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気まぐれ小説

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気まぐれ小説『雨降りケロちゃん』

子供の頃、雨の日に晴れを探して冒険に出たことがある。

あの頃の私は、近所で誰かが悲しい思いをしているから、雨が降るのだと思っていた。
悲しんでいる人を助けたら雨はやむのだと、本気でそう信じていた。
雨の日はお気に入りの黄色い長靴と、カエルの目がついた傘をさして、悲しんでいる人がいないかパトロールした。

そんな事を数ヶ月続けていると私は近所で有名になった。
『雨降りケロちゃん』近所の人からそう呼

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天使の奏でる狂乱曲

桜の花びらが舞う国道沿い
人気の多い国道沿いには不釣り合いな少女が立っている。

舞い散る桜のようにきれいなピンク色のロリータ服
彼女の周りだけがまるでタイムスリップしたような不思議な雰囲気を出していた。

異様な光景に見える人もいるだろう。
だけど、俺には彼女が天使に見えた、国道沿いの天使とでも呼んでおこうか。

しかし……まさか彼女が……天使ではなくて、悪魔だったなど誰が想像できただろう。

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