【先人の理論】フロー理論
今回は「没頭状態」ともいわれる、フロー状態について投稿します。
アスリートなど、緊張状態にある人が心身を整える方法としてよく聞かれる理論ですが、みなさんのお役に立てると嬉しいです。
どんな理論?
何かに没頭して、あっという間に時間が過ぎていた、そんな経験を持ったことのある人は多いのではないでしょうか?
そんな状態を様々なところで、自分が望む時に発揮できると、仕事では集中力を発揮して成果につながりますし、プライベートでは、ちょっとした活動でも満喫できて、充実した毎日になり、豊かな人生になりそうですよね。
今日はそんな人生を手に入れるための「フロー理論」についてお伝えします。
フロー理論を提唱したのは、アメリカの心理学者、ミハイ・チクセントミハイです。
「没頭状態」つまり、「フロー状態」を理論として体系化したもので、この理論を知っておくと、どうやって没頭状態というものに入れるのか?という手段が分かる、というものです。
皆さんのお役に立つ、という観点から「フロー状態」に入るための条件について、まずお伝えします。(諸説ありますが、今回は以下の7条件でお伝えします。)ちなみに、カッコ内の説明は私の解釈です。
挑戦とスキルのバランスを取る(すごく難しい、すごく簡単、ではなく心地よい挑戦ができる程度)
明確な目標を持つ(目指すものがあって主体的に取り組めること)
即時フィードバックを得る(自分の行動が目標に向かって効果的に進んでいるかどうかをリアルタイムで知ることができると、行動の調整がしやすく、集中力を維持できる)
注意を一点に集中させる環境を整える(気分が散漫にならなくて、自分が集中できる場所、つまりは、他者に介入されない状態が必要)
自分の意識を消し、行動に没頭する(行動だけに集中できるような状態で、他者の目や自分の恐れから離れられるような活動であること)
時間感覚の変化を受け入れる(あっという間に時間が過ぎてしまった状態を後悔しないようなイメージ。たとえば、アラームをかけておいてそこまでは集中してい状態を作る、など)
内発的動機に基づいた活動を行う(何より、これですね。自分が「これをやりたい」と心から思っている、もしくは「これを、今やらないと後悔する」といった動機があることが大事)
いかがでしょうか?
みなさんは、このような状態を「フロー状態」になるための条件を確保することはできるでしょうか?
このほか、チクセントミハイは8つのメンタル状態についても論じており、
縦軸に挑戦レベルの難易度、横軸にスキルレベルの難易度を配置し、
以下のような図で配置しています。
各項目の説明は以下の通りです。皆さんはどんなときにどの項目の状態にあるでしょうか?
1.フロー:
完全に没頭し、時間を忘れてしまうほどの集中力があり、高いパフォーマンスが発揮され、活動自体が楽しく、満足感を得やすい状態です。
2.コントロール:
自信を持って活動に取り組むことができ、結果をコントロールできる感覚はありますが、フローほどの没頭感はありません。
3.覚醒:
緊張感と集中力が高まり、成長のチャンスとも言える状態で、挑戦を乗り越えられればフローに入る可能性がある。
4.リラックス:
ストレスが少なくリラックスできますが、刺激や成長の機会が少ないため、退屈さを感じることがあります。
5.不安:
過度なプレッシャーを感じ、不安感にさいなまれやすく、適切な対応が難しい状態。スキルの向上や挑戦する意欲が必要。
6.心配:
目の前の課題に対してあまり自信が持てず、不安感が高まっていますが、パニックには至っていない状態。スキルアップすることで、コントロール状態に向かうことが可能です。
7.退屈:
スキルを使いこなすことができるものの、課題が簡単すぎて、刺激がなく、退屈を感じやすい状態。適切な挑戦を見つけることでフロー状態に近づく事が可能。
8.無感動:
興味や関心がほとんど持てず、無気力や無感動な状態。この状態から脱するためには、まずは少しでも自分の関心を引き、モチベーションを引き出す活動が必要です。
様々な感覚がある中での「フロー状態」を獲得し、あらゆる活動において、最適なパフォーマンスを発揮し、充実感を得ていきたいですね。
私が思うこと
皆さんがフロー状態を最初に経験したのは、いつでしたか?
もしかすると、小さな子供の頃で、「覚えていない」という回答になるのではないでしょうか?
私は、最初のフロー状態は記憶になく、感覚として、子供の頃のほうが没頭状態を経験しやすかったように記憶しています。
「どんな理論?」で記載した7つのフロー状態になる条件は、純真無垢に自分の興味だけに従って何か(おもちゃ、お絵描き、砂遊び、塗り絵、などなど)に対して、子供だからこそ、没頭できていたからなのではないかと思います。
さらに付け加えるなら、自分の可能性を果てしなく信じていたのではないかとも思います。
それが、少しずつ成長するにつれて、他者の目(はじめは母親の目かもしれませんね。あるいは、友達の目だったかもしれませんね。)を気にするようになり、
さらに社会人という大人になると「評価を気にする」という環境や、自分の欲求が強くなったり、自分の能力の限界のようなものが見えたりして、一気に没頭状態に入ることが難しくなります。
そうやって、7つの条件のハードルが高くなってしまうのではないでしょうか。
だから、大人向けの「ありたい姿」として、フロー状態で取り組むことが理論にまでなってしまったのだろうか、とも思います。
となると、そんな大人の私達がフロー状態になろうとするならば、チクセントミハイの論ずる7つの条件は意識したいところです。
とはいえ、「さぁ、7つの条件を整えよう!」と意気込んでも、「はて?どうすれば?」となってしまうケースに陥るのでは?と思います。
それは、「今の自分自身がどこにあるか?」が理解できていない状態だからではないでしょうか?
「どれがチャレンジングな目標になるのか?」も、自分のある程度の能力把握ができていないと測れませんし、「集中できる環境」も、自分にとってどういった環境が集中できるのか?を理解していないと準備できませんよね。
最後の条件の「内発的動機に基づいた活動」は、特に極めつけで、「何が自分の内発的動機にあたるのか?」が、わからない・・・ということになってしまいます。
フロー状態を獲得するためには、まずは「自分を知る」というところからスタートするということが必要なのかなと思います。
そうすると、子供のころ、「自分を知る」なんて考えずに、フロー状態になってたことを思うと、矛盾しているように感じるかもしれません。
でも、思い出してみてください。
子供のころは少なくとも純粋な気持ちで「これが好き」「これに興味がある」という「自分」が存在していたはずです。
もし、今、子供のころの純粋な気持ちに戻れるようであれば、それが「自分を知る」ということにつながると思います。
私からの提案としては、好きなときにフロー状態を獲得するためには
「子供のころに好きだったことを思い出して、似たような活動を再開してみる」
というものになります。
それによって、ご自身のフロー状態の入り方(どの条件から整えるのか?)が分かったり、感覚的にフロー状態に必要な事が分かったりして、日々の活動に転用できるのではないでしょうか。
皆さんへの問いかけ
子供のころ、好きだった活動は何ですか?
今、それをするなら、何をやってみますか?
その活動は、今のあなたにどのような影響を与えましたか?
その感覚を呼び起こすために、まず何をしますか?
それが見つけられたら、皆さんのフロー状態を今のコンディションに合わせて経験できる良い機会になると思います。
「子供のころに好きだったことが思い出せない」と思われた方、
「子供のころの記憶を抜きに自分を知りたい」と思われた方、
私でよろしければ、壁打ち相手をさせていただきますよ。
以下のURLにて、ご相談を承ります。