
#1916 自由進度学習で思考力を向上させるには?
最近、流行している「自由進度学習」は知識・技能の定着に特化した実践である。
そのため、「思考力・判断力・表現力を鍛えることはできない」という反対の声も多い。
しかし、教師の工夫次第で、自由進度学習でも思考力を向上させることができるはずだ。
以下にその手立てを整理する。
1 単元の導入で概念形成をする
自由進度学習では、いきなり子どもたちに「進度表」を渡すことはしない。
単元の導入は、「ガイダンス」の時間になることが多い。
この時間で、その単元に必要な「見方・考え方」をセットさせる。
いわば、「概念形成」の時間をとる。
この時間こそが、思考力を鍛える絶好の機会となる。
子どもたち同士で協働・交流・対話をする。
そして、「見方・考え方」「概念的知識」を獲得する。
この過程で、思考力・判断力・表現力が養われるのである。
2 説明課題に取り組む時間を設定する
自由進度学習の中盤に「説明課題」を盛り込むこともできる。
ただ答えを導くのではなく、「なぜそのような答えになるのか説明する」課題である。
子どもはこの説明課題を解き、複数の友達に説明をする。
これにより、思考力・判断力・表現力を向上させることができる。
3 単元終末のパフォーマンス課題を設定する
単元の終末には、「パフォーマンス課題」を設定することもできる。
言わずもがな、パフォーマンス課題は思考力・判断力・表現力を評価する課題である。
と同時に、課題の解決により、思考力・判断力・表現力を鍛えることもできる。
自由進度学習にだって、終末にはパフォーマンス課題を設定し、学びをアウトプットさせることができるのだ。
以上のように、自由進度学習においても、「単元導入時の概念形成」「単元中盤での説明課題」「単元終末におけるパフォーマンス課題」によって、子どもの思考力・判断力・表現力を向上させることができそうだ。
自由進度学習をデザインする際には、上記のことを念頭に置き、学習計画を立案していきたい。