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#566 ケーガンの協同学習
以前、「協同学習」についての記事を書いた。
これは「ジョンソン兄弟」の理論である。
しかし、協同学習には様々な理論・モデル・提唱者が存在する。
今回は、協同学習の提唱者の1人「スペンサー・ケーガン」の理論を紹介したい。
以前の記事で紹介したジョンソン兄弟の協同学習は、5つの基本的構成要素がもとになっている。
一方、今回紹介するケーガンの協同学習には、4つの基本原理が存在する。
この4つの基本原理を満たすことで、「ただのグループ学習」ではなく、協同学習を実現することができる。
①互恵的な相互依存
まずは「互恵的な相互依存」である。
これは前半と後半に分かれている。
前半は「互恵的な関係」である。
これは、「自分たちの結果が互いに関係している状況」と言える。
自分の成功が他者の成功につながり、他者の成功が自分の成功につながる。
いわば「WIN-WINの関係」が成り立っている状態である。
後半は「相互依存関係」である。
これは、「他者の助けなしでは課題の達成ができない状況」と言える。
1人では到底達成できない課題を提示することで、協同せざるを得ない状況にしていくのである。
②個人の責任
次に「個人の責任」の明確化である。
自分の学習に責任をもたせるためには、「誰かに見られる」「誰かのためになる」状況が必要である。
つまり、「自分の活動が少なくとも他の誰か1人に見られる状況」をつくる。
2人ペアや4人グループなどの形態になり、「自分の学習が最終的に他のメンバーに見られること」を予告しておく必要があるのだ。
③平等な参加
そして「平等な参加」の保障である。
ペアの片方が多く話したり、グループで学力の高い人だけが活躍し、他の人が「フリーライダー」になったりするのは望ましくない。
それを防ぐには、話す時間を平等にしたり、交互に順番を守って話したりすることが重要だ。
つまり、「時間か順番の平等性が確保された状況」をつくるのである。
④活動の同時性
最後に「活動の同時性」を実現することである。
教師対子どもの1対1のやり取りでは、その他大勢の子どもは受け身状態となってしまう。
このとき、教師と話す子どもだけが「話している状態」となり、その他大勢の子どもは「受け身で聞いている状態」か「聞いていない状態」のどちらかとなる。
これでは、活動の同時性は実現しない。
そこで、ペアやグループなど、少人数の形態にし、同時に話し合いをさせる。
そして、役割を交代させ、話し手と聞き手を入れ替える。
このように同時に話し合わせることで、話し手は「話している状態」に、聞き手は「能動的に聞いている状態」となる。
役割を交代すれば、「話している状態」と「能動的に聞いている状態」が入れ替わる。
つまり、「同時に話し合わせることによる『語るか』『傾聴するか』が保障された状況」と言える。
以上、ケーガンの協同学習を実現する4つの基本原理を紹介した。
このような基本原理を満たす、「ストラクチャー」と呼ばれる授業形態もいくつか存在する。
ぜひ授業に取り入れることをおススメする。
では。