになるね
むしろ私は読み進められなかったよ…
今回『押し売りBooks』で何を押し売ろうか、色々迷ったのだけれども、
自分史上最大のトラウマ読書体験『漂流教室』を、押し売ろうと思う。
ーーーーーーーーーーーーーこのよむラジオは、東北を爆進する変態営業職のテツヲと、インドネシアに出荷されたカフェ屋teraの2人が、オススメの本を押し売ったり押し売られたりする番組です。それではタイトルコール『てつ×てらラジオ 押し売りBooks』いえーい!(テラ)ーーーーーーーーーーーーー
テツヲ:
あ、名前だけは聞いたことあるな
いいね、押し売られてやりましょう
テラ:
昔、窪塚洋介と常盤貴子でドラマ化してたからね!でも結構別物!
まあ、ぶっちゃけ、「これを読めば実社会で役に立つ!」って類の本ではないよね。実社会で役に立つ小説というのも変な話だけど。
だからこの本を読む上で効能はひとつだけ。自分のフレームをぶち壊されるよ。
テツヲ:
めちゃくちゃ期待値上げまくるね〜笑
他と作品とは比較にならないエグさ
テラ:
ざっくりあらすじを言うと、
主人公は小学6年生の高松翔。朝母親と喧嘩したこと以外はいたっていつも通りの日常を過ごしていたが、授業中に突然大きな地震に見舞われる。揺れはすぐ収まった。しかし、学校の外は一面荒廃した世界へと変貌していた。パニックに陥る大人と子供。そのうち、エゴをむき出しにした大人たちは殺し合いを始めて、子供たちも大人はヤバイし状況が分けわからんし恐怖に慄く。けれど、この荒廃した場所が実は未来の地球であると知った子供たちは、生き残るため、元の時代に帰るため、互いに手を取り合い「国」を築くことを決心する
といったところ。
テツヲ:
マ○ジンとかでありそうなバトロワ物って印象だけど、SFも入ってるのね
こっちの方がはるかに先輩なんだろうけど
テラ:
そう。今でこそこういうあらすじの作品って増えてきたけれど、てっちゃん、そんな作品のなかで、小学生がバタバタ死ぬ話って見た事ある?
『ぼくらの』(※1)だって、主人公は中学生だからね…エグさが比較にならないよ…
(※1)ぼくらの2004年から連載していた鬼頭莫宏の漫画作品。およびそれを原作として2007年に放送していたテレビアニメ。
テツヲ:
『ぼくらの』なつかしいな笑
いやぁ小学生はないね!ロウきゅーぶ!(※2)くらいかな、それはちがうか
(※2)ロウきゅーぶ!2009年より刊行されていた蒼山サグによるライトノベル作品。およびそれを原作とした漫画、アニメなどのメディアミックス群。
テラ:
ロウきゅーぶ!こんなにエグくない…
原作は楳図かずおの漫画で、これは風見潤の小説版。今でいうところノベライズってやつかな。
私はキツすぎて漫画では読めなかったよ…
テツヲ:
ふむふむ
極限状態の描写から対比される友情と愛情の描写
テラ:
これ、全6巻あるんだけど、1巻で大人がほぼ死ぬんだわ。
それが読んでいた当時ものすごく衝撃的で、
「えええ!あと5巻もあるじゃん!あとほぼ小学生しか残ってないじゃん!」
って思った。
さっき説明したあらすじは、1巻のあらすじで、その後も伝染病が流行したり謎の虫に襲われたりちょっと希望が見えたり絶望したりして、全6巻。
テツヲ:
へー!大人との戦いも話の中心になっていくのかと思ったわ、死んじゃうのね
内容としてはかなりハードだね
ジャッジの時間を待たず、すでにちょっと読んでみたい笑
テラ:
はやいはやい(笑)
さっきから「いかに怖いか」みたいな話ばかりしているけれど、この作品がただのグロ小説ではないのは、極限状態の描写から対比される友情と愛情の描写があまりに美しいから。
特に、主人公の母親が、周りから頭がおかしくなったと言われながらも、たった一人息子の無事を信じて奔走する姿は、読んでいて苦しくなるほどだよ…
小説の役割を娯楽だけじゃないとしたら
テラ:
この小説は高校生の時、父の勧めで読んだのが最初。彼は教員で、自分が担任を受け持った時には必ず夏休みの課題図書としてこの小説を選ぶらしい。当時はとんでもねぇ教員だと思ったよ。
テツヲ:
だいぶ尖ったお父上をお持ちだな……
テラ:
読んでいる時もさ、ページめくるのがめちゃ怖いのよ。
でも、怖いまま終わるのも怖いし、なにより先が気になるし。
そんで途中から気づくわけ
あれ?こんなに人死んでたら、「帰れました!ハッピー!」では終わらんぞ??
って。
テツヲ:
敵が改心してみんな生き返るペイン(※3)的なことはきっとないんだろうね
(※3)ペイン岸本斉史の漫画作品『NARUTO』に敵として登場するキャラクター。
テラ:
そうそう。そんな綺麗には終われない
もし小説の役割を娯楽だけじゃないとしたら、作品を通して他の人の人生を体験するってことがあると思うんだよ。
その上で、この極限状態の狂気と、それに打ち勝たんとする意志、友情、愛情を体験するのは、人生において間違いなく意義のある体験だと思うんだ。
それこそ、トラウマになるほど忘れられない、鮮烈に記憶に残る作品だからね。
その点において、父は自分の生徒に読んでほしかったのかな、と今は思う。
テツヲ:
そう言われると急にすっと入ってきたわ、どんな媒体であっても自分の心を揺さぶられる「体験」にはすっごい価値があると思うわ
お父上の教えは深いのう
テラ:
さてさて、そろそろいい時間になってきたので、ドキドキのジャッジの時間といきましょう
テツヲ:
ほんとにドキドキしてる?笑
もちろん買い………ますっ!!
いやー正直今回は初めっから気になっちゃってたから!笑
テラ:
おお~
これ結構うれしいね!
ありがとうございます!
作品が説明するまでもなく魅力的だからなぁ~
テツヲ:
読者の熱量も魅力の一つだと思うよ
そういう意味でもそそられる時間でした!
テラ:
さて、本日も別れのお時間となりました。
本日の一曲はこちら
やくしまるえつこ『ロンリープラネット』
直接関係あるわけではありませんが、個人的には連想しがちなのでこの曲を。
それでは、次回もお楽しみに!
素敵な読後感を~!