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【本の紹介】何度でもリセット(安永雄彦著)

今回は私が読んだ本「何度でもリセット」を紹介します。
前から気になっていた著者(銀行マンから僧侶になった方)の本を手に取ってみました。
Kindle Unlimitedに加入されている方は無料で読めますよ。


どんな本?

この本の著者は21年の銀行マン生活からコンサルに転身した後、僧侶として築地本願寺で改革を行い、現在は京都の西本願寺で執行長として「開かれたお寺」を目指して寺院改革をされておられます。
また、グロービス経営大学院などでも教鞭を執られています。

銀行マンから僧侶という流れが面白いですよね。
コロナの渦中で法事をZOOMで執り行うという手法がテレビで報道されていて、この著者のことは前から気になっていました。

この本のサブタイトルは「会社軸から自分軸へ転換するマインドセット」とあります。

銀行という、かなり固い業界の会社員でありながら、その中で会社軸から自分軸へ転換したという著者の経験と、現在の僧侶としての「あり方」を感じさせる思いや、考え方や、ノウハウまで含めてコンパクトにまとめられた一冊になっています。

私がこの本で主張することをひとことで言えば、「自分の軸をもって主体的に自分の人生を生きよう」ということです。 そして、「失敗を恐れず、チャレンジして、そこから学び、次の成長に向かって少しでも行動を起こしてゆこう」ということを皆さんに伝えていきたいと思います。

はじめに より

上記のような主旨で書かれた本なので、会社員として忠実に会社の言うことに従ってきた中高年の方に最も響く本かなと思います。

また、著者ご自身の「落ち込むことがあります」という自己開示から、その回復方法などにも触れており、親近感が沸くとともに、「自分軸」をもって人生を豊かにするために、本のタイトル通り「何度でもリセット」できると思える本です。

私の気づき

この本では、主旨や考え方、ノウハウともに「そうねそうね!」と頷きながら、あっという間に読めてしまいました。

そんな中で、深く考えてみたい、と思う文章に出会いました。

登山をするときに、上を目指すときのゴールは一つ、山頂です。行き方やルートは一つではないにしても、目標とする地点は皆同じです。 「下山」の場合はどうでしょうか。山の麓へと、目指す地点は一つではありません。 360度、ぐるりと見渡して、さてどこに向かって下りるのか。選択肢は無限にあります。 すなわち、「どこへ向かうのか」と目標を定める意思決定が不可欠になるのです。

第1章 仕事で自分をなくしていませんか? より

まさしく「会社軸」から「自分軸」に変えるときの比喩として、最適な表現だなと思いました。

一方で、登山するにも「どんな山に登るのか?」もしくは、「どんな山に登ってきたのか?」という問いも必要なのではないかなと思いました。
「どんな山」とは、「山」と言っても、高い山や面積の広い山といった「大きい山」もあれば、子供でも山頂にたどり着ける低くて面積の狭い「小さい山」もあります。

これを人生に例えると、「これまで、どのような事を、どれくらいの本気度でやってきたか?」ということではないでしょうか。
恐らく、著者は銀行でもイギリス留学をさせてもらえるようなエリートで、「大きい山」を登ってきたからこそ、「下山」についても選択肢がたくさんあり、どこに降りるのかを慎重に考えることができたのだろう、そんな解釈もできるなと考えました。

つまり、「大きい山」に登っていたほうが、下山のときの選択肢がたくさんあり、どこに降りようかということを深く考えられるのだろうか、そんなことをイメージしました。

であれば、山に登るときはエリート街道であるかどうかはともかく、
自分なりに「大きい」と思う山に登ってみる、
という過程があると、下山の選択肢が増えて、キャリアチェンジのような「下山」の過程でも「選択の自由」が増えるということではないでしょうか。

つまり、自分で登る山を選ぶプロセスが、自己決定そのものになる、ということです。
そうやって、選択肢が増えることで、自分で選んだ登る山を起点に、キャリアの可能性が広がるイメージができるのではないでしょうか。

人は、「自己選択」や「自己決定」ができる選択肢があると、迷うかもしれません。
ですが、その自己決定が幸福につながり、豊かな人生になる、という持論を持つ私としては、自分にとっての「大きな山」に登っていただろうか?という問いにつながりました。
皆さんは、これまで登ってきた山の経験は、ご自身の選択肢をどれだけ広げていると考えられますか?

そして、自分にとっての「大きな山」に登っていたとするならば、そこには多くの苦難があるのは想像しやすいですよね。
そこで得た経験や知恵というものが、下山の時の強い味方になる、そんなことを思いました。

そう思って最後まで読んでみたら、以下の文章に出会いました。

思い通りにならず、ままならないもの。それが人生なのです。
現実と折り合いをつけるには、相手を変えるのか、自分を変えるのか。
相手を変えられるなんて滅多にできることではありませんから、結局は自分を変えるしかない。
ただし、「自分の軸」を曲げるのではなく、相手との向き合い方を変えるという意味です。

第6章 失敗や逆境に負けない自分になる より

自分にとっての「大きな山」に登ったからこそ経験できる苦難があれば、
「現実と折り合いをつける」ことも経験しているはず。
その経験において、著者の言う「「自分の軸」を曲げるのではなく、相手との向き合い方を変える」という知恵を持って生きてきただろうか?
そんな問いも自分に投げかけられるなと思いました。

正直なところ、私は「現実と折り合いをつける」まで、相当な時間を要したなと思います。特に30代から40代前半にかけてが厳しかった。
自分のことを「まるで思春期だな」と思っていたことを思い出しました。

40代のとある仕事での出会いがきっかけで、ようやく「現実との折り合いをつける」がどういうことかが何となくわかってきたように思います。
それには、やはり、自分にとっての「大きな山」での出会いで遭遇した方々からの教えや、コミュニケーションによる気づきがあったからこそ、かなぁと思います。
そんな経験は私だけでなく、皆さんにもきっとありますよね。
辛い中でも曲げなかった軸が、今のご自身を支えているのではないでしょうか?
そんな気づきもぜひ獲得していただきたいなと思います。

おすすめポイント

会社の中で、厳しい立ち位置を潜り抜けてきた中高年の方は、共感ポイントが多く、ご自身を振り返り、今後の人生を考えるときに役立つ良書になると思います。

また、「大きな山」って何だろう?と思い、これから「大きな山」に登ってみたい、と思う方にとっても、そんな山に登ってみよう、という勇気をもらえる本だと思います。

この本を通して、ご自身の選択肢の広がりを感じたい方にも、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。


「大きな登山を克服しきれていない・・」と思われた方、
「下山がこれからで、どうしようかな」と思われた方、
私でよろしければ、壁打ちのお相手を
させていただきます。
以下のURLにてご相談依頼してくださいね。
インテグリティ合同会社お問い合わせページ

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