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Brown Ochre; 55年間を飲みこむグラスの森

4人で6本のワインを開ける夜更けのワイン会。ほとんどお会いしたことない方々なのに、本当に素晴らしいみなさまで恐縮でした。

しかもただのワインではありません。
6本中2本は1967年のバローロ (イタリア・ピエモンテ/ぶどうはネッビオーロ)と1964年のメルキュリー (フランス・ブルゴーニュ/ピノ・ノワール)という、50年を越す古酒会です。

55年って、ギリギリ親は生まれているけれど・・。その間にいったいどれだけの文化の変遷があったのか、に思いを馳せると、時を超えるワインの力に圧倒されます。この力というのは、何百年も残る美術への崇高な思いとはまた違って、文字通り触れられるような、地球の力のような、そういう実体的な密度のある力強さだと思います。

1964年のメルキュリー、暗いので色ははっきりと取れませんが、赤色はほとんど感じられず、ブラウンオーカーというところでしょうか。

時間も遅かったので、じっくり一杯と向き合うというのでなく、泡の後には5本のワインが次々にそれぞれのグラスへ注がれてゆくという贅沢の溢れ出るような状態で、(お店の方もよくそれだけのグラスをご用意してくださった!)計20客のグラスがテーブルにキラキラと並び、ワインを湛えた森のよう。

知らなければ絶対に発見できないであろう入り口から中に広がる、隠れも隠れたお店の照明は控えめで美しく、テーブルには絶品の日本料理がたくさん並び、三日月ながら、さながらまさに月の宴。

ワインと夜の妖艶さにすっかり酔い切った夜でした。


締めのお蕎麦は、当然ながら絶品です
広尾こうもと

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Erico TERADA
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