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#5 「成功事例」は使えるか

日本には首都圏や大都市から遠く離れた地方でありながら、県外からの移住者を惹きつけている地域がいくつかある。

「島留学」で有名になった島根県海士町の隠岐島前高校の取り組みや、ICT環境を整備してリモートワークのパイオニアとなった徳島県神山町の取り組みなどは有名だ。

私はこうした、取り組みに関わった人から直接はなしを聞く機会に恵まれたことが何度かある。そうした人々の話を聞いてみると、地域を盛り上げていこうとして、様々な工夫を凝らし、奮闘してきた人たちの熱い思いが伝わってくる。

しかし・・・である。これらの先進地域の真似をして、同じように活性化に繋がったという話はついぞ聞いたことがない。

理由の一つは地域の基礎条件が違っていることだ。日本の地方は一見似ていても、ちょっと調べてみると同じ環境の地域は二つとない。だから一つの場所で成功したやり方は他の場所では使えない。

けれどもそれ以上に大きいのは、きっと地域のあり方を模索し実践に写していくときの姿勢の問題だ。

地域を盛り上げようとして何かの試みに最初にトライしてみた地域(最近は「ファーストペンギン」と言うのかな?)と、他の地域にあやかって勝ち馬に乗ろうとした地域とでは、そのマインドのあり方ははじめから全く違っているだろう。

このマインドは結構重要なはずだ。というのも地方に移住を考える人たちは、客観的な条件のみによって移住場所を考えるのではなく、そうした人々の努力によって育まれてきた文化にこそ惹かれるからだ。

・・・ということで、成功事例から学べる事は多いけれど、そのために単に成功のカタチだけではなく、そこに至るまでのマインドも一緒に学んでいかなければならない。

これは結構難しい課題なんじゃないだろうか?