見出し画像

言葉を考える 旦那はドナー?

旦那と言えば、旧来型の夫婦、つまり夫が外から金銭を持ち帰り、妻が家事一切を引き受ける様な役割分担をしていた夫婦で、その妻が夫を呼ぶときに使う名称ですね。

最新型の夫婦、つまり同性婚など最近になって法的に認められつつある夫婦の形においても、外から金銭を持ち帰る役割が一人だった場合に、その人を旦那と呼ぶのかどうか、寡聞にして知りません。

旦那は檀那とも書きます。

寧ろ檀那が本来で、正統で、旦那はその音を画数の少ない漢字で表しただけの、いわゆる当て字だったところ、妾が正妻になるが如き地位の入れ替えが起きたのでは無いかと思います。

檀那と書けば、本来の意味が甦って来ますね。

日蓮宗では布施をしてもらう側が布施をしてくれる側を指して檀那と呼ぶ事が多く、寺院は檀那の家を指して檀家と呼ぶ事が一般的です。

但し、浄土宗では信徒、浄土真宗では門徒と呼ぶ様で、日蓮宗以外でも檀那、檀家という言葉を使う宗派があるのか無いのか知りません。ご存知の方がいらしたらコメント欄にて情報共有していただけるとありがたいです。

もっと遡れば、檀那は、古から仏教関係の記述に広く使われたサンスクリット語の[dāna(ダーナ)]の音写であり、サンスクリット語で布施を意味するそうです。

布施といえば、英語でdonation。

このdonationがサンスクリット語のdānaから来ていると言う俗説があって、私たちの島内ではそこそこ権威のあるNHKのデジタルマガジンにも、その話が書かれています。

=以下引用= 
dānaには「与える」という意味があり、英語の「donation(ドネーション/寄付)」「donor(ドナー/臓器提供者)」も同じような起源を持つといわれています。
=引用終わり=

〜といわれています、と言う表現は、自分が言ったんじゃ無いよ、でも誰が言ったのか情報発信者の氏名は内緒ですよ〜、という井戸端会議的受動表現ですから、学術的な真偽に関して信じる信じないはお任せします。

世界的に権威のあるオンライン語源辞典(Etymonline)によれば、上記は通説、仮説とされていますが、インド-ヨーロッパ語族の基本的な語幹=do=から、古フランス語のdonacionが作られ、それが15世紀ぐらいに英語に輸入されてdonationという言葉ができただけだぜ、と言う説明よりもロマンがあって妙に納得的ではあります。

=以下引用=
It is the hypothetical source of/evidence for its existence is provided by: Sanskrit dadati "gives," danam "offering, present;"
=引用終わり=

、、と言う事で、晩夏の眠られぬ一夜に、旦那という言葉の歴史を遡ってみましたが、さて、あなたの旦那はあなたに色々とdānaしてくれる人ですか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?