しくじり先生~応用編~

前回、当番活動について、自分の失敗から学んだことを書きました。
この「子どもたちが目的を意識(自覚)できるようにする」という考え方は、他の部分にも応用できると思っています。
いくつか例を挙げます。(あくまで「例」ですよ!)

①清掃

【方法】縦割り班で、教室を掃除してきれいにする。
【目的】①「誰かの役に立てた」という自尊感情をもつため。
    ②高学年としての意識を向上させるため。
【価値付けの言葉】
①に気付かせるなら
「みんなのおかげで、教室がきれいになって気持ちがいいよ。
 ありがとう。」
②に気付かせるなら
「君ががんばっているから、下級生が真似してしっかりやっているよ。
 さすがだね。」

清掃も学校をきれいにすることだけが目的ではないですよね。
ふり返りの時にどんな言葉をかけるかで、
清掃活動の価値も変わってきます。
「ちゃんと仕事しなよ」「仕事してえらいね」
という言葉では、子どもは【方法】にしか目が行かず、
【目的】に到達しません。

②かかわり・かかわりのスキル

【方法】かかわって学習する。かかわりのスキルを使う。
【目的】①自分の考えを深めるため。
    ②意欲的にかかわって活動するため。
【価値付けの言葉】
①に気付かせるなら
教師「友達の考えを聞いて、なるほどって思った人?」
  「考えが変わった人?」
子ども(手を挙げる)
教師「かかわって学ぶと、1人じゃ気付けないことに気付けるんだね!」

②に気付かせるなら
教師「反応して(笑顔で)聞いてもらってどうだった?」 
子ども「発表してよかったな、って思った」「安心した」
教師「反応する(笑顔で聞く)と、
   発表する人が嬉しい気持ちになるんだね!」

かかわって学習することも、かかわりのスキルも、
ただ実施するのではなくて
「かかわるとどうなるか」「スキルを使うとどうなるのか」
ということに気付けるように価値づけていけると、
子どもたちの「かかわろう!」という意欲が上がるのではないでしょうか。

③おたよりのタイトル

【方法】みんなで学級通信のタイトルを考える。
【目的】クラスの目標を考えさえ、継続して意識させるため。
【価値付けの言葉】
「おたよりに書いてある○○君の行動は、
 みんなで決めた・・・っていう目標を達成しているよね!」
「2学期の様子をおたよりに書いたけど、4月より成長してるね!
 目標を意識して努力してるからだね!」

私はこれを実践したことはないのですが、
クラスのノリで決まったような意味不明なものを見たことがあったので…。

おたより上で「目標」に即して子どもたちの成長を伝えていくとします。
そうすれば、子どもたちは手紙が出る度に、
先生の【価値付けの言葉】を聞き、
自分達の姿を「目標」と照らし合わせてふり返り、
がんばろうと思うことでしょう。
ただ「おたよりのタイトル決めさせて終わり」では
意味のない活動になってしまう気がします。

④○○週間(あいさつ、健康、学習強調週間など)

【方法】1週間、指定された項目について努力する。
【目的】その行動(あいさつすること、健康に気を付けて生活すること、勉強すること)の価値に気付く。
【価値付けの言葉】
①あいさつ週間なら
子ども「あいさつしたら、気持ちよかった。」
   「あいさつしてもらったら、嬉しかった」
教師 「あいさつは、自分もみんなも、嬉しい気持ちにするんだね!」
②健康週間なら
子ども「早寝早起きをしたら、すっきりして、勉強が頭に入ってくる。」
教師 「早く寝ることで、勉強の効果もアップするんだね!」

こうした○○週間について、
「がんばるのは○○週間の時だけなんですよね…。」
なんて保護者に言われたりします。
でも、これって子どもたちが【方法】にしか目がいってないからではないかと思うのです。
「みんながやってるから…。」「シールがもらえるから…。」
そうしたことに動機づけられている子は、
○○週間が終わったら、やらなくなるのは当然です。
大切なのは、「普段やらないけど、やってみたら、いいことがあった」
という気付きを持たせられるかどうかなのだと思います。
ふり返りを大切にして、みんなで共有するといいかもしれませんね。
(家庭学習強調週間は、考えてみたけど、ちょっと難しかったです…。
 学年×10分をすることで、勉強することの価値に気付けるかなぁ…?)

⑤最後に

このように、同じ事をやっていても、
教師が目的を見ず、価値付けを行わなければ
意味の無い活動になってしまうものが多々あります
(特別活動の話ばかりになってしまいましたが、教科の学習も同様だと思います)。

でも、逆に、教師も子どもも「何のためにやっているのか」を意識して、
しっかりと価値づけていけば、ちょっとした言葉だけで、
効果は大きく変わるとも言えるのではないでしょうか。

子どもたちが、主体的に課題解決するためは、
その活動へ向かうエネルギーが必要です。
子どもたちが
「なんのためにこの学習(活動)をやっているのか」
「自分にとってどんな価値があるのか」
を自覚することができれば、
そのエネルギーは子どもの内側から湧き上がってくるのではないか…
と思っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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