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組織の一体感づくりに向き合うMIXIが実践した「哲学対話」の効果
ひとりひとりの哲学を組織の原動力に変える「哲学クラウド」。株式会社MIXI上級執行役員の奥山さんは、80人規模に急拡大する組織をマネジメントする中で、既存の施策では解決できなかった組織の悩みを解決したいという期待から、サービスの1つである「哲学対話」を導入されました。組織づくりに携わる全てのリーダーに読んでいただきたいインタビューです。
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既存のアプローチでは解決できなかったバラつく組織の「熱量」
上館(哲学クラウド代表):改めて、今回の導入背景から伺えたらと思います。
奥山氏:僕が本部長を務める投資事業推進本部がここ3年で急成長して組織が拡大し、メンバー間に距離感がではじめ熱量の差が生まれていると感じていました。この熱量の差を埋めるために、共通の考え方や価値観が必要になりそうだと漠然と考えていました。
解決のために既存のチームビルディングやグループワークなどの研修はいくつか実施しましたが、組織の熱量は上がっていない状況でした。
そんな時に上館さんのプレゼンを聴いて、哲学なら新しいアプローチで組織を変えるきっかけを与えてくれるんじゃないかと思い、導入を決めました。
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特に印象的だった内容は、上館さんが前職のリンクアンドモチベーション時代に課題感を感じて立ち上げたという話で、きっと哲学は、既存の施策では解決できなかった根本の課題を解決するような新しいエッセンスを加えてくれるんだろうという期待も生まれました。
哲学者との1on1で自身の思考を「哲学」として客観視できた
上館:チームで行う哲学対話の前に、奥山さんの哲学を明らかにする哲学者との1on1を行いましたが、いかがでしたか?
奥山氏:哲学者の堀越先生との1on1はとても面白くて、あっという間に1時間半の時間が過ぎた記憶があります。
1on1の最中には僕は何も考えずに幼少期からの経験や当時考えていたことを掘り下げてもらいましたが、1on1後の哲学分析レポートを見た時に、今の自分の考え方を形成してきた経験が綺麗にまとまっていて驚きました。
さらに、僕の思考を分析して、近い考え方を持つ哲学者や紐付けられる哲学理論を具体的に言語化してくれたので、自分の中でも考えが客観視されました。
哲学対話でひとりひとりが持つ「前提の考え」をすり合わせることができた
上館:哲学者との1on1の後は、投資事業推進本部を牽引する管理職やマネージャーの方々と奥山さんも交え12名で哲学対話を実施しました。哲学対話を受けてみてどうでしたか?
奥山氏:哲学対話を通して、いろんな角度で物事を捉える体験ができました。
組織で大切にしたい価値観一つをとっても、メンバーとの考え方の違いがあったり、言葉の定義一つひとつについて深く対話すると前提が違うことに気づきました。メンバーとの考えの違いをすり合わすことができて良かったです。
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明確な課題に対するスキルなどを組織にインストールしたいのであれば課題に適した研修を選んだほうが良いと思いますが、僕のような「チームの熱量の差」といった漠然とした課題感は、結局のところ型通りにやっても解決できないと思って哲学を試した部分もあったと思います。
哲学者が媒体になることで普段は見えないメンバーの「根底の考え方」を引き出せた
上館:哲学対話を通して印象に残ったことはありましたか?
奥山氏:対話の中で「問い」が自然と洗練されていくのが印象的でした。例えば、「他人が望む自分になることは、自分を持っていないことと同義なのだろうか?」という問いが出たりして、対話テーマを決める「問い出し」の段階から、すでに楽しくなっていました。
堀越:そのマネージャーの方は「Day0(関係性が無い状態)でのリスペクトは可能か?」といった問いも出されていましたね。いつも面白い問いを出されていて、哲学対話のキーパーソンだった印象です。
奥山氏:そうですね。でも実は、そのマネージャーは普段はとても真面目で、律儀に仕事を進めるタイプなんです。哲学対話の中ではアグレッシブに面白い問いを出していて驚きました。
普段の職場では多少自分を殺したりオブラートに包んでいる部分があると思いますが、哲学対話を通じてお化粧部分を落とし、素の自分を出してくれていたんだと思います。
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哲学対話では、哲学者が媒体になることで、普段は見えないメンバーの根底の考え方や、心の底から思っている意見を引き出すことができて、一緒に仕事をしているメンバーの新たな魅力をメンバー同士が相互に知るきっかけになりました。
答えのない問いを考え続けることでリーダーの「言葉の強さ」が変わる
上館:哲学者のファシリテーションはプログラムの肝になっていたと思いますが、どうでしたか?
奥山氏:堀越先生との哲学対話は面白かったです。ちょうど良いタイミングでまとめたり切り返したり、問いを紡いでくれたりしてくれるので、対話が止まることなくずっと続いていましたね。話し過ぎていないのになんでこんなに対話が深まって回っていくんだろうと不思議に思っていました。
堀越:他の企業様でもご支援しながら感覚を磨いたりケイパビリティとして鍛えている部分なので嬉しいです。
上館:哲学対話終了後のレポートはどうでしたか?
奥山氏:チームの中にある思考の傾向や哲学を言語化してもらうことで、僕の頭の中で考えが巡ることが特に良かったです。答えが無い問いに対して言語化していくことで、抽象度の高いことも考えたり具体的に言語化できるようになると思います。
そうすると組織に方針や価値観を発信する際の言葉の強さが変わってくると思います。
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<後編(4月27日配信予定)に続きます>
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