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【先人の理論】終わりよければすべてよし 直近バイアス

「終わりよければすべてよし」って、よく言いますよね?
その根拠となっている「直近バイアス」について、その理論から「立つ鳥跡を濁さず」をテーマにして思うことを書いてみました。
みなさんのお役に立てると嬉しいです。


どんな理論?

「直近バイアス」とは、直近の出来事や情報を過大評価し、過去の出来事や長期的な傾向を軽視してしまう心理的な傾向を指します。
これは、人間の記憶や判断が新しい情報に影響されやすいことに起因しています。

「直近バイアス」は、特定の人物が明確に提唱したものではなく、記憶や意思決定に関する複数の心理学者の研究によって裏付けられた概念です。
様々な研究者によって積み重なって得られた確実性の高い理論ということになります。

私たちは、出来事の評価をするときに、最初から最後までのすべてを均等に見ることができるわけではありません。
この「直近バイアス」によって、最後の出来事が強く記憶に残り、全体の印象を決定づけてしまう傾向があります。

たとえば、映画やドラマでも「ラストシーンが良ければ名作」と評価されることが多く、接客やプレゼンでも「最後の印象」が成功を左右するともいわれています。

これは、「終わりよければすべてよし」という言葉を心理学的に裏付けるものだと言えます。
逆に言えば、どんなに良いプロセスを積み重ねていても、最後の印象が悪ければ全体の評価が下がってしまう こともあるため、ビジネスでも日常生活でも「終わり方」には注意を払ったほうがいい、とも言えますよね。

直近バイアスは他者への評価の理論として語られることが多いですが、今回は『自分自身の整理』という視点で考えてみたいと思います。

せっかく積み上げたプロセスを台無しにしないようにするために、ものごとの「終わり」を意識する、つまりは、運頼みではなく、自分でよい終わりを作ることについて、思うことを書いてみました。

私が思うこと

「終わり良ければすべてよし」は、皆さんも日常の中で経験しているのではないでしょうか?
たとえ、気持ちが乗らなかった仕事でも、最後は気持ちよく終わりたい、そう思ったことはありませんか?

私が最初にそう思ったのは、若かりし頃、JALの予約センターで働いていた時でした。
人事総務の仕事に異動するため、予約センターの仕事の最終日の最後に受ける電話はお客様と素敵な会話をして終わりたい、と思って、その日の業務に就きました。

ところが、私の願いは儚く終わり、今で言うところの「カスハラ(カスタマーハラスメント)」の電話で終わりました(泣)
今で言うところの「マウントを取られる」ような後味のなんとも悪いものでした。

その時の経験が「直近バイアス」で印象付けられ、
30年近く経過してもまだ残っているわけですから、この事態に対して「どんな仕事も終わりが大事」と、ずっと思ってきたように思います。

この発想は、「自分が置かれた状況」つまりは、「運頼み」的な発想にあるという考え方にあった、ということに、かなり時間が経過してから気づきました。

「終わりよければすべてよし」は、たまたま遭遇した事態に対して呼応するものではなく、自らの力の及ぶ範囲で「よいものにする」という発想が必要だったんですよね。
別の言葉で言い換えると「立つ鳥跡を濁さず」です。

「終わり」がある状況というのは、何かを「始める」状況でもあります。
異なる場所でのチャレンジが待っている状況とも言えます。

だからこそ、今の場所での「終わり」に対してきれいに後片付けして、スッキリした気持ち、つまりは終わりにする場所への感謝の気持ちで次に向かおう、そう思えるようになりました。

直近の長く勤めた会社の退職では、それが実現できて、自分にとって、本当にいい経験になったなと思います。

冒頭のJAL予約センターの仕事でも、「立つ鳥跡を濁さず」の自らできること、という発想で考えると、
・カスハラであったとしても誠実に対応した自分をほめる
とか
・お客様はともかく、一緒に働いていたメンバーに対して感謝を述べる
といったことができたのではないかな?と、今は思います。

また、一日の終わりも同じように気持ちよくしたいものですよね。
仕事の終わりには「今日もよく頑張ったな」と振り返り、「次の日の仕事」に思いを馳せられるような仕事の片づけ方をしたりすることもできるでしょうし、
眠る前に「今日あった感謝すること・よかったこと」を振り返って、明日の朝が楽しみになる、といったこともできますよね。

こうやって考えると、直近バイアスという心理を利用して、そのプロセスも大事にすることができるかもしれないですね。

今、自分にできる「立つ鳥跡を濁さず」は何だろう?
そんなことを考えて毎日を過ごすと、より幸せな人生になりそうな気がしませんか?

皆さんへの問いかけ

「直近バイアス」で心が動いた出来事はありますか?
それは、自分で意識してよい終わりを作ったものでしたか? それとも、偶然の流れに左右されたものでしたか?

もし、心に引っかかっていることがあるようであれば、
その直近の出来事に対して、「ありがとう」と言ってみて、
自分が変えられるものに視点をあててみませんか?


「終わりにしようとしていることがある」とお悩みの方、
「キレイに終われなかった出来事を振り返りたい」と思われた方、
私でよろしければ、壁打ちのお相手をさせていただきますよ。
以下のURLにて、ご相談を承ります。

お問い合わせ | インテグリティ合同会社 (t-integrity.com)

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