手の中のレモンは、お月さまのようないろでした
久しぶりに、本当に久しぶりに、末娘を寝かしつけた。
おんぶして、うたを歌って、歩いてみたけど、なかなか眠りには落ちない。
疲れているけど、眠たいけど、少し寝て回復してほしいけど、気持ちが落ちつかないと寝られない。
暗いところを選び、抱っこの体勢を何度もかえ、どうにかこうにか寝てくれたとき、たぶん私の呼吸が整ったんだと思う。
その瞬間から、私は目が覚めたように落ち着いた。
この頃考えることが多すぎて、頭ばかりが働いて、体がついていってないというか、うまく息もできてなかったんだと思う。
小さい時は手の中におさまっていたこどもが、こんなにも大きくなったこと。
それでもまだ私の腕の中で眠ってくれること。
眠ったその顔と、寝息のリズムと、重量感が、私をグランディングさせてくれた。
お母さんと呼ばれることの幸せ、こどもがこの手に抱くことができる幸せ。
それを手放して、やる必要のあることなんか何もない。
大事なことは何か。
いつもいつも忘れそうになるけど、今日の娘の重さを、忘れないでいたいと思った。