2024.4.24 月と身体
どろりと音を立てながら下着に向かって流れ出た感触に、眉間に皺が寄り目を細めた。無意識に手が下腹部を触り、早朝からの痛みの原因を癒すように動く。
春土用は毎年数日間、お寺で坐禅会が開催される。今はまだ子育てに忙しく現地での参加ができないため、今年もオンラインで参禅している。今朝も5時に起き壁に向かって坐を組む。坐禅会も終わりに近い。5日目にもなると、最初は平気だった股関節周りに痛みを感じてじっとしていることが辛くなってきた。昨日の雨のせいか今朝は少し冷えてお腹が痛む。お腹に手を当てて休憩中にホットカーペットの電源を入れた。今日の坐禅はひどく眠い。読経が終わるとベッドに倒れ込んだ。時計を見上げると7時を回っていた。ゆっくりしている時間はない。子どもたちに朝食とお弁当を作り、山積みの洗い物と洗濯物も片付けないといけない。頭ではわかっていても、思うように身体が動かない。
遠くで子どもたちのスマホのアラームが聞こえて、重い身体を起こす。高校生になり深夜まで帰ってこない長男を待ったり、1ヶ月以上休みのない旦那氏に家事や育児を頼れないことが堪えているのかもしれない。やることは山ほどあるのに、隣でゴロゴロしている旦那氏に苛立ちを覚えながら、重い身体を引きずってまだ朝食を取っていない末っ子にトーストを焼き始めた。その間に溜まった洗い物を少しずつ片付ける。三男は机の下に隠れて宿題をやっている。茶碗を洗いながら、テーブルの上で宿題をするように促す。不機嫌そうなわたしを横目に、制服を着た長女はバタバタと玄関を後にし、次男は気配を消してそっと家を出た。朝風呂から出てきた長男が、制服を着ながら弁当代をくれと言う。先週末に渡したお金から使うように伝えると当たり前のように「もう無い」と言う。毎日のように夜遅くまで遊び歩き、お金をせびる長男に1000円札を渡しながら、遊ぶお金はバイトでもしろと小言を言う。宿題が終わってないのに猫と遊ぶ三男を叱りつけ、末っ子にお茶を入れた。行ってきますも言わずに出ていく旦那氏と長男にため息が漏れる。洗濯物を畳みながら、末っ子に靴下を履かせているうちに一年生の着席時間になっていることに気がついて「早く学校へ行きなさい!」と声を荒げた。
「行ってきまーす」と大きな声で出ていった三男と末っ子に今度は安堵のため息が漏れる。そして洗濯物を片付けようと立ち上がったとき、どろりとした感触に眉間に皺を寄せることとなった。
そうか、今日は蠍座満月か、と思い当たる。蠍座は子宮を司る。満月は物事が満ちて放出するタイミングなので、お腹の痛みにも納得がいく。蠍座は感情を示す水のエレメントだが、支配星は怒りを司る火星だ。悲しみからくる諦めは停滞を促すが、怒りは前に進むための起爆剤となり得る。わたしは何を諦め、なにに怒りを覚えたのか、自分の内に問いかけながら、今日も坐ろうと思う。