色白の悩み
僕は色白だ。
子供の頃、夏はそれなりに日焼けをして、色白と呼ばれることは無かった。でも季節が秋から冬になるにつれて色白に戻る。
つまり、日焼けをしようと思えば出来る色白だ。
肌が本当に真っ白な人は、日焼けしても黒くなるのではなく、赤くなるので、すぐ真っ白な肌に戻る。
もう一度言うが、僕は日焼けをしようと思えばできる色白だ。
しかし、中学生くらいだろうか。夏休みも卓球を一生懸命やるようになるようになってから、なかなか日焼けをする機会がなかったように思う。
海とかに行って、短期間だけ日焼けで黒くなることはあっても、1週間も維持できない。
つまり、「よく日焼けしてるねー」などの言葉は、20年以上言われていない。
中高大と卓球を一生懸命やっていると、まわりも色白(日焼けしていない人)ばかりなので、全く気にならなかったのだが、社会人となり色白を自覚することになる。
社会人1年目、指導してくれたお姉さんから、「てるい君、白いわねー、風邪でも引いてるの?笑」と言われた。
「は、そうかやはり俺は白いのか」と思い、「いやー元々色白なんですよー」とかなんか答えたと思う。
その後、「色白だねー、肌白いねー」と言われると、「はい、卓球部なんで」と自信満々で答えると、ひと笑い頂けることに気付いた。
それから10年以上「はい、卓球部なんで」と答え続けている。
ちなみに、色白の僕は、本当に体調が悪い時(主に二日酔い)は、色白から青白くなる。
さらに体調が悪い(ひどい二日酔い)と、青白くから、土色のように濁ってくる。
さらにさらに、体調が悪くなると(あれ、二日酔いで死んでしまうのではないかな?と思うくらい)土色の濁りが、透明に変わってくる。
透明バージョンは、数回しか経験したことはないが、視界が真っ白になり、全身に力が入らなくなり、肌がだんだんと透けてくる感じになるのだ。
「でもそれって、自分の感覚でしょ?」と思うだろうが、実際に「い、いま、ぼく、真っ白ですか?」となんとか絞り出して先輩に聞いたことがある。「いや、半分透けて見えるわ、遠目だと見えないと思う」と言われたことがあるので嘘ではない。
7年前、色白てるい。顔色悪いてるい(略して顔色わるい)から脱却する為、夏休みに日焼け作戦を行うことにした。
当時ランチ中に、「ちょっと夏休みに日焼けしようと思います」と、めちゃくちゃ日焼けしている先輩に話した。
その先輩は、日サロとかに行っているわけではなく、お子さんが一生懸命サッカーをしており、ご自身も審判をしたりするらしく、自然に日焼けをしていたのだ。
「おぉ、でもあんま日焼けはしない方がいいぞー」とめちゃくちゃ日焼けしている先輩はアドバイスをくれた。
夏休み日焼け作戦では、まず自宅のベランダで裸になり読書をした。僕はアウトドアタイプではない。
次に、ばあちゃん家へ帰省し、庭で裸になり読書をした。(トップの画像、白いですよね)
読書だけではもったいないので、近くの川へ遊びに行ったり(下の画像)散歩をして日焼けに励んだ。
自宅に帰ってからは、海へ行き、人生初めてサンオイルを塗って、日焼けをした。
日焼け作戦の結果、かなり日焼けをし、とても健康的な肌の色になったのだ!
「これで誰も俺のことを色白とは呼ばないな」と自信満々で、夏休み明けに出社した。
会社ではの夏休みどうだった?という話題になる。僕は自信満々で「どうですか?僕の顔色!」と聞くと、「おー日焼けしてるねー」と皆さん言ってくれた。
その後、先程のめちゃくちゃ日焼けしている先輩が現れた。自信満々で「どうすか?僕の顔色!」と聞くと、「てるい甘いわ、そんなの日焼けしているとは言わねえよ!」とバッサリ言われて凹む。
「やっぱり先輩は、厳しいな。俺なりに頑張ったのにな、、、」と思い、先輩の顔をよく見た。
自分の日焼け話をしたかったのと、先輩は元々黒いので、気付かなかったのだが、夏休み前よりも一段と日焼けしていた。驚くほど黒くて、「夜になると見えなくなってしまうんじゃないか」と思う程、黒かった。
色で表すと、K100%だったのに、更にCMYを50%ずつ足したくらい黒くなっていた。
先輩を見て、そんなの日焼けとは言わねえよ、と言われ、今後日焼けをすることを諦め、色白で一生過ごすように決めたのだった。
時は過ぎ、今年の夏休み。
2年振りに、ばあちゃん家へ行った。2歳の甥とビニールプールに入り、近くの川へ遊びへ行き、ほんの少しだけ日焼けをした。先輩にこき下ろされた夏休み日焼け作戦よりと比べると、ほんの少しだけだ。
そして、本日、オンラインでの打ち合わせに参加した瞬間、相手の方に「あれ、少し焼けた?」と聞かれた。
普通だと、「はい、川とか行きまして、、、」となるのだろうが、僕は「ありがとうございます。嬉しいです!」と即答した。
7年前の夏休み日焼け作戦で言われたかったことを、思いがけず言ってもらえ、脳みそが考える前に言葉にしていたのだ。
「あー嬉しいなー」と思い、相手の方を見ると、明らかに僕よりもガンガン日焼けしていた。
「あ、あれ、めちゃくちゃ日焼けしていませんか?」と聞くと、「そうなんだよー、ははは」とのこと。
「あぁせっかく嬉しかったのに、、、なんだか昔の日焼けしている先輩のトラウマを思い出すな」「やっぱり日焼けしたと、自分から言ってはいけないんだな」「一生色白で生きていくしかないんだな」
と、改めて思った、夏の日の2020。