#67 協同学習
アメリカで急速に広まった「協同学習」をご存知ですか?
これは単なる「グループ学習」ではありません。班の形にして、ただ話し合う単純な学習ではありません。
協同学習には5つの条件があります。
互恵的相互依存関係
まずは「互恵的相互依存関係」です。協同学習を行うグループは「運命共同体」となり、成功や失敗を共にしていくことになります。一人が成功し、そのほかの人が失敗するなんてことにはなりません。常に成功と失敗を全員で共有することになるのです。個人の目標を達成するには、グループの目標を達成することが前提になります。この関係を「互恵的相互依存関係」と言います。
対面的な相互交渉
次に「対面的な相互交渉」です。グループの中で学習者たちは対面で学習をします。その中で、互いに支え合ったり、教え合ったり、励ましあったりします。そして互いに向上していきます。これは活動を個別にしていては絶対にできないことです。「対面的」がキーポイントです。
個人の責任
協同学習では一人一人が責任をもって課題に取り組むことになります。責任が各々にないと、誰かに任せて自分は何もしないという「フリーライダー」が出現してしまうからです。役割を与えるなどして、一人一人に明確な責任をもたせなければなりません。そしてグループの成功のためには、個人が成功しなければならないということを共有しておくのです。
社会的スキル
協同学習をする上では、学習者全員が「社会的スキル」をもち合わせていなければなりません。他者を尊重する能力、自己開示の能力、協働する能力、傾聴する能力など、あげればきりがないのですが、このようなソーシャルスキルを鍛えておくことが大切になります。
集団の改善手続き
最後に「集団の改善手続き」です。協同学習の終末では、自分たちのグループの学習がどうだったか、次への課題は何か、などを細かく振り返ります。この過程がないと、「協同学習をただなんとなくやって終わり」となってしまい、成長しません。自分たちの学習を振り返り、次に向けて動機づけをはかったり、改善したりするため大切な条件になります。
これら5つの条件を満たしたとき、「真の協同学習」が完成します。これらを見てわかる通り、協同学習は単なる学習指導だけの機能ではなく、生徒指導つまり学級経営の機能ももち合わせているのです。
協同学習は学習者の認知面だけでなく、態度面も鍛えることのできる万能な学習法なのです。
ぜひ日々の実践に生かしていきましょう。では。
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