失敗と言わざるを得ないシーズン、ヘグモ監督は浦和にとって何だったか エルゴラ浦和担当、沖永雄一郎さんと2024年を振り返る
<全3回中の1回>
<マチェイ監督の振り返りはこちら>
浦和レッズの2024年シーズンが終わりました。開幕後に強化責任者が代わったうえ5年ぶりにシーズン中の監督交代が起こり、順位表の下半分で終わったことからも「失敗だった」という評価を免れないシーズンだったと言えるでしょう。そんな中ですが、恒例となったサッカー専門新聞エル・ゴラッソの浦和担当、沖永雄一郎さんとの振り返り企画をしていきたいと思います。
全3回での振り返りですが、過去からの学びとして第3回の2025年シーズン展望は移籍関連の公式発表がある程度そろってから、来年の新体制発表会後にあらためて行うとして、初回は8月末までチームを率いたペア・マティアス・ヘグモ監督のチーム作りと、それがクラブにとってどのようなものになったのか、あるいは解任の判断をどう捉えるのかを議論しました。
昨季の退任から復帰する形で9月から指揮したマチェイ・スコルジャ監督のチームに挟まったからこそ、ヘグモ監督によるチームの輪郭が見える側面もあります。そして、立ち上げから5シーズンが経過したフットボール本部について、期待に応えていると言い難いというのが共通の意見になりました。
※文中で敬称を省略します。
沖永雄一郎(エル・ゴラッソ浦和担当)
山口県出身。2019年10月よりアイキャンフライしてフリーランスという名の無職となるが、気が付けばサッカー新聞『エル・ゴラッソ』の浦和担当に。
https://twitter.com/RMJ_muga
轡田哲朗(フリーランス)
埼玉県出身。浦和生まれの浦和育ちでイタリア在住経験も。9つの国から11人を寄せ集め、公用語がないチームで臨んだ草サッカーのピッチで「サッカーに国境はない」と身をもって体験したことも。出版社勤務の後フリーに。https://twitter.com/tetsu11k
「何が残ったのか」 右往左往して昨季末と似たチームに戻る
轡田 沖永さん、今回もよろしくお願いします。浦和レッズの今シーズンは、久しぶりにシーズン中の監督交代が起こったシーズンになりました。また、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の出場権がなく、天皇杯も出場できなかった関係でリーグ戦の他にあった大会はルヴァン杯のみ。それも、大会方式の変更もあって2試合で終わってしまいました。60試合級のシーズンだった昨季に比べると、40試合で終わってしまったわけですが、なんだかバタバタしていた感も強いです。
前回、ハーフシーズンで振り返りをした時にヘグモ監督が率いていたチームは、昨季を率いた後に退任していたスコルジャ監督が復帰する形でのスイッチをして、終わってみればリーグ13位、38試合、勝ち点48、12勝12分14敗、49得点45失点という成績が残りました。両監督がかなり違う方向性のサッカーにチームを持っていっていることもあり、簡単にシーズンを総括することも難しいかなとは思いますが、沖永さんにとって浦和の今シーズンはどのように映っているでしょうか。
沖永 仰るように、まるっと総括するのは難しいですが、自ら困難に陥ってしまった印象が強いですね。前回の中間振り返りで「仮に監督交代をするのなら今」という話をしていたと思いますが、それからずいぶん経って状態も上向いて、「今季は続投なんだな」と思っていたところだったので、一般的にも「なぜ今なんだ」という反応が大多数になってしまった。スコルジャ監督の復帰時期や契約の関係でそうならざるを得なかったのでしょうけど、かなりタイミングの悪い監督交代になりました。
それでも、監督交代直前は昨季とのミックス的な戦い方になってきていたこともあって、シーズン前半のポジティブな面を残しつつも堅実性を増して、内容も成績もある程度いい塩梅に落ち着くのかなと楽観視していました。ここまでしんどい試合が続くとは思っていなかったですし、攻撃力不足にミスや不運も重なって勝ち点を稼げず、残留ミッションだけで終わってしまった印象です。結局、何が残ったんだろうかと。
轡田 2023年終了時のチームが、失点をすることが少ないと同時に得点力に問題があり、勝ち切れずに引き分けてしまう試合が多いという表情があったかなと思います。結局、マチェイさんが率いた10試合の成績を見ると3勝2分5敗の勝ち点11で、6得点7失点。あちらこちらへ舵を切って、選手編成もダウンサイジングの感が否めず、チームの表情は同じところに戻った。本当に今季の意味、まさに「何が残ったのか」と問われるのは自然ですし、フットボール本部と名を改められてはいますが、「強化」の仕事ができたとは言いづらい。
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