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ポリコレ勢「賞賛はしたが、買うとは言ってねェよ!」~バイセクシュアルのスーパーマン~

【更新履歴】
2022年10月16日 :高村武義様からご提供いただいた資料リンクおよび紹介文を追記。
2022年10月17日 :ヒトシンカ様のセンサイクロペディアの記事リンクおよび紹介文を追記。

ゆっくりしていってね!!!

本日Twitterを眺めていたら、こんなニュースが飛び込んで来たわ。

DC、バイセクシュアルのスーパーマンを打ち切り:

・出版社は、カル・エルの息子がカミングアウトし、気候変動否定派と戦うというシリーズを18巻で打ち切り、先月の売り上げはわずか34,000冊に急落した。
・DCは、コミックブックシリーズ「Superman: Son of Kal-El」が12月に終了すると発表した。
・2021年に登場した同シリーズは、クラーク・ケントのバイセクシャルな息子を登場させた。
・その創刊号は68,800部を売り上げたが、最近の売上は40,000部を下回っている

DCは、バイセクシュアル・スーパーマンは来年登場する新タイトルで生き続けると述べている。

※翻訳は引用者による。

DC CANCELS bisexual superman: Publisher pulls series about Kal-El's son coming out and fighting climate change deniers after 18 issues as sales plummeted to just 34,000 last month

"Get woke, go broke"(超意訳:ポリコレに目覚めるとそのコンテンツは売れなくなる)を体現したとも見える事例に、インターネットが騒然となったわ。

なお、"Get woke, go broke"についてはセンサイクロペディアのこちらの記事が詳しいのでこっちを参照して頂戴。

『スーパーマン:サン・オブ・カルエル』において、主人公がバイセクシュアルであることをカミングアウトしたのは第5巻(日本の慣例で今回は「5巻」と訳してみたけど、向こうの仕組みを考えると「5話」と呼ぶべかもしれない)。

これはCNNやBBC等々で世界的にニュースになり、我らが人権後進国ヘルジャパンでも複数のメディアがこれを報じたのよ。

それは絶賛の嵐であり、ワシントン・ポストでも「それは完全に理にかなっている(It makes perfect sense)」と題した記事が出たし、BBCでもほぼ同様よ。作者さんのトム・テイラーさんは「ファンからの声援がとてつもなく多く、そして大量のポジティブな報道には圧倒されるほどだ」との旨をインタビューに答えているわ。

テイラー氏は新たなストーリーへの反応について、ソーシャルメディアでは「荒らし」による挑発を目的としたようなコメントも出ているが、圧倒的に肯定的な内容が多いと話した。
このニュースを読んで泣き出したという人や、生きている間に自分たちのことがスーパーマンに出てくるとは想像していなかったという人たちがいる。(中略)文字どおり、漫画界最強のスーパーヒーローだ」
「『漫画に政治を持ち込むな』という昔ながらの表現を使う人は常にいる。ただそうした人たちは、どの(漫画の)ストーリーも何らかの面で政治的だということを忘れている」

※強調太字は引用者による。

「スーパーマン」はバイセクシュアル 米出版社が最新号について発表(BBC News Japan)


早く日本のマンガもアメリカの先進的な多様性を見習うのよ!

さて。その宣伝効果は凄まじく、ICv2の月間ランキング調査では第6位にマークすることに成功したわ!(CNNやBBCまで使っておいて月間6位が最大かよという差別的発言は受け付けない)

2021年11月当時の月刊コミックランキング(ICv2)


やはり世界は多様性を求めている! この世の本質は光なのだ――と示された訳だけれど、残念ながらその後がふるわず。

サトリさんという方が月間ランキングを追跡したところ、5巻こそ6位だったけれど、じわじわ下落どころか次の6巻で即座に42位まで落ち、その後二度と50位以内に戻ってこなかった事を確認しているわ。

あれ?

たくさんの声援を送ってくれていた人たちは……? あらゆるメディアの記事に「素晴らしい!」とコメントをつけまくっていた人たちは……一体、どこへ行ってしまったの?

【2022年10月16日 23:36追記】
売上は低迷してしまったのだわ。高村武義さんがこちらのTogetterにその情報をまとめて下さっているから参考になさってね!

また、次のような記事も公開されているわ。海外の反応としてはどうだったのか見えてくるわね。


そう。彼らは5巻だけは買ったかもしれないけど、6巻は買わなかった。あるいは「ニュース記事」に感動したけれど、本編には興味なかった。少なくとも、離れたファンを補って上回るほどには買わなかった。

もちろん、別にバイセクシュアルという設定を主人公に採用したことが原因だとは限らないわ。それも後述するように「結構あり得る」とは思うけど。

実際に、ちょっとストーリーや「アメコミのスーパーヒーローものの読者層(性別・年齢)なんかを参照してみると……。

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