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【本の紹介】1兆ドルコーチ(エリック・シュミット著)

今回は私が読んだ本「1兆ドルコーチ」を紹介します。
ずいぶん前から気になっていた本を今、読んでみて、会社員の時に読めばよかったなぁと思える本でした。
管理職の皆さんにぜひ読んでいただきたい本です。


どんな本?

この本は、シリコンバレーの巨人たちの師匠・コーチとして彼らに大きな影響を与え、2016年に他界された「ビル・キャンベル」の「ビジネス成功の教え」について書かれた一冊です。
著者はグーグルの元会長と共同創業者で、実際に彼らが教えてもらった経験と彼ら以外に対する膨大な取材から描き出した本です。

ビル・キャンベルは基本的にはグーグルに在籍していたのですが、その前はアップルにも在籍しており、スティーブ・ジョブズの良き相談相手でもあったそうです。

もともと、アメフトのコーチであったビル・キャンベルが経営者となり、その後、経営者をサポートする師匠となって、様々な名言や考え方を残した功績を称え、この書籍は生まれました。

序文は、アダム・グラントにより記載されています。
アダム・グラントといえば、私がすぐに思いつくのは「GIVE&TAKE」という本で「成功するギバーになれ」という説を提唱し、その視点の鋭さで多くの読者を魅了した人です。

そんな視点を持つ人が序文を執筆するほど、ビル・キャンベルは偉大であったということだと思います。序文ではこんなことが記載されています。

勝利することよりも、彼らが豊かな人生を送ることのほうが、彼にとっては大事だった。
(中略)
ビルは時代を先取りしていた。彼がみずからの経験から導き出した教訓は、人間関係の質がキャリアや企業の命運を握る、現代の共創的な世界においてまさしく重要なものだ。

序文ーシリコンバレー最大の伝説 より

この序文を読むと、本文に大きな期待してしまいますが、その大きな期待を上回る、「業績」と「人間関係」をうまく融合させた「教え」がいっぱい詰まった一冊です。

私の気づき

私が会社員で管理職だったころ、「成果」と「人を大切に」の二つの要素を「相反するもの」といったイメージで抱いていて、その二つを融合させるにはどうしたらいいのだろうか?を、常に考えていました。

その「相反するもの」というイメージは、ちょっと「筋違い」だったな、と気づいたのは、本を読み始めてすぐにある文章がきっかけでした。

企業の成功にとって、スマート・クリエイティブを生かす環境と同じくらい重要な要素がもう一つある。それは、さまざまな利害をまとめ、意見のちがいは脇に置いて、会社のためになることに個人としても集団としても全力で取り組む、「コミュニティ」として機能するチームだ。

Chapter1 ビルならどうするか? より

すごくシンプルな話なのですが、そもそも会社やコミュニティは「一人では成しえないことを成し遂げるためにチームを作っている」ということなんですよね。
それを、当時の私は、何となく理解していたものの、深い理解が足りていなかったんだなと思いました。
「相反するもの」というよりかは、「成果」のために「人を大切にする」、もしくは「人を大切にする」ことで「成果」の果実を受け取れる、という相乗効果だったんだなという気づきになりました。

また、理解が中途半端なものだったということに気づいた二つ目の文章は以下になります。

「ライバルたちからなるチーム」をコミュニティに変え、足並みをそろえて共通の目標に向かわせることが重要になる。

Chapter1 ビルならどうするか? より

私が社会人になったころは、同期同士を競わせる、的なマネジメントがあったように記憶しています。
でも、同じ目標に向かうメンバーで競わせて、いい方向になるケースもありますが、当事者がちょっと未熟だったら、悪い方向(相手に勝つことが目的になる、とか?)になりかねないよなぁ、とは思ってはいたものの、「足並みをそろえる」という言葉で理解はできていなかったなと思います。

もう少し「深い理解」にたどり着きたい気がして読み進めたところ、以下の文章に出会いました。

全員が、個人の利益よりチームの利益をを優先させる覚悟を持たなくてはならない。こうした熱意があればこそ、チームは偉業を成し遂げる。
だからビルは問題に直面すると、問題そのものではなく、問題を任されたチームについて考えたのだ。チームを良い状態に持っていけば、必ず問題をうまく解決することができる。

Chapter4 チーム・ファースト より

「全員が、個人の利益よりチームの利益を優先」というこの一文、若干、「イマドキ」の理論ではなさそうに見えるのですが、限度さえ守れば、この理論はとても理にかなったものになります。
「イマドキ」は、「個の価値観を優先」ということがフォーカスされすぎていて、「チームの利益」に対する理解が浅くなってしまっているようにも思います。(だから、私は「成果」と「人を大切に」が相反するものと思っていたのだと思います)

そして、チームの利益に問題があるとするならば、「個の利益」に問題があるのではなく、チームを良い状態にする、という発想になることが重要なんですよね。問題そのものの原因を探るのではなく、「みんなで解決しよう」という意識になれるかどうか??と考えれば、確かに問題解決には早く到達できそうです。
一人で考えるより、各自の持ち場で出されたアイデアを融合させた解決策ができれば、新たな良いものが生み出される、そんな気がしました。

そして、最も唸った一文が以下です。

「人を大切にするには、人に関心を持たなくてはならない」

Chapter5 パワー・オブ・ラブ より

「成果」と「人を大切に」が相反するものとしたままでは、この一文は素通りしたような気がします。
ですが、「成果」のために「チーム」を作る、「チーム」を機能させるために「人を大切にする」という順番で考えると、「成果」のために、それぞれのメンバーが「人に関心を持つ」ということになります。

チームのメンバーのそれぞれが、メンバー同士で関心を持つことができれば、強みと弱みを補い合う関係が生まれます。
そうすることで、チーム内の分業の形態も変わっていくのではないか?と思える本になりました。

おすすめポイント

管理職の皆さんにはぜひ手に取っていただきたい一冊です。
成果と人のマネジメントの両立に苦労している・・・と思う人であれば、きっと役に立つと思います。

また、新たな事業やコミュニティを作り始めた方にもおすすめです。
これから成し遂げたいことの要素に「人」は欠かせません。
きっとその「人」を探し出すヒントもくれると思いますよ。


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