#1「MEN 同じ顔の男たち 」ネタバレ・レビュー・考察・感想
概要・あらすじ
感想
いわゆるジワジワ系、びっくり要素無し
本作は、サイコホラー系に多い、びっくり要素はほぼほぼありません。ジワジワと得体の知れない「ナニカ」に侵食される日常を描いた作品です。
周りの人間が狂気に染まっていく、閉塞感漂う村。逃げ場の無い恐怖。
どことなく「ミッドサマー」味を感じます。
と、思ったら制作スタジオが「ミッドサマー」と同じでした
不穏感漂う前半
「エクス・マキナ」のアレックス・ガーランド監督の作品ということもあり非常に美しい映像でイギリスの田舎が描画されています。
前半はこの美しい田舎でジリジリとにじみよる得体の知れない「ナニカ」が描かれます。
しかし直接的な描写はなく、ひたすら違和感を感じる描写が繰り返されます。
畳み掛ける後半
前半で描かれたジワジワとした怖さと対象的に後半は畳み掛けるようなグロ・エロ描写の連続です。
ただ、この描写がキッツいキッツい。それなりにスプラッター映画なんかを見ている人でも厳しい、普通とは違った気持ちの悪さがあるグロ描写となっています。
本作は、非常に難解で、誰にでもおすすめできるような作品ではないです。
一応最後に、私の妄想含めた考察をつけさせていただきます。
考察
きれいな映像に散りばめられた「男の加害性」と「宗教」
本作には「教会」・「牧師」・「禁断の果実」など「キリスト教」を感じされる描写が複数あります。
序盤で、主人公のハーパーが庭に生えていたりんごを食べた際、家の管理人ジェフリーが放つ「禁断の果実だ」という気持ちの悪いセリフがあります。
いわゆるアダムとイヴが食べた神の禁とされた果実のことですね。
これにより、アダム(男)には「食べ物を得るための労働」、イヴには「出産時の痛みと夫への服従」が罰として課されました。
キリスト教では、この際に男女の役割が決定されているような記載が教えとして残っています。
映画の話に戻ります。本作では、ところどころに昨今の男女の扱いに反する描写が見て取れます
「ミセス」・「ミズ」の使い分け
ジェフリーのハーパーに対する「お一人ですか?」という女性一人で宿泊することへの質問
浴場の案内の内容
警官・牧師など男性が主につくことの多い職業の登場人物たち
ハーパーへの夫の暴力
教会で出会った見ず知らずの少年からの罵倒
不審者を即釈放し、「罪状がない」と寄り添う姿勢のない男警官
最後に、無償の愛を求める夫
上記のことから本作は裏テーマとして「男性の加虐性」を描画した作品ではないかと感じました。
夫から「お前のせいで自分は死ぬ」と植え付けられた主人公が心休めるために向かった田舎でも同じように男性から攻撃される・・・
出会う男性がすべて同じ顔なことも、実際に同じ顔なわけではないのではないでしょうか。
作品内で男性の顔が同じことについて言及される場面はありません。そのことから同じ顔に見えるのは、夫が自分のせいで死んだと考えている主人公のハーパーが男性への恐怖から興味を失いすべての男性が同じ顔に見えてしまっている状態となっていることを示唆しているのかなと思います。
最終的に、主人公のハーパーは復活した夫に対して吹っ切れたような、諦めたような表情をします。
この一件で主人公は夫への思いを断ち切りもとの生活に戻れるのか、それとも全て諦めてしまうのか。
この一件が終わり、主人公の友人が迎えに来たあと、男性が描写されていないため最後までわからずじまいとなってしまっています。
※ 男性がまだ同じ顔なら諦め、識別できれば吹っ切れた?
最後に
非常に難解でグロテスクな作品のため閲覧する際は家族・カップルでは見ないようにしましょう!(※ミッドサマーとここも似てる)