治るって何なんだろうねってお話。
色んな病院で、ワクチン会場で、健康診断で、大学で、本当にさまざまな場面で、
あなたの病気は治ってるよね?
と医療者から聞かれることが多い。
どうしてまた手術するの?とか、
赤ちゃんのとき手術しなかったの?と
聞かれることも多い。
もちろん赤ちゃんのときに手術はした。
じゃなきゃ生きてない。
主治医は、医療者なら普通この病名を聞けば
手術した上で一生治らないということを知っているべきだと言っていた。
だけど、徐々に悪くなっていくことも、
10代以降で手術し、生体弁の弁置換なら
15年くらい後にまた手術になることも、
ゆーて機械弁でも一生持つかは微妙なことも、
あまり認知されていないようで。
根治術と呼ばれていた赤ちゃんの頃受けた手術は、
誤解を招くからと今や心内修復術という名前になっている。
医療者にそう聞かれることが多いと言ったが、
その度、治ってないんです、治らないんです、
と訂正し続けるのもなんだかもやっとする。
医学上心内修復が可能になり、生きられるようになってからまだ日が浅く(とはいえ数十年)
心内修復後ほっといたら弁の逆流などが悪化して、手遅れなほど心肥大が進んでしまうことがわかったのは、ここ最近のことらしい。(とはいえ多分20年くらいは経っている)
『治る』という情報の上書きがされないのは、心臓系の科に勤めていなければ仕方ないのかもしれない。
でも、授業でさえ、なんて。
私の馬鹿情緒は、
『治ります』
その一言に、強く反応してしまった。
弁の逆流が進んで、手術。
その新しい弁が寿命を迎えて、手術。
不整脈を合併して、アブレーション、もしくはPM埋め込み。
手術が遅れれば不可逆な心肥大。
4つの病態以外の異形の手術。
人によってはたくさんの薬。
定期的な通院と不定期なカテーテル。
仕事に影響したり、将来に悩んだり。
そりゃあ、人にはよるけどさ、
そんな可能性と現状の詰まった、
これの、どこが。
どこが、治っているというのですか。
私の今回の手術は、今までの苦痛は、何だったんですか。
1歳の手術は、
4歳のカテ手術は、
19歳の手術は、
今後の手術は、
一体どういうことなんですか。
情報不足だったのかもしれない。
時間がなかったのかもしれない。
正しい意味が、完治の他にあったのかもしれない。
でも、新しく看護師になる人たちが、
この一言を何の疑いもなく受け入れることが、
とても怖かった。
世の中には、数えきれないほどの、
覚えきれないほどの病気があって、
いちいち自分の専門に関係のないところまで
情報を更新していられないことはわかっている。
でも、私はやっぱり当人だから、
事実と違うことを知ってしまっているから、
なんだか悔しくなってしまった。
誰も悪くない。
悪くないんだよ。
仕方ない。
でも、治るなら治してくれって、
私たちは思ってしまうのよ。
一生、勉強していくしかない。
きっといつか、たくさん自分が同じ思いをさせるのかもしれない。
それは避けられないのかもしれない。
だから、少しでも、それを減らしたい。
私に出来ることをしていくしかないな。
まとまらない。
終わりにしておく。