#1919 回り道のススメ
最近の学校教育は、「効率重視の学習法」が幅を利かせている。
授業の冒頭に、教師が「重要事項」を先に説明してしまう。
それを子どもは記憶し、練習問題に取り組んでいく。
このような「演繹的学習法」が取り入れられている。
たしかに、このような演繹的学習法は、効率がよい。
重要事項を最短距離で教え、あとはそれを実際に活用させればよい。
教師は「ラク」に授業を進めることができるだろう。
しかし、このような演繹的学習法で習得された知識は脆く、長く記憶に残ることはない。
子どもたちは何の苦労をすることもなく、ただ決められたルートを進んだだけとなる。
このような学習では、「効率」はよいが、「効果」はよくないと言える。
では、どうするか?
「最短距離」の反対、つまり「回り道」をすればよいのだ。
子どもたちの中に以下のような要素が生起するように仕組む。
・迷い
・葛藤
・対立
・ズレ
・疑問
・問い
このような要素が生起すれば、授業は「最短ルート」とは程遠いものとなる。
「どっちなんだろう?」
「どれなんだろう?」
「何なんだろう?」
「なぜなんだろう?」
「どうなるんだろう?」
このような「ハテナ(?)」が生まれる。
そして、その「ハテナ(?)」を解決するために、自ら動きだすようになる。
これにより、「回り道」の授業となる。
これは「帰納的学習法」と言えるだろう。
このような授業は、大変「効率」が悪い。
時間がかなりかかる。
しかし、子どもたちの力で「ハテナ(?)」が解消されれば、そこで得た「気づき(!)」は、より記憶に残るものとなる。
そして、次の新しい「ハテナ(?)」が生まれていく。
「学び」という営みは、このような「ハテナ(?)」→「気づき(!)」→「ハテナ(?)」→「気づき(!)」→「ハテナ(?)」・・・というサイクルの繰り返しである。
このことを念頭に置き、授業を長期的視野でデザインすれば、効率は悪いが、効果の高い学習を生起させることができるのだ。