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【本の紹介】自分を捨てる仕事術(石井朋彦著)

今回は私が読んだ本「自分を捨てる仕事術」を紹介します。
「自分と向き合って」とnoteでよく発信している私ですが、今回はその逆の発想のタイトルの本を読んでみました。私の違和感への旅をご一緒していただき、お役立ていただけると嬉しいです。


どんな本?

「自分を捨てる仕事術」というタイトル、皆さんはどう思いましたか?
ちょっと勇気が必要、と思った方もいらっしゃるでしょうし、
いつも捨てて頑張ってますよ、という方もいらっしゃるのではないかなと思います。

著者の石井朋彦さんは、アニメーション映画プロデューサーです。
スタジオジブリの名プロデューサー鈴木敏夫さんに若いころ師事していました。
この本は、その時に鈴木さんから教わった会話術、文章術、人心掌握術、トラブル対応など、具体的方法論を綴った本です。
本当にその当時、鈴木さんから教わった言葉とシチュエーションが、リアルなイメージで描かれているため、HOW TO本というよりかは、物語を読んでいるような気さえする本でした。

Amazonのページでは
「何者でもない若者の仕事術」
と銘打って広告的に表示されていますが、本の装丁には
「自己流の壁に悩むすべての人へ」
とあります。

読後感としては、後者の印象のほうが強いイメージです。
「自己流」を一旦見直してみよう、と思えるノウハウや著者のエピソードがふんだんに描かれていて、楽しみながら、親しみを感じながら、あっという間に読み終えてしまう一冊です。

何より、著者が自分を大きく見せず、率直に、フラットな感覚で書かれている点で清々しさを味わえる本とも言えます。

私の気づき

この本を読んだきっかけは、私が所属する「読書会」でこの本を紹介された方の発表を聞いて、違和感があったから、なんです。

発表された方の意見に違和感があったのではなく、本のタイトル「自分を捨てる」というフレーズと、引用されていた文章に違和感がありました。例えば、こんな感じの文面です。

「人を、肩書きで判断しろ」

第1章 自分を捨てて他人を真似る より

実際に読んでみると、どうやらこういう文面は「掴み」というか「ネタ振り」というか「注目を寄せる」的な要素だったんです。
というのも、そのあとに丁寧にこのような「常識とは異なる言葉」の奥に、若き日の著者に教訓として伝えたい別の事があったからだったことが分かりました。

こういった内容があらゆるところで、たくさんでてきます。
「掴み」を狙いたいのはわかるし、そのあとの本当に伝えたい別の事も分かるけれど、この違和感は何なのだろうかと思いました。

違和感に対して、これまで割と避けてきましたが、最近はとても大切なことなんじゃないかと感じていて、この違和感の正体を突き止めたくなっています(笑)。
少し前の私ならば、読むのを放棄したと思うのですが、今回は違和感を明確にするための旅だと思って、最後まで読みました。

私が最大級に違和感が満載になったのは以下の文章です。

「自分のことばかり考えている人が、鬱になるんだよ」  と言っていました。
(中略)
自分のモチベーションとか、成功とか、自己実現とか、そういうものにこだわりすぎる人は、どんどん心が狭くなる、というのです。

第1章 自分を捨てて他人を真似る より

正直なところ、違和感を超えて、嫌悪感さえ感じてしまいました💦
もちろん、この文章のあとに「だから、他者の意見を聞いてね」という、本書で伝えたい教訓となる「本当に伝えたいこと」は存在します。

ただ、『自分のことばかり考えている人が鬱になる』という文章に、「決めつけ」や「押しつけ」の感覚が残っていたんです。

その結果、そのあとに出てくる「本当に伝えたいこと」は、素直に読めなくなったようです。これが、違和感の正体でした。

私の違和感の実況中継を終えてみて、改めて違和感のある文章に戻ってみると、「自分のことばかり」という文言と、「こだわりすぎる人」という文言が目に入ってきました。
ここがポイントなんですよね。

つまり、この「掴み」の言葉は、自己主張や自我が「強過ぎる」といったイメージで言われたものだったということに気が付いたんです。
そう思って読み返すと、違和感の正体を突き止めたこともあってか、かなりすんなり読めました。

他者が発する言葉は、本当によくよく冷静に聞かなければ、自分の認知バイアスがかかって聞こえてくるものです。
特に、何かを強調して伝えたい人の言葉には気を付けて聞きたいものだなと思いました。

ふと、そんな「掴み」の言葉はSNSの短文の投稿にも似ているな、と思いました。
SNSなどで、強い断言で発信されている言葉や、強い自己主張、強い非難などの言葉は、何かを前提とした「過ぎる」ものに対する発信だったり、私の違和感の正体の「決めつけ」や「押しつけ」が本当にあったりします。
そういった「掴み」の言葉に遭遇したときには、その背景にあるもの、その人が本当に言いたいこと、これらに十分に注意して冷静に聞く必要があるかなと思います。

そうすることで、それが自分にとって「必要な言葉」なのか、「不必要な言葉」なのか、選べるようになるのではないでしょうか。

皆さんもよかったら、「違和感を大切にする旅」にでかけてみませんか?
きっと、自分のなかで「大切にしたいこと」「スルーすること」の選択ができるようになりますよ。

おすすめポイント

今回の私の「気づき」のコーナーは著書の内容とはかなり外れてしまったので、少し唐突感のある記載にはなりますが、本書そのものは、愛情あふれるベテランの方が自己主張溢れる若者に教訓を伝えた本です。
そういう意味で、本書は以下の方々におすすめします。

自分の意見が聞いてもらえない、と思っている方には、「他者目線になる」という意味で、おすすめの本です。

「自己流の壁に悩むすべての人へ」とサブタイトルにあるのは、その通りだと思います。
意見を通そうとしたときにうまくいかないなぁ、という心当たりのある方にも参考になると思います。

自分を捨てる、までいかなくとも、「どうやったら相手のことを考えた行動ができるかな?」という考える糸口になると思いますよ。


「自分を捨てるってどういうこと?」と思われた方、
「相手のことを考えるって?」と思われた方、
私でよろしければ、壁打ちのお相手を
させていただきます。
以下のURLにてご相談依頼してくださいね。
インテグリティ合同会社お問い合わせページ

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