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「読みたいことを、書けばいい」に敬意を込めて③人の感性に触れる編
3月22日に書いた②の続きです。ちなみに②の記事はこちら
②の内容をダイジェストでお伝えすると…
①自分のために書くとはどういうことか?まだ腑に落ちない。
②「同人誌をつくったら人生変わった件について。」という本に出会った。
③同人誌を作る心構えとして「おもしろいかおもしろくないかを決めるのは自分。」「私は私を信じるより他に道がないのだ」という言葉があった。
④自分の同人誌がつまらないと決めるのは自分である。つまり、自分がおもしろいと思えるものを書けば、おもしろい同人誌ができあがるのである。
⑤それって人生も一緒だよね。自分がおもしろいと思えることをやっていれば、おもしろい人生になる。そこに他人は関係ないよね。
「読みたいことを、書けばいい」は、やはり同人誌だった
「読みたいことを、書けばいい」は、同人誌を作る人の言葉を代弁していたのか!という事に気づいたら本当にそういう話はあるようで…
こちらのダイヤモンドオンラインの、著者の田中泰延さんとこの本の編集者の今野良介さんの対談記事にそんな話が載っている。
関係するところを引用すると…
――我々は、ツイッターに上げてくれた読者からの感想は、1つ残らず読ませてもらってますよね。その中でも、田中さんの印象に残っている感想はなんですか?
田中:すべてありがたく読ませてもらってますけど、最近、「同人誌」を書いている方からの感想が多いですね。
――はい。「読みたいことを、書けばいい。って、完全に同人誌じゃんw」というツイートをたくさん見かけます。
田中:あれは、「なるほど、そうだ」と思いました。
――『読みたいことを、書けばいい。』の1つのメッセージは、「自分が読んでおもしろくもないものを、他人が読んでおもしろいはずがない」というものでした。たしかに、同人誌を書く方々は、「売れるため」というよりも「自分はこういうものを読みたかった」と思うものを書く、という面がありますよね。
田中:そう。それが、結果的に、たまたま売れたりする。コミケに行くと、5人で作った同人誌が売れに売れて、みんなで100万円ずつ山分けするようなケースもあるらしいんですよ。
――すごいですよね。
同書は、発売当初から「同人誌じゃん」という指摘があったようで…これを見て、自分が同書の次に「同人誌をつくったら人生変わった件について。」を手にとったのもあながちズレた行動ではなかったように思った。
人の事象(体験)と心象が読めるエッセイはおもしろい
実は私は「読みたいことを、書けばいい」を読んでから、気になる本が変わってきた
同人誌にも興味持ったのだが、そこはまだどう入っていけばいいかわからない(笑)ちなみにアニメイトにははじめて侵入してみたが、アワワとなり、「銀の匙」の最終巻を買って出た(笑)
同人誌の世界はちょっとレベル高かったが…私が読むようになったのは「エッセイ」だ。正直、エッセイを買う心境はまったくわからなかった…そんなもん読んで「何の役に立つんだって」って思っていた。
しかし「人の事象(体験)と心象が読めるエッセイはおもしろい」と思うようになったのですね。むしろ「何か役に立つ本」なんてそんなに読みたくないわとすら思う。
ぜひ読んでほしいエンタメ新党の「神々のたそがれ」記事
同書の中で、ウェブで書かれている文章とか、ライターと呼ばれる人たちが書いているのはようは随筆だと説明する。厳密には違うのかもしれないが、要はエッセイだ。
さらに、随筆とは何か?と言えば「事象と心象が」綴られたもの。事象を調べる中で愛せるところが見つかったら、その心象を書くものだと言う。
でそれは具体的には…ということで、同書の中で、「田中泰延が書いた記事10選」が紹介してあるので、それをぜひ読んでほしい。
なによりこの記事を読んでほしい。
「神々のたそがれ」という映画の紹介記事です。
田中泰延の言う「事象と心象」の話がよくわかると思う。
そして私はこんな文章を書けるようになりたいと思った。
マジでボケ倒すだけボケ倒した記事ではあるのですが…ざっと記事の流れを書くとこんな感じになる。
①ストーリーがわけわからんと言い始める
我が田中泰延のネタバレ新党は、ここから出演俳優たちの紹介と、ストーリーの紹介を延々と続けて原稿料を稼ぐビジネスモデルになっているのですが、今回はパス。だってわかんねーんだもん。身入りが減ることになりますが、わからんもんはわからんのや。人間、お金がないと言葉遣いも乱暴になってきますね。とりあえず、どんな映画か雰囲気がわかるスチールを張っておきます。
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②ひたすら汚い画面を見せられて具合が悪くなったと訴える(事象の説明)
ブリューゲルの『バベルの塔』です。まさかと思うかもしれませんが、この絵をよく拡大すると、うんこをしている人がいるのです。
このブリューゲルの絵は、古代の伝説をえがいていますが、描かれている人々の風俗、時代は、不潔で混乱した中世の辺境のものです。
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③こういうことだったのかと気づいたことを述べる(心象の説明)
しかし最後の最後の最後、満員の観客は、ひざを打ちました。口を開けました。大きく息をつきました。ああ、わたしたちが見せられたのは、こういうことだったのか、と。
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④この映画はわけがわからないけど人生そんなもんでしょという結論
たしかにこの映画はわけがわかりません。でも、わけがわからない、それは人生そのものでしょう。わけがわかって生きている人などいないのです。そして、生きるということは黒い泥の中で糞尿にまみれ、臭いを嗅ぎ、唾を吐くことです。灰色の雨の中で憎しみあい、たくさんのことをあきらめることです。
どうでしょうか?
わけわからないでしょう?
でも「汚い映画」だということ(事象)と「人生はわけがわからないものだなぁ」と筆者が思ったこと(心象)だけはわかったでしょうか?
そして、そのわけがわからない文章を私が最後まで楽しく読んだことも伝わったでしょうか?
まぁリンクから読みに行ってみてもらえればと思う
エッセイを読むことは、その人の感性を知ること
エッセイの何がおもしろいって、筆者がその事象から何を読み取って、何を愛したのか?おもしろいと思ったのか?を知れることだ。つまりその人の感性だ。価値観だ。
それは、私が今まさに、自分が読んだものや体験したものを人に「おもしろく伝えたい」という風に思っているからこそかもしれない。
自分の感性を知りたい、育てたい、信じたいと思っているからかもしれない。
つまり「自分が書くこと」を考えると、「人がおもしろがっていること」にも興味がわくのだ。言い換えれば、自分の感性を磨きたければ、人の感性を知りたいのだ。
人は、自分と同じものを見たときに、何を読み取るんだろうか?どんな感想を抱くんだろうか?ということに興味があるのだ。
そうだ、私はおもしろいことを言いたいのだ爆笑的な意味だけでなく。もちろん爆笑もとりたいが…(笑)
続く