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IVRCに挑戦して、そして敗北した話

挑戦したきっかけ

所属するラボで出た案として「居合道をVRで再現する」というものがった。自分自身も非常に興味深く、他のメンバーたちも乗り気であったためこれに決定し、IVRCへ挑戦することにした。

自身が作成した「VRSionUp!9」でLT登壇した際のグラフィック

プロジェクトの進行

チームはBlenderを使える人、イラストを書ける人、Unityを使える人、居合道に詳しい人が揃っていたため、アイデアを形にするのに時間はかからなかった。

自分はBlenderで作業も進めつつ、アイデアを出しそれぞれの人に作業を割り振ったり、チーム全体を纏めて最終的な形にする作業を担当した。

メンバーが作成した、居合道特有の動きである「血振り」のイメージイラスト

締切との戦い

IVRCに挑戦しようと決断したのが締め切り2ヶ月前であったため、その日からガツガツと作業を進めていく必要があった。

  1. 居合道部のメンバーとコミュニケーションを取り、個々の持つイメージを共有

  2. 書き出してイメージを強固にする

  3. 必要な作業や技術をリストアップ

  4. 作業をチームメンバーに割り振り、同時進行で企画書の作成

  5. 適宜より良くするアイデアを出し合い、共有

という手順で進めていった。

そして、無事間に合う

なんとか締切に間に合い、出来上がりも満足の行くものだった。通常なら間に合わない作業量であったが、今回はチームとしての連携が素晴らしく、全員が常に100%の力を出すことができた。

メンバーが作成し、企画書に挿入した「スローモード」の説明
自身で作成し企画書に挿入した「動作フローチャート」


結果: 敗北

期間内でできることは全てしたつもりであったが、結果は「不合格」

無念の不合格通知

ただただ悔しい。しかし、自身でもやはり気になっていた点がフィードバックには寄せられていた。

敗北原因の推測

一つ一つ考察していく

・ デバイスの危険性

本企画では、衝撃と反動の再現のためにデバイスをコントローラに付ける想定であった。しかしながら、衝撃を加えるという側面から安全性について付記すべきであった

・ アイデアの普遍性

アイデア自体が「よくある話」であったのは間違いない。根底に、「VRデバイスによる技術向上」という理念が存在していたが、数百という応募を見る審査員にとっては、現実のものをVR上で再現するという印象を強く受け、そのまま読み進められるような企画書であった可能性は否めない。もう少しアピールポイントを「VRでスポーツを上手くなろう!」に絞るべきだった。

「居合道をVRで上達できるのでは」(実際の血振りの様子)

・ そもそも、IVRCと本企画の相性

自身が最も強く感じたのはこの点である。IVRCについて無知であったために、過去受賞作品やIVRCの様子を知らず、企画書を作成し始めてしまった。そして製作過程で、自分たちのアイデアをIVRCに寄せていっているという自覚をするようになった。どちらかといえば、今回の「極めよ、居合の道」というゲームは、IVRCという新規性を求める審査には向いていなかったようにも感じる。居合道ゲームとして楽しく世界中の人に遊んでもらうという考えから始まった企画であったことを、途中から忘れていた自分が居た。

良かった点

ただし、2ヶ月でアイデアを纏めて企画書を完成させ、応募できたことは誇りに思っている。この経験で学んだ良かった点も挙げる。

・ チームとしての働き

今回「居合道のVR版」というだけのアイデアから、企画書に具体的に仕様を示せるまでプロジェクトを昇華できた理由は、チームとしての連携を蔑ろにしなかったことにあると思う。

自身がチームをまとめる立場として気をつけた点は、全員の作業を透明化し、誰が何をしているかをそれぞれが認識できることによって孤独感を感じさせずに、「全員で作っている」という実感をさせながらすすめることである。

これによって、自分の担当している作業が何であるか理解し、多くを説明しなくとも自身のすべきことを認識し、全員が最高の理解度で進めることができたと思う。

・ 共同作業サービスの活用

コミュニケーションを取るならDiscord、意見出しはGoogle Docs、企画書はMicrosoft Wordの共同作業と、すべての作業を即時共有し、共同で行っていた。

これによって、人数に応じて作業効率は上がり、聞かずとも他のメンバーが何をしているか確認し、自身の作業を進めることができた。

ときにはDiscordで画面共有をしながら通話することによって、実際に横にいるよりも快適で効率的に作業できたのではないかと感じる。

Discord内でのやり取りの様子

・ 完成したクオリティ

アイデアの具体化や、挿入画像のクオリティは自身でも2ヶ月とは思えないほど素晴らしいものであった。

自身がBlenderで作成した練習モードの「道場」
メンバーがBlenderで作成した神社
同じくメンバーが作成した神社と鳥居

上記の企画書挿入画像のように、短い期間とはいえ具体化は出来ていた。

まとめ

考察はしても、やはり悔しいが一番だろう。しかし、企画書を完成させるというプレッシャーによって企画は一歩前進したのは間違いない。加えて、自身の経験としても、チームを纏めてプロジェクトを進めていくことの大変さや、自分の持つふわっとしたアイデアを強固なものにして共有していくことの難しさを実感できた。そして、自分たちならプロジェクトを前にすすめる力があるということも知ることが出来たのは自信になった。

次のステップは?

IVRCに不合格であったからと行って、自分たちの「極めよ、居合の道」を製作する道が閉ざされたわけではない。この経験を活かして、このプロジェクトで何を一番に絞って、進めていけるかが鍵になると考えている。

私は、この企画書を作成する過程で、「ゲーム」としての面白さに特化し、勝負するのも悪くないと感じている。居合道は、特有の動作が存在し、それらを使って仮想の敵を倒す。このコンセプト自体が、ゲームの有する、「コマンド」によって敵を倒す動作に似ていると考えている。そこで、居合道をゲームとして遊べる、そんなプロジェクトにして再出発を果たしたい。

完成イメージ

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