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学びの価値は自分で決める~内容知と方法知~

今回の記事は、以下の記事と関連しています。

内容知と方法知

「内容知」と「方法知」の言葉は、数年前、上越教育大学の赤坂真二先生とお話したときに、1つの授業の中には「教科での学び」と「かかわりでの学び」と2つあるのではないか、と聞いたときに教えてくださった言葉です。

内容知
何が分かったか、何ができたか。
(2けたの足し算のやり方は…だ。江戸幕府を開いたのは徳川家康だ。)
方法知
どうしてできたか。
(得意なA君に教わったから。辞書で調べたから。)

 下の写真を見てください。これは、1年生の算数「かたち」の単元です。「様々な形(立方体・直方体・円柱)の箱を、どうやったら高く積めるか」という課題について考え、子どもたちがグループでまとめました。

グループ1
グループ2

 私が期待していたような答えは、グループ1の答えです。グループ2の答えは、「積むやつを横におく」という答えはよいのですが、「慎重に積む、ゆっくり積む、4人でがんばる」というのは、求めていたものではありませんでした。
 「そういうことじゃないんだけどな…(^^;)」と思いつつ授業が終わったのですが、よくよく考えると「高く積むためには、確かに大切なことだな…。」と思ったのです。もっというと、この子達の出した答えは算数に限らず、全ての場面で大切なことです。

 高学年をもっていて、こうした場面に出会うことはありませんでした。子どもたちは、これまでの学習で学んできたのかもしれません。「算数の課題には、算数の答えを出すものだ」ということを。「慎重にやる、協力するなんて、当然だ」と。

 赤坂先生のいう内容知と方法知に照らし合わせると、上の図のようになるでしょうか(赤坂先生は、方法知と内容知の関係については話していなかったので、図は私の想像です)。
「教科での学び=内容知、かかわりの学び=方法知」と考えるとわかりやすいなぁと思いました(厳密には、方法知はもっと広い概念で、教科の方法知もあるのですが、それはまた今度)。
今回の算数の授業のねらいは「大きいのは下、小さいのは上にするといい」「四角いのは下、小さいのは上」という内容を理解することでした。でも、「慎重にやる、がんばる」に気付くことも大事ですよね…。結局、何が言いたいかというと・・・。

「どっちかできればいいじゃない!!」

はい、極論です(ここからはかなり私見ですよ)。本当は、内容知、方法知、どちらもできるようになるのが理想です。でも、どうしたって能力的に「内容知」が分からない子はいます。じゃあその子にとっての「学び」はどこに成立するのか。「方法知」の部分だけでもいいのではないか…と思うのです。

 …こんな風に「分からないときにどうしたらいいかが分かる」ということは大事です。なんなら、世の中に出て、役に立つのは「高く積む方法」よりも「分からないときに解決する方法」ではありませんか。「学び」の定義は、これから変わっていくような気がしています。
 赤坂先生も、これからのユニバーサルデザインの授業を考えていくとそうなる(内容知が全てではない)だろう、とおっしゃっていました。

 さて、話を戻します。そうなってきた時に大切なのは、「子ども自身の学びへの価値付け」なのです。
 いつも、友達に教えてもらっている子は、「自分はだめだ」と劣等感をもってしまうかもしれません。この子は「内容知」の側面でしか学びを見ていません。だから、考え方を「方法知」に向けさせてあげる必要があります。

どんな子も学びに価値があったと思えるように、以下の2点が大切だと思います。

①教師も「内容知」と「方法知」を意識して子どもと関わり、価値づけていく。
②子どもに、学びを振り返る機会を保証してあげる。

こう考えると、振り返りの大切さを感じますね。
子ども自身が学びの価値に気付ければ、主体的な学び手になっていくはずです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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