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#35 フォニックスと音韻意識

今日は久しぶりに英語の話をしたい。

「フォニックス」という指導法をご存知だろうか?

Aは「エイ」という名前をもつが、発音の仕方は「ア」である。※正しい発音ではない。

Bは「ビー」という名前で、発音は「ブ」である。

このように英語の正しい発音の仕方を形式的に教える方法を「フォニックス」という。

これをA~Zまで教えたら、子どもは初見の英単語を読んで、発音することができるのか?

もちろんフォニックスの原理にそって、読むことができる子どもはいるだろう。しかし私の経験上、読むのが難しいのが現状である。

フォニックスで決まりが分かっているのになぜ読めないのか?発音できないのか?

それは「音韻認識力」を育てていないためである。

音韻認識力とは簡単に言うと、「単語の発音を耳で正確に聞くことができる力」である。ある単語について、繰り返し聞くことで、その単語の発音が耳に慣れ親しみ、発音することができる。

つまり何が言いたいかと言うと、フォニックスの指導は「音韻認識力」を基礎とすべきということである。はじめにフォニックスを指導するのではなく、まずはたくさんの英語を聞かせ、音韻認識力を向上させるのが先なのである。慣れ親しませることが先決なのである。

いくらフォニックスで発音の決まりを教えたところで、その単語を聞いたこともない、話したこともない場合、自信をもって発音できるだろうか? 英語の場合は、やはり音韻認識力が先に必要なのである。

日本語で考えてみる。日本語と英語では音韻の決まりに相違がある。英語が一つの文字に対していろいろな読み方があるのに対し、日本語は名前と発音の仕方が一致しており1種類しかない。

「あ」は「あ」としか発音されない。

「あいく」という文字を見たとき、日本人は「あいく」と、そこに意味がなくても、正しく発音することができる。

しかし英語の場合、いくらフォニックスで決まりがあるからといって、聞いたことがない単語でない限り、自信満々で発音することはできない。発音には例外もあるからだ。フォニックスの決まりに当てはまらない単語は「サイトワード」と呼ばれる。

まとめると、英語の語彙指導では、まずは「慣れ親しみ」が大切である。多量のインプットを与え、どういう発音なのかを覚えさせる。その上でのフォニックスを指導していく。これが大切なのである。

これは小学校だけでなく、英語教育全般に言えることなので、ぜひ生かしてもらいたい。では。


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