#1643 令和5年度の大反省会
私は以前、このような記事を書いた。
この記事では、今年度(令和5年度)の教育実践を振り返り、良かった点と改善点を整理することができた。
だが今回は、「改善点」だけに焦点を絞り、大反省会をしたいと思う。
この改善点を来年度以降に生かせるようにするためだ。
以下に詳しく整理していく。
1 テストを軽く見ている
これは過去の記事で書いた通りである。
テストを軽く見ている子どもが多いので、重く受け止めるようにさせたい。
そのため、テストまでの家庭学習計画とテスト結果の分析を重視するようにしたい。
また、テストは「たしかめ」をすることを習慣づけるようにする。
実際にどのように「たしかめ」をするのかを具体的に指導する。
そして「たしかめ」をしたら、問題の横にチェックをつけるように習慣づけていきたい。
2 筆記用具の用意や整理整頓ができていない
鉛筆を授業中に削っている子どもがいる。
短い鉛筆を使い続けている子どもがいる。
筆記用具が揃っていない子どもがいる。
机の中やロッカーの整理整頓ができていない子どもがいる。
どれも年度当初に確認し、習慣づけることが重要となる。
何事も「はじめ」が肝心である。
はじめに崩れた習慣は1年間続くことになる。
逆に、はじめに定着した習慣は1年間継続するはずである。
上記の記事で述べた通り、「習慣」「型」ははじめに指導しきることが原則である。
そして、過去の記事でも紹介したように、適切なステップで習慣づけをしていきたい。
3 タブレット端末の「手段の目的化」
これも過去の記事で書いた通りである。
タイピング練習は「タイピング処理能力」を高めることが目的である。
タブレット活用は「学習効率や効果」を高めることが目的である。
「手段の目的化」に陥らないように注意する。
具体的には、「5分休憩」や「授業の余った時間」にタイピング練習はしないようにする。
タイピングゲームは1種類にする。
休み時間は体を動かすことを勧める。
アイコンやトップ画面のレイアウトは変更させないようにする。
話を聞くときには、タブレットを閉じるよう習慣づける。
タブレット端末のメリットとデメリットを指導するようにする。
4 対話指導の欠如
グループでの話し合い活動をする際に、「ではどうぞ」と子どもに投げかけるだけで、対話指導をしていないことが多くあった。
これでは、子どもたちはどうやって話し合ったらいいか分からない。
対話の質が低下するのは教師のせいである。
この記事の通り、子どもたちの対話が「言い合い」になり、「聴き合い」になっていなかった。
一部の学力の高い子どもだけが活躍する場面も多くあった。
子どもたちに「役割」を与えたり、対話の「手順」を指導したりする必要がある。
これらの記事のように、「発散→収束」「発言順の考慮」などの対話指導する。
このように、事前の対話指導を適切に行っていくようにしたい。
5 班による活動の限界
この記事の通り、今年度は2学期から班長制度を取り入れた。
この制度をもとに、4人班を中心とした学習・生活をしている。
これにより、一部の子どものリーダーシップを育てることができた。
しかし、班長だけに責任を押し付けてしまったり、班の隊形が私語を助長してしまったりする側面がある。
マイナス面も存在するのである。
そのため、来年度からは班による生活をなくす方向で考えていきたい。
6 個人目標の形骸化
学級目標を意識させ、具体的な行動目標を設定することはできた。
しかし、個人目標を学期単位で設定し、月単位で振り返りをするようにしたせいで、目標の形骸化が発生した。
以下の記事でも書いた通り、週単位で個人目標を設定・振り返りしていくようにしたい。
また、個人目標はその都度、更新できるようにしたい。
7 コーチングと指導の軸のブレ
今年度は「コーチング」を意識し、なるべく指示・命令をなくし、質問・問いかけをするようにした。
しかし、教師としての自分の感情に左右され、コーチングせずに、一方的に指示・命令することもあった。
自分の中に「指導の軸」がないことが原因であった。
子どもに問いかけ、子どもが解決できそうなときはコーチングする。
そして、上記の記事の通り、「問いかけて終わり」にしないようにする。
しかし、ある一線を越えたら、厳しく指導をしなければならないこともある。
「この範囲はコーチングする」
「この線を越えたら指導する」
という軸を自分の中にもつようにしたい。
さらに、指導したらフォローしたり、ほめたりすることも忘れないようにしたい。
8 コミュニケーション量の不足
子どもとのコミュニケーションが圧倒的に不足していた。
事務的な話ばかりしている日が多かった。
もっと子ども一人一人を気にかけ、毎日全員に話しかけるなど、コミュニケーションを密に図るようにしていきたい。
そして、自分の中の「ユーモア」をもって出していきたい。
上記の記事でも述べた通り、頭でっかちな人間にならないように気をつける。
9 教師の自己開示の不足
教師の自己開示も不足していた。
「まじめな話」ばかりし、プライベートな話題や自分の思いなどを話す機会が不足していた。
朝の会などでは、教師が自己開示し、「プライベートな話」や「ニュースからの気づき」などを話すようにしたい。
もっと「人間」としての自分を開示していきたい。
以下の記事のとおりである。
そして、以下の記事のとおり、自分の「失敗談」もどんどん話していきたい。
それが「人間味」を醸し出していくのだ。
10 中途半端な教育実践
年度の途中から「けテぶれ」「QNKS」などの実践を取り入れた。
実践自体は優れているのだが、年度途中ということもあり、全ての子どもに学び方を定着させることができなかった。
年度の最初に、「取り入れる教育実践」を絞り、1年間を通して実践していくようにしたい。
「あれもこれも」と手を出すのではなく、1つに絞り込み、焦点化することを大切にしたい。
以下の記事の通りである。
春休み中に、「新年度に取り組む教育実践」を決定するようにしたい。
11 宿題のシステムのブレ
宿題のシステムも1年間を通して徹底させることができなかった。
そのため、宿題が「作業」と化し、「終わらせることor提出することが目的」となってしまった。
来年度は、1年間を通して徹底するようにしていきたい。
この記事で指摘した問題を打破するためには「けテぶれ」しかない。
来年度は、年度当初から「けテぶれ」を指導し、継続させていきたい。
12 時間いっぱいに書かない
授業終末の振り返りの記述や、問題を解く活動に、時間いっぱい取り組まない子どもが見られた。
この記事の問題提起の通りである。
それは教師が「黙認」していたからである。
「時間いっぱい活動することの価値」を伝え、黙認せずに徹底させる必要がある。
13 読書量の不足
これも過去の記事で書いた通りである。
読書よりも、タイピング練習にハマっている様子が見られた。
語彙を増やしたり、読解力を高めたりする上でも、読書の習慣をつけさせることが肝要である。
来年度は、すき間時間や朝の時間に読書を推奨するようにしていきたい。
14 書かせっぱなし
デジタルワークシートやノートへの記述を「書かせっぱなし」で終えていた。
つまり、「教師が指導したこと」が「子どもの記述」に表れているのかを評価していなかった。
この記事で指摘した通りだ。
形成的評価の機能を生かし、子どもの記述を次の指導改善に生かすようにしていきたい。
15 見取りと評価の不足
子どもの活動中に教師が見守るだけで、見取りをしていなかったり、フィードバックをしていなかったりすることがあった。
形成的評価をもっと重視し、フィードバックを意識するようにしていきたい。
上記の記事で紹介した通り、「指導と評価の一体化」を重視していくようにしたい。
16 スルーによるヒドゥンカリキュラムの発生
これも過去に記事を書いた。
今年度も、教師が子どもの不適切行動を「黙認」する場面が多かった。
「これくらいならいいか」という甘さがあった。
また、世間的に「叱らずに伸び伸びと過ごしてもらう」風潮が強いため、スルーすることが多かった。
そうなると、
「叱られないならいいか」
「これをしてもいいのか」
というヒドゥンカリキュラムを生む。
下の記事でも紹介したように、「ダメなものはダメ」と指導していく。
指導の躊躇をしないようにしたい。
17 肯定・矯正フィードバックの不足
子どもに対して
「活動させっぱなし」
「指導しっぱなし」
ということが多かった。
学級経営において、「ほめる」「叱る」は両輪である。
伸ばしたい行動には「肯定フィードバック」を、
直したい行動には「矯正フィードバック」をする必要がある。
以下の記事の通りだ。
放任や黙認をせず、「指導」「承認」「フィードバック」を意識するようにしていく。
18 他律的な心のコントロール
学級の子どもたちは、教師の指導によって他律的に「心」をコントロールされていた。
「先生が不機嫌だからおとなしくしよう」
「先生に怒られるから友達と話さないようにしよう」
「先生に叱られるから今はやる気のあるふりをしよう」
これらは全て、「心」が他律的にコントロールされている証拠である。
これでは、いつまでたっても教師の存在に影響を受け、他律的にしか行動できない人間になってしまう。
そこで必要になるのが「心マトリクス」である。
この記事でも紹介した。
これを子どもたちとも共有すれば、「心の在り方」を俯瞰することができ、自律的にコントロールすることができるようになる。
教師が叱ったり、他律的にコントロールせずとも、子ども自身が「今の心の状態」を認識し、コントロールすることができるのだ。
また、教師が「ネガティブな心の状態」を許容することができるので、叱る必要がなくなるのである。
ぜひ、来年度は年度当初から「心マトリクス」を紹介・共有していきたい。
19 行事等の目標・反省の形骸化
何らかの行事等のイベントがあるときに、目標設定や反省・振り返りが形骸化していた。
そのため、「打ち上げ花火」となり、「やって終わり」状態となっていた。
そこで導入したいのが、「ホワイトボードミーティング®」である。
この記事でも紹介した、ファシリテーション技術の1つだ。
子どもたちに「ホワイトボードミーティング®」の手法を指導し、行事等の目標や振り返りを書かせるようにしていく。
これを継続し、考えを言語化できる子どもを育てていきたい。
20 学級の発言力ヒエラルキー
挙手指名や自由発言を推奨していたため、学級内に「発言力ヒエラルキー」ができてしまった。
何人かの発言力の強い子どもが固定化し、その他の子どもが意見表明をすることができなくなってしまった。
上記の記事でも述べた通り、挙手発言はデメリットが大きい。
そのため、来年度は挙手発言を極力なくし、それ以外の発言方法を採用していく。
そして、発言力の強い子どもが固定化しないようにしていきたい。
21 係活動の形骸化
係活動が形骸化し、創意工夫があまり見られなかった。
上記の記事でも述べた通り、子どもたちの係活動が活性化するためには、「システム」が必要だ。
子どもたちが創意工夫をし、マーケット感覚を身に付けられるシステムを導入していくようにしたい。
22 概念指導の不足
私のこれまでの授業実践は「1時間の学習がブツ切り」であったり、「単元の学習がブツ切り」であったりした。
つまり、既習内容の「教科内での活用」「教科外への活用」「実生活・実社会への活用」を全く考えていなかった。
教師が「既習の活用」「学習の転移」を考えていないので、子どもたちも当然のようにそれを実現させることができなかった。
私はこれまで、「学習の転移」の鍵となる「概念的知識」の重要性をいくつもの記事にしてきた。
それなのに、いざ授業実践となると、学習が「ブツ切り」で終わってしまい、活用・転移を実現させることができなかった。
概念指導が不足していたことを、とても反省している。
来年度からは、「既習の活用」「学習の転移」ができるよう、単元構想や授業実践を工夫するようにしていきたい。
このことについては、次回以降の記事にまとめていくつもりだ。
以上、「22項目」の反省事項である。
これらは互いに原因が重なっているところがある。
それは「指導の躊躇」や「教育実践のブレ」「子どもの力の過信」であろう。
教師としての自分の中で「確固とする軸」が定まっていないのである。
これを克服し、来年度は、理想とする教育を目指すようにしていきたい。