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書籍 普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門

トレンドを掴むのにぴったりなので、FIREや投資への興味があるか無いかに関わらず、社会人全般に広くお勧めの一冊。

本家(米国本を和訳した書籍)は何冊か読んだ後にこちらを読んだため、日本版ならではと感じた部分を中心的に書く。

日本の事情に沿ったプランニング

日本在住の日本人向けに書かれており、社会保障等の国内制度が良くまとめられています。ここが本書の最大のポイント。

アメリカと日本では、年金も退職金も保険も違う。日本人には(破綻するのでは無いか?と心配はされつつも)終身制の年金があり、8割の企業は退職金制度を導入しており、公的健康保険による医療費補助もある。資産形成のプロセスは同じでも、アプローチは異なる。

公的制度のおさらいにも良い

本書は、国内の公的制度を活用することで過剰なリスクヘッジ(民間保険の加入や多すぎる現金普通預金)を無くして、その資産を運用分に回すことを勧めており、ここの考え方についてはFIRE以前の、家計を切り盛りする上でとても参考になる。

また、FIREした後、つまり退職した後にどのようなお金を受け取れるか。働くことを止めてからも払い続ける必要のある税金は主に何があるか等のFIREで脱出した後もちゃんとイメージしてね!という部分もしっかり書いている。
ここについては、60代で嘱託社員として残り続けるかどうかを考える際も考え方は共通するため、やはり、FIREをしない方でも、退職時期を決める情報として一読の価値はある。

FIREを狙う人が、周囲にじわじわと増えてきている

特に30代前半の友人と将来の話をしていると、「実はFIREを狙っている」と教えてくれることが実際にあったりして、おお、本当に国内でも増えつつあるライフプランなんだ!と実感が湧いてきた。

ちょっと作り話みたいだけれど、50代の管理職さんが「今年の新人は、なんかすごいぞ。つみたてNISAとかやっているらしい」と私に耳打ちしてくれて、びっくりした。(20〜40代のNISA口座を持っている人の割合は30%を超えているので、もはや特殊ではないはず)

そう。管理職サイドからすると、本書はジェネレーションギャップを感じるためにとても良い。管理職サイドとしては「最近の若い人たちは、こういう野望があるのか…。」と実感した上で、じゃあその若者たちに、どんなキャリアプランを提示していくかを経営戦略の一部として検討して欲しい。

資産形成ができても、やりがいを感じる仕事なら続ける(Coast FIRE)という方や、副業を組み合わせる方(Side FIRE)、バイト程度だけする方(Barista FIRE)も増えていくかもしれない。

そういう方たちとどう一緒に働いていくか。あるいは、どのようなお客様になって頂くか?自分たちがFIREしなくても、考えることは山積みだ。

どう生きるか。そのために、いくら必要か

FIREするためには、まずライフプランを立て、次にそれに沿ったファイナンシャルプランを立てた上で、コツコツと実現に向けて実行していく必要がある。

そのためには、真剣に自分の人生や価値観も向かい合う必要がある。これまで日本人が苦手としてきた分野だ。素晴らしいじゃないか!

FIREは、知的な冒険でありゲーム

FIREは、複数の制約がある難しいパズルを解き、経済的自由を手にすること。知識と勇気とフレキシビリティのある実行力が必須だ。

FIREを目指す過程で、社会勉強もできるし(せざるを得ない)、リスク管理も必死で考えるから視野が拡がる。つまり、FIREに挑戦している本人は間違いなく成長する。更に、従来は銀行に塩漬けされていた個人資産が投資によって循環するから、政府やマーケットにとっても大歓迎だろう。

一方で、FIREされることで働き手を失う企業はこのままだと困ってしまうことになる。しかし、終身雇用で給与は右肩上がりという幻想は失われている中で、FIREを目指す若者たちは成果主義に適応して貪欲に収入を上げようとしてくれるはずなので、やる気がないよりよっぽど付き合いやすい同僚になっているはずだ。前述のようにキャリアプランをどう提示するかにより、関係性が続くことも期待できる。

「現代社会の知的な冒険」もしくは「クリアしがいのあるゲーム」の挑戦者へのチュートリアルとして本書は良い。そして、挑戦者を理解するためにもとても良い。

さて。「超入門書」を読んだ後に読むべきは「入門書」だろう。もし本書を読みFIREしたくなった人に、次の3冊をお勧めする。

#読書の秋2021 #日本版FIRE

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