![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/77372754/rectangle_large_type_2_2e8b01af91e1bd79d475c7f420c44ec1.png?width=1200)
#574 ほめ方を変える?
人間には「自己一貫性の欲求」と「自己高揚の欲求」がある。
それぞれ説明しよう。
自己一貫性の欲求とは、「このままの自分でいたい」「変わりたくない」という欲求である。
自尊感情の高い人は、ほめられることで、「自尊感情の高い自分」を維持できる。
自尊感情の低い人は、けなされることで、「自尊感情の低い自分」を維持できる。
次に、自己高揚の欲求とは、「自分を高めたい」「よりよくなりたい」という欲求である。
自尊感情の高い人は、ほめられることで、「もっとよくなりたい」と好意的に感じる。
自尊感情の低い人も、ほめられることで、「もっとよくなりたい」と好意的に感じる。
ここで矛盾が生じる。
お分かりだろうか?
自尊感情の高い人は、ほめられることで、自己一貫性と自己高揚の欲求をどちらも満たすことができる。
つまり、自尊感情の高い人に対しては、「とにかくほめればいい」ということになる。
一方、自尊感情の低い人は、ほめられると、自己高揚の欲求は満たされるが、自己一貫性は満たられない。
なぜなら、「ほめられる自分」は「自尊感情の低い自分」と合わないからである。
ここで矛盾が生じてしまうのだ。
では、自尊感情の低い子どもには、どうすればいいのか?
それは、本人の自尊感情の外にある要素に注目し、ほめればいいのである。
本人は「自分はこの要素の自尊感情が低い」と思っている。
その要素を見抜き、それ以外の要素でほめるのだ。
例えば「自分は足が遅い人間である」で思っている子どもに、「足はやいね」と伝えても、自己一貫性の欲求と矛盾してしまうので効果はない。
しかし、そのような子どもに、「やる気があっていいね」と「足のはやさ」以外の要素でほめることで、自己高揚の欲求を満たすことができるのだ。
このようにほめる対象によって、そのほめ方を変えることが大切である。
そのためには、その子どもが「高い自尊感情をもっているか」を把握し、低い場合には「どんな要素の自尊感情が低いのか」を理解することが求められる。
とても高度なテクニックであるが、ぜひ活用できるようにしたい。
では。