映画「傲慢と善良」感想
ただの恋愛映画・婚活映画だと思っている人、もっと感じられる部分あるんじゃないの
痛いところから目を逸らさないで
まず感じたのは、よく2時間でまとめたな…という点である
上から目線と思われたくないが本当にそう思ったのだ、だって原作のボリュームすごいんだもの
ただもし、期待と違ったな、とか、もう少し観たかったな、という人
ぜひ原作小説を手に取っていただきたい
映像では間合いや表情でのみ表現されている(あるいはするしかない)内面や心情が小説では丁寧に、緻密に描かれている
個人的にはなんとなく、真実がなぜボランティアを選んだのか、そこでどんな人と出会い何を感じたのか、などが小説ではより感じられるかと思う
あと、映画では地ビール話のときに真実が自ら架を呼び寄せるような展開になっていたが、そこだけ完全に原作とは違う点で違和感だった
(離れたくてボランティア来たはずなのに自分から呼び寄せちゃうの...?)
正直自分は小説の方が好みだったかなと
しかし映像にすると架の友達と真実母の厳しさが際立つ
(実際は真実自身もかなりやっていることはすごいのだが)
文字面を追っているのみと、実際に人物がいる場合では明らかに、言葉を選ばなければヘイトがわかりやすく溜まっていくので役者陣の芝居のレベルの高さがよくわかる
架、藤ヶ谷くんでよかった
明らかにシゴデキ男なのに人の悪意や嘘、もっと言えばシンプルに他人の感情自体に鈍感な(あるいは目を背けている)ところ、イメージ通りでした
真実に会いに来た時の前髪下ろしているビジュアル好みです
真実、奈緒ちゃんでよかった
人畜無害感出してるのに中ではドロついて歪んだ感情が渦巻いているところ
他作品でもそうだけど、「明らかに無理して笑っている」お芝居がうますぎるところ、好きです
どうか私生活では自然に笑えていることの方が多いことを
ちょっと顔がかわいすぎるかも
本作では恋愛・婚活における自身の「選択」が何を基準に、いかに傲慢で、かつ善良な判断の中されているかにフォーカスがあたる
しかしこれ、婚活に限った話ではない
「私にはもっと相応しい仕事がある」
「ハイブランド以外身につけたくない」
「こんなところで腐っているような私じゃない」
「あなたと私は違うの」
いったい何をもってそんなに自分への評価を高く持っていられるのか
思ったよりもあなたは普通の人間で、平均点周辺に位置する標準的な人間なので
それを自覚できてから人生2回目のスタートを切れるのではなかろうか
型にハマれとは言わないが、身の丈に合った選択をすることも大事なのだよと、主に自分自身に言い聞かせる
いつまで経っても夢みがちで、何も行動していないのに自分は何かを成し遂げられる人間だと思い込んで、停滞しているだけのあなた、というか俺
早くそこから抜け出して、自分がしたいことをして、愛したい人を愛して、食べたいものを食べて好きな時に寝る
小さな幸せを日々見つけていけるような「普通」の人生を送る準備を早く始めて、置かれた場所で咲いてください
わかりました