#1932 複線型授業における教師の役割
画一的な一斉授業は、「単線型授業」となる。
「本時のねらい」に全員の子どもを到達させるため、教師が指導言や個別指導を駆使する授業となる。
このような単線型授業では、全員の子どもをその時間内で「ねらい」に到達させることに主眼が置かれる。
そのため、教師は「このままだとねらいに到達できそうにない子ども」を見つけ、個別指導に奮闘することになる。
なぜなら、本時における「1時間勝負」の授業だからである。
後から挽回することはできないのだ。
これが「単線型授業」の限界である。
一方、自由進度学習のような「複線型授業」を組織したらどうなるだろうか。
複線型なので、「その時間のねらい」は子ども一人一人によって異なってくる。
「1時間勝負」ではなく、「単元」という比較的長い範囲の中で、資質・能力を身に付けさせることに主眼が置かれる。
そのため、教師が「ねらいに到達できそうにない子ども」への個別指導に明け暮れることがなくなる。
「単元」という長い時間の中なので、多少の学習の遅れは後でも挽回できるからだ。
逆に、このような複線型授業で、教師が個別的に介入し過ぎてしまうと、子どもの自己調整能力が育たなくなる。
教師は余裕をもって、「見守る」姿勢が重要となる。
進度が遅れがちな子どもでも、「単元」という長いスパンの中で学習を進めていくことで、自己調整能力を徐々に身に付けていくことができるようになる。
複線型授業では、教師は手厚い個別指導は避けるべきなのだ。