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人生100年時代というけど、みんな本当にそんな歳まで生きたいと思っているのでしょうか?

 あちらこちらで「人生100年時代」と聞こえてくるが、いったい誰がそう言いだしたのだろう、確かに10年前と比較すればかなり寿命が延びていることは間違いないと思うが、100年ってどういう意味なのだろう、普通に生活していれば平均的に100歳まで生きられますよってことだろうか?それって大変なことではないだろうか。
 2024年の平均寿命は男性81歳、女性は87歳である。長生きする女性を見ても100までは13年もある。これを健康寿命で見ると2024年で男性73歳、女性は75歳となる。自分の体を自らがコントロールできるのは70歳代までが平均、以降は誰かの手を借りなければ平常の生活は送れないということだろう。
 気軽に”100年時代”などと言ってほしくない、先日、仕事の関係で80代の
男性と酒を飲んだ。いつもカフェで話して分かれるのであるが、その日は機嫌がよかったからか自分の知っている居酒屋で一杯やっていこうということになった。私が氏と酒を飲むのは初めてだった。
 その男性は「大生」と大きなジョッキでビールを注文し、乾杯すると“グビグビ”とうまそうに飲み始めた。きっと強いのだろうと気にしていなかったので、軽く飲んで解散の予定だった。しかし、腰を上げる様子はなく大生を2杯3杯と注文する。私は1杯で腹いっぱいになって、すぐにコップの焼酎に切り替えた。
 最初は話も聞き取れていたのだが、だんだんと呂律が回らなくなり、何を話しているのか聞き取れなくなっていった。男性が笑ったり、なっ!と大声を出すのに合わせてリアクションを取っていたが、話の内容はまったく理解できないようになった。ほぼ2時間、その状態が続いた。
 また、話しながらくしゃみが止まらないようで鼻水が長く糸を引いて伸びていた。持っていたテッシュを差し出しても「〇×△!」と意味不明の大声をあげて拒否、お店のお母さんが心配して様子を見に来るも、糸鼻水の状態で笑いかけて「×〇△!」おかあさんからは小声で「お願い」と言われてしまった。店は30~40人ほどの客が入っていた。
 結局3時間、話の内容もわからぬまま糸鼻水の男性と過ごし、男性がトイレに立った際に勘定して、戻った男性をそのまま店外に連れて出て解散。
電車が心配であったが、そこまでは付き合えなかった。
 通常は人に迷惑をかけるような人ではないのだが、酒が入るとこんなにも変わるのかと驚かされた。「飲ませてはいけない」のである、次からは1杯と言われても断るつもりだ、自分は大丈夫だと思っているのであるが現実はそうではない。別にグダグダだったと言うつもりはないが、やんわりと酒は
避けたい。
 反面教師である、「自分は大丈夫だと思う」のは自分だけで、実際には他人の助力が必要な状態になっている。自身も気を付けたいと思うと同時に、こうした状態を本人にどう伝えたら良いのか困ってしまう。
 私の近所のアパ―トにはカラスを餌付けしている80代と思われる男性がいる、以前は近所の仲の良い同年代の女性が飼っているダックスフンドを散歩させていたが、この犬は亡くなった。しばらくは散歩する男性の姿を見かけたが、最近、早朝にパンを道路に撒く男性を見かけるようになった。そのパンを目的に2羽のカラスが通っている。
 アパートの男性にとっては散歩委託の「犬」の代わりなのだろうが、近所としては迷惑行為である。何度か餌をやる姿をみたが注意することはできなかった。
 人は年を取る、老いてゆくに従って体力や判断力は落ちていく。本人にとっては「大丈夫」であったり「常識」の筈の行為が社会的な倫理からみれば
誤っている場合が生じる。他人が傷ついたり、迷惑を受けなければ良いが運転して事故を起こせば犯罪になってしまう。
 気軽に100歳時代などと言わないでもらいたい、きちんと老いていくにはそれなりの労力と環境が必要とされる。本当にほとんどの人が100歳まで生きる時代になったら、その100歳の層を支えるためには「どれほどの人」が必要になるのだろうか?もっと現実的に考えてみたらどうだろう。


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