スタージョンのジェンダー法改革計画は、女性の権利の擁護者を保守党だけにする可能性があります(2022.11.27 The GuardianのThe Observer記事和訳)
2022.11.27 ザ・ガーディアンのオブザーバー記事
Sturgeon’s plans to reform gender law could leave Tories as the champions of women’s rights
https://www.theguardian.com/commentisfree/2022/nov/27/nicola-sturgeon-will-endanger-women-if-she-opens-single-sex-spaces-almost-everone
by ソニア・ソーダ
を、日本語訳しました。(DeepL &適宜修正)
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スコットランドの指導者は、性別違和の治療に関する見解の変化に留意する必要があります。
誰もが善意を持っている世界に住むことができたら、それは素敵なことです。暴力も、児童虐待も、強盗もありません。女性が夜道を歩くことに不安を感じることもなく、親が子どもの外遊びを心配することもないでしょう。しかし、犯罪のない社会はありません。そのために法律があり、裁判所があり、警察があるのです。
しかし、ニコラ・スタージョンは、スコットランドの女性にユートピアに住んでいるふりをするよう求めることを止めません。人々が合法的に性別(sex)を変更することを容易にするために、第一大臣は、多くの人が女性の安全を損なうと考える改革を推し進めようとしています。先週、女性と少女に対する暴力に関する国連の特別報告者であるリーム・アルサレムは、スタージョンに手紙を送り、男性の性犯罪者による乱用の可能性があり、女性と少女を危険にさらすことになると警告しました。また、平等人権委員会（EHRC）も懸念を表明しています。
英国のすべてのトランス者は、2010年の平等法のもと、他の保護グループと同様に差別に対する強固な保護を受けており、英国は1999年にこうした法的保護を明文化した最初の国のひとつです。また、女性として認識された結果、差別を受けた男性も、性差別から保護されます。これらは重要な法的保護措置です。また、トランス者は、パスポートなどの公的書類に記載される性別を変更することができます。
英国に住む少数のトランス者（約5,000人）は、性別認定証明書（GRC）を申請し、多くの法的目的に対して性別を変更したため、特別な権利を持っています。このことが何を意味するのかについては、法律家の間でも意見が分かれており、法律は不明瞭です。しかし、多くの人は、GRCが、刑務所、病室、避難所、更衣室などの女性専用スペースから、女性を自認する男性を排除することが合法となる基準を変更すると考えています。また、GRCを持つ男性の数が増えれば、同一賃金など女性を保護するための他の平等法の規定がどのように機能するかが根本的に変わるというのが大方の意見です。
現在、男性が法律上女性と認められるためには、つまり女性のためのスペースにアクセスする追加的な権利を得るためには、性別違和の医学的診断を受け、2年間異性として生活していることを証明しなければなりません。スタージョンは、スコットランドを「セルフID」に移行させる改革を押し進めています。3カ月間異性のように生活し、自己宣言に署名した男性には、GRCが付与されることになります。異性として生きることが実際に何を意味するのか、スコットランドの大臣は誰も言及できていません（EHRCは、この規定が有害な性差別的ステレオタイプを強化する危険性があると指摘しています）。
現行制度の法的不確実性は、セルフID運動家がサービス提供者や雇用者に、反対側の性を自認している人を例外なくその性別として扱わなければならないと、法律を誤って伝える余地を残しています。これは真実ではなく、エセックス大学が行ったように、組織が違法に女性を差別する危険性を残しています。
しかし、スコットランドの改革は、女性がその権利に従って男女別サービスを利用することを著しく困難にするものです。スコットランド政府は、その結果、GRCの数が大幅に増加することを期待しています。それは、法的なバランスを女性から遠ざけることになるので、業者は男女別サービスの提供をためらうようになるでしょう。あるスコットランドのNHSトラストは、GRCのプライバシーに関する規定があるため、女性だけのケアをしたいという女性の要望に応えることは不可能であると既に述べています。
男女別スペースは重要です。なぜなら、女性にはプライバシーと尊厳の問題として、親密なケアを受けたり、服を脱いだりしているときに、異性のそばにいない権利があるからです。またそのようなスペースは女性の安全にとっても重要です。スコットランドの改革の核心は、GRCの権利を、生物学的性別について真に悩む性別違和の人々から、女装から性的満足を得る男性や、女性が弱い立場にある空間へのアクセスを求める、あるいは弱い立場の女性と一緒に刑務所に入ることを望む男性性犯罪者を含む、自分が女性であると称するすべての男性に拡大すべきかどうかという問題なのです。
その危険性に気づかないためには、うらやましいほどの純真さが必要でしょう。このような法的保護が、盗撮や露出で性的快感を得ようとする男性に与える隠れ蓑や、性犯罪者が被害者を支配できるようになることを想像して欲しいのです。カリフォルニアのスパで、女性であると自認する男性性犯罪者が若い女性に半勃起したペニスを露出したときのように、苦情をいう女性は「トランスフォビック」だと汚名を着せられるだけかもしれないのです。
男性の性犯罪者が有罪判決を受けた後に女性になりすますケースはすでに多く、彼らは法的な性別の変更を登録することで犯罪記録を事実上抹消することができるのです。ケイティ・ドラトウスキーのケースは参考になります。10代に満たない少女2人を暴行したスコットランドの男性性犯罪者は、女性保護施設に住めるような別の身分を装ったのです。彼女は現在、仲間の男性囚人に暴力を振るった後、女性刑務所に移されています。しかし、SNPは、男性の性犯罪者がGRCを取得できないようにしようとする修正案を真っ向から否定しています。
この法案のもう一つの重大な懸念は、16歳、17歳の子どもたちが法律上の性別を変更できるようになることです。何年も前からマーメイドのようなキャンペーンを行う慈善団体は、NHSに、性別違和を持つ子どもたちに対して、それは常に固定したトランス・アイデンティティの指標であると主張し、エビデンスを無視してジェンダー肯定的なアプローチをとらせることに成功しました。その結果、NHSは、ますます多くの子どもや若者を、不妊になる可能性があり、その他の身体的・認知的に重大なリスクを伴う可能性のある、不可逆的な医療行為への道を歩ませることになったのです。
しかし、上級小児科医Hilary Cassによる進行中のレビューでは、多くの場合、子どもの性別違和には一過性があり、思春期に対する不快感、同性の魅力、自閉症、子どもの頃のトラウマなどと関連している可能性があることが強調されています。また、子どもの代名詞や名前を変える社会的移行は、中立的な介入ではないことを強調しています。
Cassのこれまでの研究結果は、NHSイングランドが計画している性別違和のある子どもたちへのケアの方法に劇的な変化をもたらしました。新しいサービス仕様の草案は、不適切な社会的移行がもたらすリスクを強調し、それは医師の監督のもとでケースバイケースで行われるべきものであると述べています。しかし、スコットランド政府はCassのレビューを無視し、何の臨床的な知見のないまま、社会的移行の究極の形を子どもたちに開放しようとしています。
スタージョン氏は、男性による暴力の被害者である女性を無視し、国連の特別報告者の懸念を無下に扱い、NHSスコットランドからひどいケアを受け今ではその移行を後悔している若者の声に耳を傾けなかったのです。彼女の説得力のないマントラは、システムを悪用する男はいない、女性の権利は影響を受けない、英国の小児科医が検討した証拠はスコットランドの子供には関係ない、というばかりです。スコットランドの労働党が、平等法の目的のためにGRCが誰かの性別(sex)を変更しないことを明確にするように法案を修正する可能性もまだあります。
しかし、最も可能性が高いのは、ウェストミンスターの保守党政権が、スコットランドの女性を保護するために平等法を更新して性差による女性保護が生物学的に女性である者にのみ適用されることを明確にして入ってくるためのドアを、フェミニストと民族主義者を自認するスタージョン氏が大きく開けることでしょう。