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6度目の夏
デラちゃんはめちゃくちゃ面白い人だった。
若い頃はやんちゃで、困り果てた両親から『おばあちゃんちに行くよ』と車に乗せられ、目が覚めたら寺に入れられていた、とか
聞いたら椅子から転げ落ちるほど笑った話がたくさんある。
彼女とは『子育てセミナー』を通じて知り合った。
『こうあるべき』とか『普通』とか、
当たり前と思っていたしがらみを取っ払って
『もっと楽に生きて良いんだよ』と教えてくれた。
パワフルで一緒にいると元気になる、
キラキラというよりはギラギラした夏の太陽みたいな人だった。
デラちゃんが雲の向こうに旅立って、今年で6年になる。
気づいたら彼女と同じ歳になった。
出会ってからお別れするまでの期間はそれほど長くはなかったけれど、その分ぎゅっと濃縮された時間だった。
本当はもっともっと話したかったし、色んな事を教わりたかった。
絶望感しかないような毎日から引っ張り出してくれてようやく日常に色がついたのに、彼女の死でまた途方に暮れた。
それでも6年、なんとかやっている。
困った時にはいつも思う。
『デラちゃんならなんて言うかな』
いつか雲の向こうでまた会えた時に、
『楽しそうだったねー!』と言ってもらえたらいいな。