カフェオーレは甘いのに、記憶は苦い
先週、ランチ後にコンビニへ行った。店内を見回すと久しぶりにその商品が目に入った。
「あぁデザイン変わってたよなー、久しぶりに飲んでみるか」
いつもは、コンビニのアイスコーヒーを買うところを、これを買った。
グリコのカフェオーレだ。
僕は、社会人2年目から。正確に言うと1年目の3月から、グリコ乳業(当時)の担当となり、約5年間このカフェオーレと共に仕事をしてきたのだ。
デスクで、数年振りにカフェオーレを飲みながら、甘いカフェオーレとは逆の、なかなか苦い記憶がよみがえってきた。
ちなみに、僕がカフェオーレの何をしていたかと言うと、前職のDNPでパッケージを作り納品していた。
この円錐形の特徴的なパッケージ。グリコとDNPのオリジナル容器で、Pキャン(ピーキャン)と言う。紙で出来た、缶のような形状=Paper Can でPキャン。
僕のグリコ乳業担当の5年間は、全てPキャンの為と言っても過言でなかった。ここから3つの苦い思い出を。
まず、初めての印刷立会いでやり直しになったこと。
印刷立会いとは、パッケージの印刷を、得意先の立ち合いの基、行うことだ。数時間粘ったが、結局やり直しとなった。
当時、思わず一緒に立ち会った先輩に聞いてしまった。「毎回こんなんですか?校了もらうの無理ですよ」この時の衝撃は今でも覚えている。
それ以降もPキャンへの印刷は毎回苦労した。印刷立会いで工場へ行く度に、憂鬱な気分になっていた。
今でも覚えてるのは、デザイナーさんの「あと、薄皮一枚分」というフレーズ。このデザイナーさんはとても可愛がってくれたのだが、「薄皮一枚ならもう許してよ!」と毎回思っていた。
次に、繁忙期の納品がいつもギリギリだったこと。
当時、カフェオーレは365日毎日生産されていた。お盆も年末年始も無いのだ。しかし、DNPは夏休みと冬休みがあり、工場が停止する。その為、繁忙期と長期休み前は、在庫がギリギリとなり、常に首の皮一枚状態で、Pキャンの製造を続けていた。
印刷は薄皮一枚が求められ、製造は首の皮一枚で作り続ける。長期休暇の旅行中もデリバリ表を持ち歩き、たまに電話がかかってくる。今でも休み中に電話がかかってくるとビビッてしまう。
納品を切らさないというのは、本来営業の仕事ではないのだが、先輩は(そのまま上司になる)、それを誇りを持ってやっていたので(もう内勤のお姉さんのレベルでは手に負えない状態だった)僕もそれをレクチャーされた。
完全に攻撃力でなく、守備力を求められる仕事だ。でもその後、上司は僕の守備力を誉めてくれた。「照井君って攻撃力はないけど、粘り強く守備してくれるんだよねー」と。
果たしてその評価が良いのかは疑問なのだが、褒められると普通に嬉しい。
最後に、クレームだ。
製造業ではクレームが(不良品)付き物である。もちろんクレーム品を作らないように、作ってしまっても検査をして流出しないように。というようにするのだが、絶対にゼロにはならないのだ。
あなたは日本人で、日本語のプロですが、言い間違いすることありますよね?噛んだりすることありますよね?
製造のプロでもミスが出ることはある。
クレームが起こると、クレーム報告や、検品へ行く必要がある。
休日の7月7日に、始発で宮城の工場へ行き、夜都内でスーツのまま合コンに参加したこともあるし。
年末岐阜の工場に行き、高速で流れるカフェオーレの生産ラインで、検品したことあるし。冷蔵庫で、段ボールを開けて、検品したことあるし等々。
なんだか、苦い話しか出てこない、、、。
一つよかったのは、いつからか、Pキャンを作っていた工場の会議室に卓球台が置かれるようになった。それからは、工場へ打ち合わせに行く度に、「てるい、早く卓球やろうぜ!」ということで、先輩と卓球をしたことだ。
その後、素人だった工場の人たちは、オープン戦に出るまでになった。これは、なかなか良い思い出だ。
本心では「卓球じゃなくて、早くクレーム解決してくれよ!」と思っていたのだが。(本当は、良い思い出も、苦い思い出も、もっともっとたくさんある。)
今日は昔の思い出でした。カフェオーレ飲んで下さい。