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【先人の理論】マネジリアル・グリッド理論

リーダーのあり方を分類する理論「マネジリアル・グリッド理論」を土台に「現状」と「ありたい姿」という切り口で書いてみました。
みなさんのお役に立てると嬉しいです。


どんな理論?

組織で仕事をするときに、「人」と「成果」の2軸があり、その両立に悩む方は多いのではないでしょうか?
今日は、その2軸を理論化した「マネジリアル・グリッド理論」がテーマです。

「マネジリアル・グリッド理論」は1964年にロバート・ブレイクとジェーン・ムートンによって提唱された、リーダーの行動を2つの軸で分類し、最適なリーダーシップスタイルを探るためのフレームワークです。

その2つの軸は以下のようなものです。

  1. 対人関係への関心(人への配慮)
    部下やチームメンバーの感情、満足度、労働条件の確立等を重視する姿勢。

  2. 課題達成への関心(成果への配慮)
    タスクや目標の達成、成果物の効率的な生産性、その質の高さ等を重視する姿勢。

5つのリーダーシップスタイル
上記の2軸の「関心の高さ」の強弱を1点から9点で評点し、その組み合わせで以下の5つのスタイルに分類します。
1.1,1型: 放任型(人にも成果にも関心が弱い)
両方の関心が低く、結果的にチームの士気も業績も低迷する傾向があります。
2.1,9型: カントリークラブ型(人への関心は強いが、成果への関心が弱い)
人間関係を重視し、チームメンバーの快適さに力を注ぎますが、業務の目標達成には消極的です。結果よりも和やかな雰囲気を優先します。
3.9,1型: 権威型(人への関心が弱く、成果への関心が強い)
業務の成果を最優先とし、人間関係にはあまり配慮しません。結果重視で、厳しい管理を行うため、短期的には成果を出せますが、長期的にはチームの士気が低下する可能性があります。
4.5,5型: 中庸型(人への関心と成果への関心のバランスを重視)
人間関係と業務のバランスを取るタイプです。ただし、両方を中途半端に捉えがちで、最高の成果を出すにはやや不十分です。
5.9,9型: 理想型(人への関心も成果への関心も強い)
両方に高い関心を示す理想的なリーダーシップスタイルです。チームメンバーと協力して高い業績を達成するとともに、チームの士気や満足度も高めます。

この理論は、管理職研修や組織診断ツールとして広く活用されており、
「9,9型」を理想として、そこに向けて打ち手を検討していくという使い方が考えられています。

私が思うこと

この理論の2軸を見たときに「その2つの軸は説明されなくても分かってますよ」と思った方は多いのではないでしょうか?

この理論が提唱されたのは1964年で、世界的にも「トップダウン」であったり「技術向上」といった風潮が強い時代だったこともあって、「人への関心」という軸が新しい感覚だったからこそ、この理論に注目が集まったのではないかと思っています。

そして、ちょうど60年経過した、2024年の今では、「人の個性」や「どうありたいか」といった問いを投げかけることが当たり前の風潮になってきて「人への関心」の軸の方が大きくなったんだなと思います。

となると、今は、この理論を使って考えるべきは「バランス」になるのではないかなと思いました。

その「バランス」を考えるにあたり、現在の組織の状態がどのような立ち位置にあるのか?ということを知るために、この理論の評価方法で「まずは現状がどうであるか?」を知ることが大切です。
この「知る」というステップがなければ、「具体的にどうバランスを取るか?」という点が見つからないですよね。

ただ、「現状を知る」だけだと、現時点での「改善」にしかなりません。
その前に考えるべき大事なことがあり、それは
「どんな組織にして、どのような価値を提供していきたいのか?」
という、その組織の「ありたい姿」なのではないでしょうか。

もし、その「ありたい姿」が
「一糸乱れず、軍隊のような規律性を持って、絶対的に正確な●●というサービスを提供する」
だったとするならば、もしかすると、「9,1型権威型」のほうがよいのかもしれません。
また、「ありたい姿」が
「安心した穏やかな空気の中でしか生み出せないような、●●というサービスを提供する」
だったとするならば、「1,9型カントリークラブ型」や「5,5型中庸型」のほうがいいのかもしれません。

同じ企業内であったとしても職務が異なると採用する型が変わってくるかもしれませんね。
「製品を製造する」組織なら「正確性(成果への関心)」を、「カスタマーサポート」組織とでは、「温かさ(人への関心)」など、求める型が異なる、ということもありそうです。

とはいえ、人は相手に対して「完璧」を求めがちな生き物だとも言えます。
例えば「医者」を例にとってみると、正確性は当たり前の前提で、温かい気遣いもなくては、と思う人も多いのではないでしょうか。
それは、この理論で言うところの「9,9型理想型」になるというイメージです。

限りなく「9,9型理想型」を目指しつつも、組織の「現状」と「ありたい姿」によって、適切なバランスを見極めることが大事、ということになりますね。
例えば、少しだけ「成果への関心」を高くする、「人への関心」を高くする、といった選択(施策の追加)をしていくことがいいのかもしれません。

また、その姿勢をメンバーが分かりやすい状態にしておくことも必要かもしれません。
メンバー自身が「人に関心を向ける職場であってほしい」と思っているのに、その組織が「成果への関心」が高めの組織である場合、組織への順応に時間がかかるかもしれません。(順応する前に離職に至る可能性もあります)
こう考えると、採用のときに「こういう職場なんですよ」というアナウンスすることも効果的かもしれませんね。

「●●(例;アットホーム)な組織で△△(例;心温まる癒し)のサービスを提供します」
という言葉を一言で表せるようにしておくと、
メンバーの意識合わせだけでなく、採用や顧客等の外部への訴求ポイントにもなるかもしれませんね。

これまで、組織を中心に思うことを述べてきましたが、
「人への関心」「成果への関心」の2軸は、個人の「生き方」にも適用できますよね。
個人であっても「9,9型理想型」がいいのは分かっている、
でも、「現状」はどうだろうか?
自分の「ありたい姿」はどうだろうか?
そんなことを考えてはどうでしょうか?

皆さんへの問いかけ

皆さんの組織は「現状」と「ありたい姿」が
「人への関心」「成果への関心」という軸で、明確になっていますか?

皆さんご自身の人生では「現状」と「ありたい姿」が
「人への関心」「成果への関心」という軸で、明確になっていますか?

一度、時間を取って「書き出してみる」といったところからスタートしてみてはいかがでしょうか?
きっと、次にどうするのか?という先の一歩が見えるようになると思いますよ。


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