コラム『株式概況』 2022年12月26日
てらす証券アドバイザーズ株式会社の代表取締役 満平隆志です。
日銀が12月20日に行ったYCCの修正は、緩んでいた金融市場に対して有効な修正になったようです。
先週は突然の修正に非難するコメントも多く見られましたが、当然ながらYCCの修正を事前に周知すれば0.25%に大量の売り物が殺到することが予想されますし、市場は利上げを催促していたのですから突然の修正に違和感はありませんでした。
見る角度においてはどのようにもコメントできる修正です。
一週間が過ぎ、結果として当日のショック以降は想定通りの展開になっており、10年物国債利回りが0.5%の上限に張り付くことも無く、ここ数日においては概ね4%前後を推移しています。
株式市場も一時的に投機資金の売りが殺到したものの、現時点では割安な水準であると思われる(日経平均株価で)26,000円台前半で推移しています。今のところ来期も増益が見込まれていることから前回のコメントでも27,000円以下は割安水準と書いています。
今後数か月程度は今回の利上げ後の動向を観察することになるはずで、前回の指摘通り当面の(日銀による)利上げ懸念は解消したものと考えられます。
次回の利上げに対する注意点は、足元の消費者物価の動向と、それによる賃金引き上げの状況次第になるでしょうから、日銀の動向としては2023年中に賃金の引き上げが進むようであれば、それを確認しての利上げに繋がると想定できます。
まだ暫くは不安定な市場環境が続くと思われますが、本日(26日)と明日辺りまでで損益調整の売り物も一巡し(恐らく買戻しも出て)、相場環境が改善されてくると予想しています。とは言え、市場環境に大きな変化がない限り28,000円を上回って30,000円を目指すというほどの力強さは想定し難いところです。
米国FRBが利上げを止めたとしても暫くは高止まりが予想され、米国株式市場へのダメージが出てくるのもこれからになります。米国ではVC(ベンチャーキャピタル)事業の棄損が急増している模様です。
今後(来年春頃まで)の注意点も前回記述した通り、
1)米国FRBによる行き過ぎた引締め懸念
2)中国の不動産市場の一層の不安定化
3)資源高による欧州の景気悪化
の3点になろうかと思われます。