#1931 自由進度学習の原理
最近、教育界でじわじわと広がりを見せつつある「自由進度学習」。
今回は、そんな自由進度学習における2つの原理を述べていく。
1 個に応じた学習時間の設定
まずは、「学習時間」の視点である。
教師主導による画一的な一斉指導では、子どもたちの学習時間は教師が設定することになる。
教室には「もう学習済みの子ども」「教師が設定した時間で学習できる子ども」「教師が設定した時間では足りない子ども」など、様々なタイプの子どもがいる。
このような様々なタイプの子どもが混在する中、教師が一定の学習時間を設定するには無理がある。
どのような子どもであっても、その子どもに必要な学習時間が確保されれば、知識・技能を身に付けることができるのだ。
それにもかかわらず、教師が一律に学習時間を設定すれば、「吹きこぼれ」「落ちこぼれ」の子どもが生じるのは当然なのである。
そこで、「自由進度学習」を組織することにより、一人一人の子どもに合った学習時間を設定することができる。
早く進める子どもは、どんどん発展学習をしていく。
ゆっくり学習する子どもは、自分のペースで確実に学習していけばよい。
一人一人の子どもには、一人一人に最適で必要な学習時間があるのだ。
この原理を取り入れ、一人一人に最適で必要な学習時間の設定を保障するのが「自由進度学習」なのである。
2 個に応じた教材・学習方法の選択
次に、「教材・学習方法」の視点である。
教師主導による画一的な一斉指導では、教師が一方的に教材を決め、子どもたちに特定の学習方法を強制することになる。
教室には「教科書の文章を読むのが得意な子ども」「ICT機器を活用するのが得意な子ども」「一人で黙々と学習したい子ども」「友達と協働することで能力を発揮できる子ども」など、様々な適性をもった子どもがいる。
また、「視覚優位の子ども」「聴覚優位の子ども」「運動感覚優位の子ども」もいる。
このような様々な適性をもつ子どもが混在する中、教師が一定の教材や学習方法を規定することには無理がある。
どのような子どもであっても、その子どもの適性に合致した教材や学習方法が用意されれば、知識・技能を身に付けることができるのだ。
それにもかかわらず、教師が一律に教材・学習方法を規定すれば、効率的に学習できない子どもが生じるのは当然なのである。
そこで、「自由進度学習」を組織することにより、一人一人の子どもに合った教材・学習方法を選択させることができる。
一人で学習するのは適している子どもは、一人学習を優先させる。
友達と協働することに適している子どもは、対話・交流を優先させる。
ICT機器の活用が得意な子どもには、どんどん活用させていく。
一人一人の子どもの適性に合うような「教材」を用意し、「学習方法」の選択肢を提供するのである。
このような考え方を、「ATI」と呼ぶ。
一人一人の子どもには、一人一人に最適で必要な教材・学習方法があるのだ。
この原理を取り入れ、一人一人に最適で必要な教材・学習方法の選択を保障するのも「自由進度学習」なのである。
以上、「自由進度学習」における2つの原理を整理した。
一人一人の子どもに合う「学習時間」と「教材・学習方法」を構想し、自由進度学習を組織できるようにしていきたい。