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3年

2024年6月4日(火)、脳梗塞を発症して丸3年が経過した。

発症して入院していたのはつい最近のような気がしていたが、過ぎ去ってしまえばあっという間の3年である。

2年前、すなわち1年後のnoteをあらためて読んでみると、入院をしていた時にも考えていた、「ゆっくりとやっていこう」という気持ちがまだ強いのがわかる。

1年前、すなわち2年後のnoteは、簡潔な内容で済ませている。「かなり発症前の生活に戻ってきている」と書いている。生活も仕事もゆっくりモードから通常モードに変化していて、回復期リハビリ病院で担当の作業療法士の方に言われた、「退院してしまえばあっという間に通常の生活に戻る」の通りになってきている。
ゆっくりと過ごそうと思っていたのに、特に仕事では何だか面倒なことに巻き込まれることが増えているのであった。

そして3年…。5月17日(金)に発症3年後のMRI検査を受けてきた。

FLAIR

MRIの撮像後、医師から3年後の状況について説明を受けた。FLAIR画像(主に病変を目立たせる撮り方)で脳全体を見ると、古い梗塞の跡や病変は特に見当たらない。年々物覚えが悪くなって大変なのだが、画像を見る限りまだ大丈夫のようだ。

BPAS

次にBPAS(見逃しやすい椎骨動脈や脳底動脈の異常を検出)画像で、解離した左椎骨動脈の状態を確認。黄色矢印の先端が左椎骨動脈なのだが、血管は存在している。画像ではその左側にある右椎骨動脈より細く、それは杏林大学でも指摘されていた。

MRA

同じ部位をMRA(脳血管や頚動脈を立体的に描出)でみると、解離した左椎骨動脈には血流がないため、描出されない。血管内壁が解離して閉塞し、血流が途絶えたまま安定?している。

延髄の梗塞も広がっておらず、安定?している。

一方、右半身の麻痺の自覚症状であるが、発症直後は痛みを全く感じず、注射をされても全く痛みを感じなかったのに対して、発症から年月が経過するにしたがい、採血時には痛みを感じるようになってきた。健常な左側に比較すると半分くらいの痛みである。ただ感じる痛みの種類が健常側と異なり、ちょっと文章では表現しにくい。健常者が感じる種類の感覚とは異なるからだ。
とは言え、やはり痛みの感覚が弱いため、気が付いたら右手に切り傷ができていたり、右腕が打ち身で皮下出血していたりということがたまに起こる。よく血液サラサラと言われる、抗血小板薬を服用しているため、皮下出血しやすいようだ。小さい切り傷などで出血すると、なかなか止まらない。冬場は手が荒れるのでゴム手袋をして食器を洗うのだが、指のささくれから出血していて、ゴム手袋の中が血だらけになっていた時は驚いた…。

温度感覚も発症直後に比較するとかなり戻ってきた。熱さ、冷たさはかなり感じるようになってきた。
ただ、冷たいものが熱く感じられることもあり、この感覚もまた健常者が感じる温度感覚とは異なるため、文章でうまく表現できない種類のものだ。強いて言えば「冷た熱い」という感覚か…。
この感覚により、真冬の寒い朝に冷えた下着を着ると、左半身は寒くてガタガタ震えるくらいなのだが、右半身は熱く感じるため、寒くない。冬に自転車で走っていると左半身は寒いのだが、右半身は暑いのだ。
これは結構ストレスである。
また夏になると、右半身は左半身よりもさらに暑いため、右半身だけ汗をかいたりする。

これを抑えるため、プレガバリンを服用しているのであるが、どこまで効いているのかがよくわからない。服用を止めればわかるのだろうが結構辛いので止められない。またこの薬は眠くなるので、会社で会議中にかなりの眠気に襲われる。なかなか不便である。つまらない会議が多いのも問題なのだが…。

右半身は温度感覚の麻痺以外に、痛みと力が入らないという問題をがある。
痛みは右腕から右手、右脚から右足にのそれぞれ外側内側の両方に痛みがあり、これを抑えるため2週に1度、鍼治療に通っている。
鍼を打った後は明らかに痛みが減るのだが、時間の経過とともに元に戻ってくる。
また、右半身は左側に比較して力が入らないので、右脚での踏ん張りがきかず、ふらついたりする。年老いていくといつか転倒するのかもしれない。
その前に少しでも筋肉を付けなければならないと思うのだが、筋肉量が増えるような運動をしている訳ではないので、体重が発症前から6kg減ったまま戻らない。
結構プリンを食べても全く太らないので、それはそれでいいのかも知れないが、ウエストが5cmくらい減ったし、皮下脂肪も減ったようで、冬は結構寒いのだ。じゃあ夏は涼しくていいのかと言えば、右半身の温度感覚麻痺で暑く感じるため、夏もまた辛いのである。

最後に、入院中リハビリで最も大変だった嚥下障害…。
発症後1年間くらいは、嚥下に失敗して咽ることが2か月に一度くらいあった。一度会社で会議中に飲んでいたカフェオレで激しく咽て、トイレに駆け込んだことがあった。この時はカフェオレが気管に入ったようで、数時間後から微熱が出た。軽い誤嚥性肺炎みたいなものだろう。
今でも冷たい水やお茶を飲む時は怖い。一度にたくさん飲み込もうとすると咽そうになる。またイモやカボチャなどは飲み込むのにとても苦労する。というか、水やお茶の助けがないと飲み込めない。この分だと年を取って嚥下力が落ちてきたら、水分を取るのに苦労するのかも知れない。
自分の死因は、恐らく誤嚥性肺炎になるのではないだろうかと思っている。

でも、自分が脳梗塞になったという話を知らない人にすると、とても驚かれる。世間一般の脳梗塞になった人のイメージは、杖を使っていたり、動作に異常をきたしているような感じなのだろう。
自分の場合は梗塞部位が動作や思考に関係のない延髄であったため、外見や動作、会話は健常者とほぼ変わらない。
最近自覚症状として、顔面の左側が下がり気味になっていると感じる。発症直後は顕著であったが、リハビリと共に改善していた。また症状が少し出ているのだ。家人は気になるのは自分だけで客観的にはそのように見えないというが、本人が自覚しているので間違いないのだ。
温痛覚麻痺や痛みなど、外側から見えない後遺症があるものの、客観的には問題ないように見えることはいいことなので、今の状況にはあらためて感謝せねばなるまいと感じている。


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