#1539 『学び合い』のポイントまとめ
今回は『学び合い』のポイントを整理していく。
・基本の考え方
①学校観:学校は多様な人と折り合いをつけて自分の課題を達成する
経験を通して,その有効性を実感し,より多くの人が自分の同僚で
あることを学ぶ場である
②子ども観:子ども「たち」は有能である
※子どもは無能かもしれない…
③授業観:教師の仕事は,目標の設定・評価・環境の整備で,
教授は子どもに任せるべきである
・学び合いの流れ
①教師の語り
②教師からの課題提示(全員が~) ※評価規準も伝えられるとよい
③立ち歩きOK
④全員ができるよう教え合いをする
⑤課題が達成できたか評価する
⑥『学び合い』を振り返る
・「全員がわかる」ことを徹底させる ※一人も見捨てない
①わからないことをわからないままにしない,「わからない」と言う
②男女一緒に協力する
③自分ができたら,できていない子を探す
④わかったふりをしない
・教師のすべき可視化
①黒板の活用
②名札マグネット
③赤白帽子
④一覧名簿に自信度シールを貼る
・最初に語ること
①大人になることが学校教育の目的
②一斉授業よりも効率が良い ※先生が大勢いるから
③本当に理解することが重要
④みんなで高まることが重要 ※教えている子が一番学んでいる
・課題設定のポイント
①全員が達成できるレベルか ※成績上位2割が確実にわかるレベル
②教師だけでなく,子どもが達成評価できる表現になっているか
③インプットしたものをアウトプットさせるようになっているか
④シンプルにシャープになっているか
⑤誤解を生じさせない文言になっているか
⑥「説明できる」「解くことができる」など,行動目標になっているか
※際限なく詳しいノート作業をする子どもを出さないため,
文字数やページ数の制限をつける
※結果や答えを伝え,その説明を課題にする(発散ではなく収束)
※オリジナリティを出させたいときは,工夫を入れ,
その意味を友達に伝える課題にする
※作品を作らせるときは,鑑賞する相手を意識した課題にする
※「問題をつくる」という課題を出す
※使ってほしいキーワードを事前に指定して,作文にする課題を出す
※ペアの友達に納得できるように説明する課題を出す
※「〇人以上の友達に伝える」という最低条件を課題に入れる
・振り返りカードにクラス全員の名前を載せ,
学び合えた人に〇をつけていくシステム→全員と学び合える
・特別支援の子どもを知るべきなのは教師ではなく,
その他大勢のクラスの子どもたちである
※いつまでも教師がべったり個別指導するのではなく,
友達と学び合える子どもにする
・授業の評価段階で「くじを引く」ことを冒頭で伝え,
誰が選ばれてもいいように『学び合い』をさせる
・『学び合い』は「子どもが有能である」と思うから,授業が非構成的
「学びの共同体」「協同学習」は「子どもは助けが必要」と思うから,
授業が構成的
・教室の仲間をTHEYではなく,共に目標達成を目指すYOU,
そしてWEの存在にする ※学びのドーナツ論
・キャリア教育の課題例
※説明して納得してもらったらサイン,ダメなら改良してサイン,
全員3人もらう
①お金がどれだけ必要か →そのためにどうやって稼ぐか
②ブラック企業はどのような法に反しているか
③結婚のメリット・デメリット
④子育てのメリット・デメリット
⑤老後を考える ※伴侶はいるか,子どもはいるか
⑥地元に就職するか否か
⑦人気の職業になるべきか否か
⑧機械に取って代わられない職業を考える
・クラスにいる4種類の子ども
①学校外で勉強済みの子ども
②教師の説明がなくても,教科書で分かる子ども
③教師の説明で分かる子ども ←一斉指導で意味があるのはここだけ
④教師の説明でも分からない子ども
・学び合いの種類
①学力向上のための手段としての学び合い
②人間関係向上のための手段としての学び合い
③子どもの能力を高く評価する,目的としての『学び合い』
④教師の能力を高く評価する,目的としての学び合い
・教師が「可哀想」と思うから,他の子も「可哀想」と思い,
本人も「可哀想な自分」と思う
→課題のレベルが周りと違っても堂々と共有すればいい
・生活保護を受けられる条件
①親・兄弟・3親等以内に援助する人がいない
②全く資産をもっていない
③病気やケガで働けない
④月収が最低生活費を下回る
※相談できる友達,セーフティーネットをつくる場所が「学校」である
・ルールの決め方
①1人も例外なく毎日楽しく学べるクラスを実現する
②みんなが納得するルールを決める
③先生に相談する際は,全員で話し合った後,全員で先生に申し出る
・「一人も見捨てない」
「一生涯の仲間をつくる」
「クラス全員で問題を解決する」を原理原則にする
・「一人も見捨てない」が集団全員の利害に一致しているならば,
叱る必要も,ほめる必要もない
※「マジョリティの行動を真似すること」が規範となる
・教師の仕事
①子どもの心に火を灯す課題設定 ※相手意識が重要
②意欲が持続するような評価・フィードバック
・遊んでいる子どもの見つけ方
①周りに配慮しない声の大きさで話す子どもたち
②顔の上下運動がない子どもたち
・異学年の活動の見取り
①身体距離の近さ
②集まる際に円形ならば平等が保障され,
扇形ならば仕切っている子どもがいる
③会話の中身が単語レベルよりも,「ため口」になっている方が良い
④アイデアの発案者が最上級生ではなく,中学年・低学年である方が良い
・共同作業における見取り
①読んでいる子と違う子どもが原稿を見ていたら,
その子は読んでいる子と一緒に仕事をした子である
②バラバラで統一感のない発表をする班は,仕事の分離が起こっている
・研究授業の見取り
①教室前方で子どもたちの表情を見る
②子どもが教師に「これでいい?」と質問しているか聞く
③作業の手順ではなく,作業の目的を把握しているか聞く
・学校の見取り
①学年間を超えて遊び合っているか
②休み時間に教室にいられない子どもがいるか
③全校児童数に対する特別支援学級の児童数の比率
④職員室にいる職員が多くて,その人たちが笑いながら話しているか
・『学び合い』実践レベル
①導入の教師の説明が長い
②特定の子どもにつきっきりになり,視野が狭くなる
③気になる特定の子どもに関しては不安をもつ
④上位層の子どもに聞こえるような独り言を,全体を見ながら言う
⑤ボーっと教室全体を見る
・『学び合い』の質の見取り
①男女別グループになっていないか
②クラスをリードする子が全体を見ているか
③グループの流動性があるか
・課題の見取り
①分かっているかの評価は子ども同士でやらせる
②その日に与える課題or前日に与える課題or単元まとめて与える課題
③課題がシンプルである
④解けた問題数を重視する課題にしない ※全員達成の意識が弱くなる
⑤「わかる」「できる」のような曖昧な言葉を入れた課題にしない
・異学年『学び合い』の見取り
①自分のクラスの子どもではなく,そこにいる子ども全員を見取る
②最上級生に全て任せると「課題を簡単にしてほしい」と言われてしまう
③同じ学年グループを組んでいないかどうか
・理科の実験などのグループ学習のルール
①正解を求めるだけではなく,グループ全員で協力して取り組む
②話し合いでは,結論だけでなく,理由を考える
③教師に質問する前に,グループの全員で相談する
④何をすればいいかを自分たちで考える,教師は細かいことを言わない
・「イジメは全員にとって損」
「不登校は全員にとって損」ということを子どもに理解させる
・研究授業のポイント
①理論があること
②結果の測定がなされていること
③批判的に吟味されていること
④研究テーマを教師だけでなく,子どもも語ることができること
・目的が共有されていれば,多様性は武器になる
目的が共有されていなければ,多様性は互いを潰し合うものになる
・説明課題のポイント
①説明が不十分なのにサインが3人分ある
→本当に十分かどうか再度,全員でチェックし合う
②友達の説明を全部真似せずに,それを踏み台にして,
オリジナルな工夫をさせる課題にする
・少人数が望ましい場合→一斉指導
少人数が望ましくない場合→『学び合い』
・子どもに「課題を考えてもらう」という課題
→教師を超える美しい授業が実現できる
・『学び合い』のデメリット
①なんとなく授業ができなくなる
②クラスの闇を見なければならない
③自分のしていることを説明しなければならない
・『学び合い』が向かない教師
①あの子は仕方がないと思っている
②楽に出世したいと思っている
③カリスマ教師を目指している
・深い理解に必要なこと
①資料を読んでわかったこと
②自分で考えたこと
③人と語り合うこと
※①がないと「広がりがない」,
②がないと「人の受け売り」,
③がないと「独りよがり」
・学力向上のために
①学力を定義すること
②教師が本当に学力を上げたいと思うこと
③学力を上げることを子どもに求めること
※ NRTや全国学力テストは全校代表学力大会と同じ
・保護者に説明するときのポイント
①中長期の話:子どもが大人になったとき,幸せになるには何が必要?
②短期の話:一斉授業には限界があること
③週数回程度から始めること
・授業参観でのポイント
①課題を説明型の簡単なものにする
※「上手に教えてもらうことは重要だ」と語る
②保護者参加型の授業にする
※安易にサインしない,アドバイスを求める
③授業の最後に感想を述べてもらう
※「疑問をもつ」であろう保護者にお願いする
以上、『学び合い』を実践するときに活用していきたい。
では。
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