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【本の紹介】成長を支援するということ(リチャード・ボヤツィス&メルヴィン・L・スミス&エレン・ヴァン・オーステン著)

今回は私が読んだ本「成長を支援するということ」を紹介します。
コーチングの本という印象がサブタイトルから伺えますが、成長を支援する側だけでなく、される側(=自分が成長したいと思う人)向けの本でもあると思います。


どんな本?

著者の3名は、ケース・ウェスタン・リザーブ大学の組織行動学の専門家であり、コーチングの分野においても長年研究を重ねています。
そんな彼らの学術的な見解とエビデンスに基づいた理論であるため、
とても説得力のある本です。

この本では、そんな著者3名が
「長期的な夢やビジョン」を支援する『思いやりのコーチング』と、
課題解決を重視する『誘導型のコーチング』という
2つのアプローチを対比し、長期的な成長を支援する方法を紹介しています。

そして、最初から最後まで一貫して、
『思いやりのコーチング』を推奨しており、
その対極的な位置づけの『誘導型のコーチング』では
長期的な解決になり得ない、という姿勢で記されています。

コーチングの指南書ではあるものの、様々なシーンで十分に役立つ考え方を示唆してくれます。

章ごとに「まとめ」と、ワークがありますので、ワークを楽しみながら読める一冊です。

私の気づき

コーチングという技術を身につけ、より多くの人に「見晴らしの良い景色を見てほしい」と、常々思ってはいるものの、
実際にコーチングの場で「今日は何についてお話しますか?」という最初の問いかけをするときに
ついつい、「何か困った事があるのだろうか?」という課題解決の想像をしてしまうことがあります。

そんな私に以下の文章は大切なことを教えてくれました。

私たちの研究が示すところでは、欠点を修正したり、ギャップを埋めたりすることだけが目的であるとき、人は持続的な変化に必要な努力をあまりしない。反対に、長期的な夢やビジョンがあるとき、人はそのビジョンからエネルギーを引きだし、困難があっても変化のための努力を続けることができる。

1.支援の本質 より

この引用で、困ったことにフォーカスしすぎると、相手の本当の願いにアクセスし損なう、
つまりは効果的なコーチングを妨げることになるかもしれないと思いました。

上記の引用にある「変化のための努力」は、「夢をかなえるための義務」と
イメージしました。
そうすると、どこからが「義務」で、どこからが「願望」になるのかが、
自分でも整理がつかないときがあるのではないかとも思いました。
(私もその区別がつかないなと思うときがあります(笑))

そのヒントが以下の文章で書かれていました。

重要なのは、「強い願望」が「義務感」を上回ることである。

3.思いやりのコーチング より

シンプルな文面でしたが、言われてみれば当たり前、とも思えて、納得しました。
願望が強いかどうか?で「義務」の感じ方が変わってくるかもしれないなと思いました。
願望が強ければ強いほど、義務が単なる義務から「夢への階段」のように思えそうです。

とはいえ、「長期的な夢やビジョン」には、「願望」だけでなく「義務」の共存は避けられず、いくら「夢の階段だ!」と思っても、
義務の量は、願望が高ければ高いほどハードルが高くなることもありえます。
また、「義務」から人は、ついつい逃れたくなるものです。
そこはどう捉えている?と思いつつ、読み進めました。

そこで以下の文章に出会いました。

問題解決ネットワークと共感ネットワークはおおむね独立しており、つねに互いを抑制する。しかしプロとして、マネジャーとして、リーダーとして、私たちはこの2つをうまく使い分ける必要がある。重要なのは、二者のあいだをうまく行ったり来たりすることだ。

5.生存と繁栄 より

願望と義務の共存から離れた話ではあったのですが、
(本書ではそのような解釈ではない別の話なので、引用文に少し違和感があるかもしれません)
私の中では、「義務」が「問題解決ネットワーク」により達成されること、
「願望」は「共感ネットワーク」により達成されること、と読み替えました。

つまり、「2つをうまく使い分ける」「二者のあいだをうまく行ったり来たりする」ことが大事なのだという点の気づきです。

二つの相反するもの(願望と義務)のバランスを、
自分で上手く回せる人は、他者からの支援は少なめで良く、
(そういう人たちは「いや、分かってますから」となりますよね)
自分で上手く回せない人は、他者からの支援を様々な形で受け取るのが良いのかなと推測しました。
(上手く回せない時には、誰かに聞いてもらうところからスタートすると
 最初の整理ができそうですよね)

支援する立場から考えると、このバランスをうまく取れるように
俯瞰的に見れていないケースにおいては、特に、第三者の視点からの
フィードバックもを多めにするかどうか?を変えていくイメージかなと
思います。

これは、当たり前のようで、なかなか言語化ができていなかったことだなと思いました。

おすすめポイント

この本は、コーチングに興味のある方はもちろんのこと、部下育成や子育てで成長を支援する立場の方におすすめです。
私の気付き以外の文章で、具体例やワークを交えて「夢を持つこと」の大切さを教えてくれます。

また、ご自身の夢を実現させたい方にもおすすめです。
「自分との向き合い方」の参考にもなりますし、
他者からコーチングや上司からの指導を受けるときにも、
大切にすべきポイントがどこなのか?が参考になると思います。


「成長の支援をしてほしいな」と思われた方、
夢の実現の過程で「フィードバックがほしいな」と思われた方、
ぜひ、以下のURLにてご相談依頼してくださいね。
インテグリティ合同会社お問い合わせページ


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