すべてが同じ色に染まっていく
『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の第6話で、主人公の「少佐」こと草薙素子が呟いたこのセリフ。
人の脳とコンピュータを接続する「電脳化」が進み、人々の記憶情報は共有され、並列化されていく世界。個性を失い同じ色に染まりゆく人々を指してのセリフですが、今の世界においても似たようなことは起こっており、それを風刺したセリフだと理解できます。
現代に見られる「画一化」と、将来起こりうる「並列化」
少佐の嘆きを「情報共有」からの「没個性」という意味で捉えるならば、それは現在でもいたるところで見られる現象ですよね。ただ、それは「並列化」ではなく「画一化」といった方が適切なのかもしれない。
・みな同じ服装でテンプレ回答を繰り返す新卒就活生
・どの駅も同じデザインで現在地がわからない地下鉄
あくまで例えなので、そうじゃないケースだってもちろんたくさんあるけれど、なんとなくイメージはできるんじゃないかと思うのです。
両者に共通するのは、もともとは「良かれ」と思って始まった流れだということ。だけど、結果的には良くない部分も目につくようになってしまったというわけ。そういう意味では劇中の「並列化」も、もともとは良かれと始まった夢のテクノロジーだったはず。
脱・画一化の取り組み
すべてが悪いわけではないけれど、「画一化」のネガティブな部分を解消するための、いわば「脱・画一化」に向けた取り組みも始まっています。
> 採用を、ひとつに。|リクルート2019年度新卒Web採用サイト
既にニュースなどで見聞きした人も多いと思いますが、2019年度からリクルートはグループ共通で、30歳までを対象とし、既卒および就業経験も問わず、365日通年エントリーを可能にするそうです。
これまでにも通年エントリーなどの取り組みはあったけれど、リクルートのような大企業、しかも企業の「採用活動」を牽引してきた企業が取り組むことの意味はあまりにも大きい。
こちらも東京にお住まいの方ならご存知かもしれません。東洋初の地下鉄である「銀座線」の駅インフラはかなりの老朽化が進んでいて、2020に向けて大幅なアップデートの必要性に迫られていました。
ここで注目したいのは、ただ「見た目をキレイにしましょう」という表面的な改修にとどまらず、銀座線を「下町エリア」「商業エリア」「銀座駅」「ビジネスエリア」の4つに大きく分類し、さらに、一つひとつの駅の「個性」をデザインの力で表現しようという試みが素晴らしいと思うのです。
さいごに
タイトルのセリフを第6話で呟いていた少佐は、第26話ではこんなことも言っています。
だけど私は情報の並列化の果てに個を取り戻すためのひとつの可能性を見つけたわ──好奇心。
リアル現代においても、画一化・没個性から脱するためのカギは「好奇心」といえるのかもしれなませんね(╹╹)