日本サッカー史に偉大な足跡を残した港町のある県〜フットボールの白地図 by OWL Magazine【第35回】兵庫県
<兵庫県>
・総面積 約8400平方km
・総人口 約543万人
・都道府県庁所在地 神戸市
・隣接する都道府県 京都府、大阪府、鳥取県、岡山県
・主なサッカークラブ ヴィッセル神戸、Cento Cuore HARIMA、FC淡路島、INAC神戸レオネッサ
・主な出身サッカー選手 永島昭浩、波戸康広、奥大介、吉田孝行、川上直子、明神智和、播戸竜二、前田遼一、加地亮、岡崎慎司、森島康仁、香川真司、米本拓司、昌子源、岩波拓也、堂安律
「47都道府県のフットボールのある風景」の写真集(タイトル未定)のエスキース版として始まった当プロジェクト。前回は、四国で唯一、2つのJクラブを持つ愛媛県を紹介した。今回フォーカスするのは、多様な地域性を持ちながら、Jクラブがひとつだけという兵庫県にフォーカスすることにしたい。
兵庫県といえば、県庁所在地の神戸市があまりにも有名。そして県内唯一のJクラブであるヴィッセル神戸も、ここを本拠としている。とはいえ、神戸は県内最大の都市ではあるものの、やはり兵庫県の一部でしかない。かつては、摂津、丹波、但馬、播磨、淡路の5つの国に分かれており、実は多様な文化を持っている兵庫県。北は日本海、南は瀬戸内海、淡路島の向こうには太平洋に面し、本州を陸路で踏破する場合、必ず通過するのも兵庫県である。
これほど多様性のある県なのだから、姫路や西宮や明石あたりにJクラブができてもおかしくないと思うのだが、現時点ではそうした動きは見られない。播磨地域で活動する「Cento Cuore HARIMA」は、バンディオンセ加古川時代から関西リーグにとどまったまま。今季から関西2部を戦う「FC淡路島」は、1年でも昇格できなければ撤退すると宣言しているため、今後どうなるかはわからない。
ゆえに今回の兵庫県の旅は、どうしても神戸で完結してしまうことを、あらかじめお断りしておく。古くから港町として栄え、横浜と並んで「日本サッカー発祥の地」とされる神戸。2002年のワールドカップ開催地のひとつであり、その会場は現在「ノエビアスタジアム神戸(ノエスタ)」の名称で、たびたび日本代表の試合が行われている。取材で何度も訪れている神戸だが、じっくり観光する機会はなぜか皆無であった。
そんなわけで、まずはベタな観光スポットから押さえておくことにしよう。神戸港を臨む「メリケンパーク」は、かつてのメリケン波止場と神戸ポートタワー周辺を埋め立てて1987年に完成。歴史のない土地ゆえに、港の歴史を今に伝えるモニュメントをあちこちで見かける。こちらの『希望の船出』は、ブラジル移民として出国する親子をイメージしたもの。港は異文化を受け入れる一方で、国を出てゆく人たちを見送る場でもあったことを、この像は思い起こさせてくれる。
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