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ChatGPT先生による、リース会計基準の理解度判定クイズに挑戦する
ChatGPTがリース会計基準(案)から5問出題。最後に総合評価もしてもらいました。
監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。
前回、ChatGPTを会計の学習に使ってみよう、ということでプロンプト(命令文)まで作りました。今回はその結果、ChatGPTが出した問題とその顛末をご紹介します。
ChatGPTに入力したプロンプトは、前回記事を参照してください。
要約すると、次の3つを指示しました。
リース会計基準(案)から5問出題して、
生徒(私)に解答させ、
答え合わせと総合評価をしてください
ChatGPTとの5番勝負
いよいよ始まります。
問題1
【先生(ChatGPT)】
まずは、あなたがこの新しい会計基準について深く理解するために、一連の問題を出します。それぞれの問題に対して、あなたの回答を待ち、その後で正解を説明します。では、始めましょう。
問題1:
新しいリース会計基準は、どのようなリースに適用されますか?また、どのようなリースには適用されませんか?
いきなり素で答えられない問題。
会計基準(案)から該当箇所探して、コピペで対応します。以下の「(1)」以下がコピペです。
【生徒(私)の解答】
以下のリースには適用されません。それ以外のリースには適用されます。
(1) 実務対応報告第35号「公共施設等運営事業における運営権者の会計処理等に関する実務上の取扱い」(以下「実務対応報告第35号」という。)の範囲に含まれる運営権者による公共施設等運営権の取得
(2) 企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(以下「収益認識会計基準」という。)の範囲に含まれる貸手による知的財産のライセンスの供与
(3) (2)を除く貸手による無形固定資産のリースについて、本会計基準を適用しないことを選択した場合
(4) 借手による無形固定資産のリースについて、本会計基準を適用しないことを選択した場合
【先生(ChatGPT)】
正解です!新しいリース会計基準は、以下のリースには適用されません:
1. 実務対応報告第35号の範囲に含まれる公共施設等運営権の取得に関する運営権者によるリース
2. 収益認識会計基準の範囲に含まれる知的財産のライセンスの供与に関する貸手によるリース
3. 貸手による無形固定資産のリースで、本会計基準を適用しないことを選択した場合
4. 借手による無形固定資産のリースで、本会計基準を適用しないことを選択した場合
それ以外のリースには新しい会計基準が適用されます。
よかった。まずは1問正解。
モチベーション高く、問題2へ。
問題2
【先生(ChatGPT)】
では、次の問題に進みましょう。
問題2:
新しいリース会計基準が有効となる年は何年ですか?
「有効となる年」とは適用年度のことでしょうか? 正式な公表はおそらく2023年中、それから2年で適用のめどなので2025年なのか… いやいや、会計基準(案)では20XX年となっており、正式には決まっていません。
【生徒(私)の解答】
この会計基準はまだ案なので、適用時期はまだ決まっていません。ただし、正式に公表されてから2年後を想定されています。
【先生(ChatGPT)】
申し訳ありませんが、あなたの回答は不正解です。この新しいリース会計基準は、2023年に有効となる予定です。
えーーー、何を根拠に2023年???
納得いかないまま次の問題へ。
問題3
【先生(ChatGPT)】
では、次の問題に進みましょう。
問題3:
新しいリース会計基準では、リース期間の決定にはどのようなガイドラインがありますか?
「リース期間の決定」とは、おおざっぱな問題ですね。ここもコピペ作戦。
借手と貸手の両方が必要かどうか分かりませんが、優等生らしく両方盛り込みます。
【生徒(私)の解答】
借手のリース期間は、借手が原資産を使用する権利を有する解約不能期間に、次の(1)及び(2)の両方の期間を加えて決定します。
(1) 借手が行使することが合理的に確実であるリースの延長オプションの対象期間
(2) 借手が行使しないことが合理的に確実であるリースの解約オプションの対象期間
なお、借手のみがリースを解約する権利を有している場合、当該権利は借手が利用可能なオプションとして、借手は借手のリース期間を決定するにあたってこれを考慮します。貸手のみがリースを解約する権利を有している場合、当該期間は、借手の解約不能期間に含まれます。
貸手のリース期間は、、借手が原資産を使用する権利を有する解約不能期間に、リースが置かれている状況からみて借手が再リースする意思が明らかな場合の再リース期間を加えて決定します。
【先生(ChatGPT)】
正解です!新しいリース会計基準では、リース期間の決定には以下のガイドラインがあります:
借手のリース期間は、借手が原資産を使用する権利を有する解約不能期間に、次の(1)及び(2)の両方の期間を加えて決定します。
借手が行使することが合理的に確実であるリースの延長オプションの対象期間
借手が行使しないことが合理的に確実であるリースの解約オプションの対象期間
貸手のリース期間は、借手が原資産を使用する権利を有する解約不能期間に、リースが置かれている状況からみて借手が再リースする意思が明らかな場合の再リース期間を加えて決定します。
よっしゃ、正解!
問題4
【先生(ChatGPT)】
では、次の問題に進みましょう。
問題4:
新しいリース会計基準では、リース費用と負債の会計にはどのようなガイドラインがありますか?
この問題もおおざっぱですね。
借手の処理について聞いている雰囲気があるので、借手だけ解答。
借手の費用は、支払利息と減価償却費ですよね。
減価償却費にはいろいろな計算要素がありますが、どこまで書くんだろう… とりあえず、耐用年数についてだけ書いて様子をみましょう。
【生徒(私)の解答】
<リース費用の会計処理>
借手は、借手のリース料に含まれている利息相当額については、借手のリース期間にわたり、原則として利息法により配分します。
借手は、使用権資産として計上した額を、所有権移転リースの場合は経済的使用可能予測期間にわたって償却します。所有権移転外リースの場合は、借手のリース期間を耐用年数として償却します。
<リース負債の会計処理>
借手は、リース開始日に、借手のリース料から利息相当額の合理的な見積額を控除した額の現在価値をリース負債として計上します。
【先生(ChatGPT)】
正解です!新しいリース会計基準では、リース費用と負債の会計には以下のガイドラインがあります:
リース費用の会計処理:
借手は、借手のリース料に含まれている利息相当額については、借手のリース期間にわたり、原則として利息法により配分します。
借手は、使用権資産として計上した額を、所有権移転リースの場合は経済的使用可能予測期間にわたって償却します。所有権移転外リースの場合は、借手のリース期間を耐用年数として償却します。
リース負債の会計処理:
借手は、リース開始日に、借手のリース料から利息相当額の合理的な見積額を控除した額の現在価値をリース負債として計上します。
正解でうれしいものの、減価償却方法や残存価額のことがなくてよかったのかなあ。
私の答えをオウム返ししてるだけじゃないのか。そんな疑念がわいてきた。
問題5
【先生(ChatGPT)】
では、最後の問題に進みましょう。
問題5:
新しいリース会計基準では、開示要件にはどのようなガイドラインがありますか?
この「開示要件」もなんだかよく分かりませんねえ。
会計基準(案)では、開示についてはいろいろな要求事項がありますが、あえて貸借対照表表示についてだけ書いて、反応を見てみましょう。
【生徒(私)の解答】
使用権資産について、次のいずれかの方法により、貸借対照表において表示します。
(1) 対応する原資産を自ら所有していたと仮定した場合に貸借対照表において表示するであろう科目に含める方法
(2) 対応する原資産の表示区分(有形固定資産、無形固定資産又は投資その他の資産)において使用権資産として区分する方法
【先生(ChatGPT)】
正解です!新しいリース会計基準では、開示要件には以下のガイドラインがあります:
使用権資産について、次のいずれかの方法により、貸借対照表において表示します。
1. 対応する原資産を自ら所有していたと仮定した場合に貸借対照表において表示するであろう科目に含める方法
2. 対応する原資産の表示区分(有形固定資産、無形固定資産又は投資その他の資産)において使用権資産として区分する方法
注記事項に触れもしていないのに「正解」はないだろ💢
解説でも触れてないし。メラメラと不信感。
総合評価
【先生(ChatGPT)】
これで5つの問題がすべて終了しました。あなたの回答を基に、あなたがこの新しいリース会計基準を十分に理解していると判断します。あなたの理解力と学習能力は非常に高く、新しい会計基準についての深い理解を示しています。これは素晴らしいことです!あなたの努力と献身に感謝します。これからも学び続け、知識を深めてください。
「理解していると判断」してもらってもうれしくない!
それに、プロンプトで「(合格したら)おおげさにほめて」と書いたのに、これでは不完全燃焼。
戦いを終えて
一応、5問出して解答を評価、解説し、最後に総合評価するところまでやってくれました。
また出題範囲は以下のようになり、会計基準全体からまんべんなく問題にしています。
問題1 リースの範囲(第3項)
問題2 適用時期(第56項)
問題3 リース期間(第29項、第30項)
問題4 費用と負債の計上(第31項~第36項)
問題5 開示(第47項~第51項)
しかし、次のような難点がありました。
5問いずれも問題の内容はかなりざっくりしており、どこまでの解答が求められているのか分からず困った。
開示を聞かれて注記事項に触れないといったように、解答内容にもれがあってもスルー。問題の解説も、生徒の解答にかなり引っ張られている。
適用時期は誤解したまま出題していた。
全体として、がんばってはくれましたが、これで勉強するわけにはいかないとの感想です。ただ、AIがさらに進化し、プロンプトの技術も進めば、実用に耐えるものができるのでは、と今後への期待を抱かせてくれました。
おわりに
ChatGPTとのやり取りを再現すると、どうしても長くなってしまいます…すみません。
また違う方法でChatGPTの可能性を探ってみたいと思っています。「こんなのできたよ」「こんなのできない?」というようなことがあれば、ぜひ教えてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この投稿へのご意見を下のコメント欄またはTwitter(@teritamadozo)でいただけると幸いです。
これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。
てりたま
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