見出し画像

【映画レビュー】奥山由之監督作品「AT THE BENCH」がすごくいい

テンテンです。

久しく映画館で映画を見ていなかったんですけど、
(今一般だと¥2,000するんですね…)
これはぜっっっっったいに好きなやつだ!という直感に従い、さっそく観てきました。

作品は、河川敷にポツンとたたずむベンチで繰り広げられる人間模様を5つのエピソードで構成する短篇映画集。

写真家の奥山由之さんが切り取る日常のワンシーンを、作品全体の空気感と一緒に楽しむ映画で、劇的な起承転結があるわけではないのでネタバレも何もないのですが、一応ネタバレ注意です。

交わされる言葉、やり取りに注目したい

観終わった感想としては、思った通り、大好きなやつでした。
俳優さんたちの自然体な演技が素晴らしいのもそうですが、ベンチを舞台としたシーンのみ、カメラも基本固定なので、全体を通してビジュアル的にあまり変化が無い分、会話(言葉)に魅せられるなぁと。

第1編、第5編

仲野太賀、広瀬すず

それもそのはず、第1編と第5編の脚本は、ドラマ「silent」を手掛けた生方美久さん。

再開発に伴い、取り壊し予定となったベンチに、得も言われぬ名残惜しさや喪失感を感じる中、「寂しさは幸せが残したものなんだって」と話すその言葉が、今の私にはぶっ刺さり...

寂しさで幸せだったことを実感するというのはなんだか切ないですが、
それでも、気持ちが沈みこんでしまったときにこの映画を見ると、きっと救われるんだろうなと思います。

第2編

岡山天音、岸井ゆきの、荒川良々

他のエピソードとは打って変わって、劇場内のあちこちから笑い声が上がるんです、お笑いライブを見ているかのように。

スクリーンでは、別れ話の真っ最中の男女が深刻な顔しているというのに、どうしても笑えてきてしまう。いたって彼らは真剣なのが余計におもしろい。

脚本は蓮見翔さん(ダウ90000)、お笑い芸人さんでした(納得!)

第3編

人を想う気持ちは人それぞれ、理屈でどうにかなることじゃないのが愛というもの。

「放っておいておけるわけないでしょ!」

そうなんですよね、愛しているから放っておけないんです。
相手を思う気持ちが剥き出しになってぶつかり合う、姉妹の言い争いは迫力があります。

第4編

同じ言葉を話すからというだけで、相手を理解できると思い込んでしまうから、すれ違いは生まれてしまう。
これを人間に言わせるのではなく、言葉ではない方法で意思疎通を図る宇宙人(?)に言わせるから妙に納得してしまいました。

相手の言葉を相手の気持ち通り受け取ることって本当に難しいです。
でもだからこそ毎日にドラマが生まれる、「それが人間の面白いところだ」って、別の星の住人は言います。

以上、noteを書こうと思わせてくれたとても素敵な映画でした!

現時点での上映劇場は、テアトル新宿109シネマズ二子玉川テアトル梅田の三か所のみですが、12月の後半から徐々に全国上映予定です!(詳細は下記リンクより)


舞台となったこのベンチは、二子玉川に実際にあるのでぜひ行ってみてくださいね!

それではまた。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集