It's not personal!
昔見た映画、”You’ve Got Mail.” その中に出てくるセリフ。
ー 個人的な問題ではない。
最後の留学から帰って25年、この仕事を始めて23年半あまりが経とうとしているけれど、また、ちょくちょく思い出す日々になっている。
意見を言うと、すべてpersonalであるかのように捉えられる。仕事上のことや社会のことは、personalじゃなくて、business。よりよい仕事をして、よりよい社会にするために意見を言い合うのに、感情的に、自分が受けた非難に対する答えのような返事が返ってくる。
その上、「仕方ない」とか、「人それぞれ」という意見ともいえないものが結論になる。解決策へ向けて一歩も踏み出されないまま、双方(もしかすると私だけが?)疲れ切る・・・この25年間そんなことの繰り返しのような気がしてきた。
個人的なことではなく、これは仕事上のことだから、解決策に向けての1歩を皆で考える必要があるのだけど
と、思うと悲しくなる。
15年ほど前、ある生徒が中学2年生の3学期になると、急に、塾に来るたび泣くようになった。
僕なんて、生まれてこなければよかったんだ。
どうせ、僕なんか、できそこないだから。
などと言いながら、、、。
それまで、彼と彼の同級生たち、同じ学校に通う生徒たちとの関係への対応に苦労したこともあったけれど、その都度子どもたちと話し合って、親御さんを説得して対応していた私たちも、これは自分たちだけで解決してはいけないと思って、公の機関に相談に行き、学校とのコンタクトも試みた。
しかし、結局、皆が保身や「事なかれ主義」で、最後には
「あなた、珍しい人ですね、人の子どものためにこんなに一生懸命になるなんて」
という嫌みまで教育者を名乗る人に言い放たれ、何もしてもらえず、それまで通り私たちで対応することになった。
通塾を続けたいなら、親御さんに守ってほしいことをリストアップして親御さんに伝え、彼には中学卒業までなんとか無事通ってもらったけれど、結局は対処療法で終わってしまった。今もたまに近所で見かける彼が元気だと言ってくれるととりあえずホッとする日々だ。
あのときのトラウマと何もできなかったやるせなさは、私の中に今も残っている。
そして、いつも、少なくとも自分は、よりよい社会を目指してできることを考えて、実行する大人でありたいと思っている。
個人的な問題にしてはいけないことだから。