「ウチでやっていけないようなやつはどこの会社でも通用しないぞ」という言葉が生まれる。
皆、自分の仕事からすべての仕事を想像する。
人の家のカレーを食べたことはない。私は外食でカレーを食べることは少ない。カレーライスとはどんな料理なのか。給食や飲食店で食することを除いて考える。まずは自分の家のカレーを食べる。カレーライスという料理があることを知る。レシピを見たり人から話を聞いたりする。
友人は話す。
「ウチのカレーにはピーマンが入ってるんだよね」
ピーマン入りのカレーの味を想像してみる。
「カレーの具って家庭によってバラバラだよね」
カレーとはそういうものなのかと覚える。自分の家のカレーを基準に、世界のカレーを想像する。しかし世界の九十九パーセントのカレーを実際に食べたことはない。それでもカレーを知っている。会社や社会にも同じイメージを持っている。A氏は新卒で入社した会社を基準に会社を知る。友人は話す。
「ウチの会社、自分のデスクの場所が決まってないんだよね」
自分のデスクのない職場を想像してみる。
「働き方って会社によってバラバラだよね」
会社とはそういうものなのかと覚える。自分が勤める会社を基準に、世界の会社を想像する。
しかし世界の九十九パーセントの会社に実際に勤めたことはない。
それでも会社を知っている。自分の勤める会社が、「会社」というものを経験し想像する窓口なのだ。だからこそ、「ウチでやっていけないようなやつはどこの会社でも通用しないぞ」という言葉が生まれる。この発言をする人は、言うまでもなく全ての会社への適正がどんなものか知らない。にもかかわらず、このような言い回しをしてしまう。
それは
自分の勤める会社からすべての「会社」というものを想像するからである。